見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

支援の形(その3)

2007-04-27 00:39:33 | ネパール
「10年間、衣類を配布しましたが、10年前と村の様子はほとんど変わらない。貧困を克服する力にならないのです」とネパール在住10年のMさんは言った。
日本の子どもたちに、使いかけの鉛筆を貧しい人に寄付して役立ったという自己満足感を与えることはできても、自らの物余りの生活を省みることにはならない。と、彼女が語っているように思えた。支援は、決して一方的なものではなく、支援する側にとっても自らの責任と存在の意味を考える機会を与えられる。

それ以来、文具を寄付したいという要請があると訊いてみることにしている。「使いかけは自分で使きり、その分新しい一本をネパールの子どもにプレゼントするのはどうでしょうか」と。さらに、大人に対しては、「実は、日本で鉛筆を一本買うお金でネパールでは3本は買えます。現地で購入すれば、ネパールの経済も潤います。」物資を日本で買うための現金を、そのままやり取りすることには抵抗感がある。それは日本人の現金に対する感覚と習慣なのだろう。

今回、3月までいた職場の有志から支援金を渡された。当初、日本の文具のプレゼントを提案されたが、現地購入の効果を伝えたところ、気持ちよくその趣旨を理解してくれたのだ。村に入る打ち合わせの際、カウンターパートに文具購入について相談したところ、意外なアドバイスが返ってきた。「鉛筆もいいでしょう。でも、今は暑いですから、子どもたちに『フルーティ』はどうでしょうか。とても喜ぶと思います」


カトマンズ市内なら、どこでも見るパックのマンゴジュースである。1個30円程度だが、山の子どもたちにとっては、高級品であり、口にしたことのない子どもがほとんどだと彼は言った。文具とマンゴジュース…。やや躊躇うものもあったが、支援対象の2つの村の学校の子どもたち約650人に、鉛筆とマンゴジュースがプレゼントされることになった。
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