植松 務(北海道、技術者ロケット)
僕は、「思うは招く」という言葉が好きです。
中学生の時に、母さんが教えてくれた言葉です。
「思う」という行為が、状態を「招く」のです。
いいことを思えば、いいことが。
悪いことを思えば、悪いことが。
僕は、この言葉のおかげで、
ピンチの時にも、気持ちを強く持てたかも。
昨日、母さんに、「思うは招く」を、
どこで習ったのか?と尋ねました。
すると、母さんは、記憶をたぐってくれました。
そして、出た答えは、高校の校長先生の言葉だ
そうです。
母さんが女子高生だったとき、
かなり高齢な校長先生が、朝礼の会で夢についての
話しをしてくれることが多かったそうです。
その中でも、上杉鷹山の
「為せば成る、為さねば成らぬなにごとも。
成らぬは人の為さぬなりけり。」
という言葉を、力強く、大声で読み上げてくれたそうです。
しかし、その校長、かなりのなまりがあったらしく、
「なしぇばなる。なしゃねばならぬ、なにごとも!」
という調子だったそうです。
女子高生にとっては、それは笑いのツボだった
そうで、
以後、たくさんの宿題が出た時とか、
誰かが、凹むような発言をすると、
誰かが、校長の物まねをして
「なしぇばなる!」と言うようになったそうです。
いつしかそれは、同窓生の合い言葉になったそうです。
「思うは招く」も、その言葉と一緒に、
みんなに記憶された言葉だそうです。
たった一人の校長が、ちょっとなまってしゃべった一文が、
そのおかしさゆえに記憶され、
それが、僕に伝わり、
そして、僕のTEDxの動画は77万回再生されています。
教育の影響力って、すごい。
先生の影響力って、すごい。
ということを、すべての、子どもとかかわる人に、
覚悟してほしいと、改めて思いました。(終)
2019(H31)3.16大西