今回はちょっとばかし京都府内から離れて、奈良県橿原市まで足をのばしてみました。
シリーズ名に「京都」とついているのに奈良橿原とは、という突っ込みはご勘弁を(笑)。
今回、わざわざ奈良橿原まで出かけたかと言いますと、「これぞ妖怪伝説の地!」と思えるようなお祭りが、さる6月5日に行われたからです。
それが「シャカシャカ祭り」というお祭りです。
大和盆地にはいくつもの農神(のがみ)祭が残されており、奈良県橿原市上品(じょうぼん)寺町で行われる「シャカシャカ祭り」はその中でも最も有名なお祭りだそうです。
藁で出来た大蛇を作り、それを子供たちがかついで歩き、最後にはご神木に藁の大蛇を巻き付かせるというお祭りです。
昔は、旧暦の5月5日に行われたそうです。
昔、村人に悪さをして退治された大蛇の霊を供養するために行われるお祭りだそうですが、その由来に関しては次のような伝説が残されています。
昔、村で長男が生まれるとくじを引き、くじで選ばれた家の子どもを5月5日の夜に、農神(のがみ)様に人身御供として差し出さなければなりませんでした。そうしないと田が荒らされ、飢饉を招くというのです。
ある時、村に1人の青年がやって来てこの話を聞き、それは魔物に違いないと考え、その退治をかってでました。農神の塚を探したら、大蛇が住み着いていました。
村人と青年は、大蛇に酒を飲ませて眠らせ退治しました。
その後村人は、大蛇の命日に供養するようになったということです。
そんなお祭りがあるという話を耳にし、「これは妖怪マニアとして是非とも行かなければ」と思い立ちました。
近鉄の大阪線・橿原線の「大和八木」駅です。
この「大和八木」駅から、歩いておよそ15分のところにある上品(じょうぼん)寺町の集会所。
私がそこへ到着したのは夕方4時より少し前。
もう既に、およそ5メートルの藁の大蛇ができあがっていました。
大蛇の前には、お供え物のちまきが。
ところで、大蛇の写真を撮っていたら、元気にVサインをする子供の姿が(笑)。
いよいよ、大蛇をかついで出発です。
お供え物のちまきを持った人が先頭に立ちます。
途中で大蛇を下ろします。
大蛇に水を飲ませるのです。
再び大蛇をかつぎ、さらに進みます。
出発点の集会所の前を通過。
っと、その辺りで再び大蛇を下ろして水を飲ませます。
再び大蛇をかついで出発。
集会所の南にあるご神木の榎木の前で大蛇を下ろします。
大蛇の前には、お供え物のお酒やちまきも準備されます。
次に、藁の大蛇を榎木に巻き付けます。
大蛇がご神木に巻き付いているような形になります。
ご神木は元々は大きな枝垂れ桜の樹だったのですが、現在では枯れてしまったそうです。
その後、この場所に大きな榎木が生えて、新たなご神木となったそうです。
お祭りはここまで。
お祭り行事後子どもたちに、ワカメ汁が振舞われます。
私を含めた観光客にも、お酒やおつまみがふるまわれました。
さて記事の冒頭に、このお祭りの由来の話をしました。
しかし実は、この由来については他にも諸説あるそうです。
祭りを行った上品町の方の話でも、いまひとつ不明確なようです。
大蛇が棲んでいたという塚も、そこにあった池というのも、今はありません。
村人に害を及ぼした、いわば憎き敵と言ってもいい大蛇の霊を、何故供養し、祀り続けるのか?
殺された後も、大蛇の霊が祟り続けたのか?
あるいは……。
『京都妖怪探訪』シリーズでも、怨霊関連のスポットについても何度か取り上げましたが、「怨霊を恐れ、祀る」という行為の裏には、怨霊(とされた人々)から恨まれる人々の側にも、どこかやましいところがある場合が多いのです。
もしかしたら、大蛇(に象徴される人物や集団、先住民など)を抹殺し、その恨みや祟りを恐れるようになったとか……。
お祭りの過程では、「大蛇に水を飲ませる」という行為が2度も行われており、私にはそれが妙に気になるのです。それが、大蛇(とされた人物や集団など)が殺された理由や過程、殺され方などに関係しているのではないか、と……。
もっとも、これらは私の推測というか、想像・妄想の類に過ぎず、その真偽を確かめるすべはないのですが。
今では謎のままです。
もっとも、謎のままというのも、またミステリアスでいいかもしれません。
それでは、今回はここまで。
シリーズ次回からは、再び京都に戻ります。
では、また!
シャカシャカ祭り(橿原市公式サイトより)
http://www.city.kashihara.nara.jp/kankou/own_kankou/saijiki/6_shakashakamatsuri.html
*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
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