どうも、こんにちは。
今年(2023・令和5年)の『霊場魔所の紅葉』シリーズ、第5回目は、臨済宗南禅寺派大本山の南禅寺の塔頭寺院、最勝院よりさらに山奥へ、最勝院・奥の院と駒ヶ滝を訪れます。
天台密教の深奥を極め、白馬に乗って天へと昇ったという伝承を持つ道智僧正。
この地への強すぎる愛着故に、南禅寺の前身である離宮で亀山上皇を悩ます妖怪と化したという説もある、道智僧正。
鎌倉時代には「神仙佳境」と呼ばれ、道智僧正ともゆかりの深いこの霊場の紅葉風景を巡ります。
シリーズ前回の最勝院高徳庵から、さらに山奥への道を進みます。
こんな山道にも紅葉が。
途中に立つ巨大な杉の木が神として祀られています。
さらに山奥へと進んで行きますと、石段があって・・・。
この石段の上が「奥の院」のようです。
この祠が道智僧正を祀った「奥の院」のようです。
礼儀として、挨拶として礼拝をしていきます。
日本では神仏だけで無く、このように僧侶や神官なども崇拝対象になることも多いようです。
周辺にも小さな祠が。
奥の院からさらに山奥へと続く道も。
こんな注意書きも。
そこを進んで行きますと、修験道が山岳信仰との習合の神様・秋葉権現が祀られていて。
そこからさらに進むと修行場らしき場所が。
幾つもの注意書きが、ここが厳正に管理されている聖地であることを示しています。
滝の落ちる水音が聞こえてくる、ここが「駒ヶ滝」のようです。
その上には「大日大聖不動明王」が祀られています。
確か不動明王は、密教の最高の仏尊である大日如来の化身ともされていますから、こういう呼び方をされることもあるそうです。
また、日本の滝と、特にこういう修行場となる滝にはよく不動明王が祀られていることも多いようです。
その理由については、「滝の持つ激しさと、不動明王が放つ怒りの炎の激しさとが結びつけられてイメージされているから」とか「修験道の中で滝と不動明王とが結びつけられて考えられた」など、諸説あるようです。
或いは滝それ自体が神、御神体として考えられているとも言われ。
つまり私は、修行者でもないのに、神様を直接見て、撮ろうという、不遜ともいえる行為をしようとしているのであるので、ためらい、そして震え、びびりながらも、それでもなんとか撮れる範囲で「駒ヶ滝」の姿を撮ってみました。
この時期は水量が少なく、このように水が落ちているのがわかりにくい画像しか撮れませんでしたが。
この辺りは鎌倉時代に「神仙佳境」とも呼ばれていただけあって、霊感などが無い私でも、厳かで澄み切った霊気といいますか空気を感じ、ついつい「私などが本来居てもいいのだろうか」と申し訳なく思えてくるほど恐縮してしまうほどでした。
晩年もこういう場所で修行を続けたという道智僧正がいかに厳格で、優れた仏教者であったのか、とも想像できそうです。
ただ、それほどの聖人であった道智僧正ですらも、死後はこの地への強すぎる愛着故にこの地に縛られ、人を悩ます妖怪と化してしまったのかもしれない、と思いますと・・・。
(※南禅寺創建のきっかけにもなった妖怪の伝説と、その正体が道智僧正であるかもという説について詳細は、シリーズ第867回をご覧ください)
確か仏教では、「この世のものに執着しすぎるのはよくない」とも説かれていたと思いますが、偉大な聖人が強すぎる執着ゆえに死後に妖怪へと「墜ちて」しまったのかもしれないのか、と思いますと・・・。
何だかもの悲しいものすら感じてしまいます。
そんな一抹の想いも抱きながら、紅葉に彩られた聖地を後にしました。
今回はここまで。
また次回。
※ところで2023年の目標で、「(本シリーズでの)新規スポットの記事を最低でも20以上、出来れば30以上書く」としましたが、今回で18カ所目。
目標まであと2本(2カ所)です。
*最勝院高徳庵へのアクセスはこちら。
*南禅寺のHP
https://nanzenji.or.jp/
*『京都妖怪探訪』シリーズ
https://kyotoyokai.jp/