ネタバレ映画館

映画ドットコムに記事を移行してます!

闇の子供たち

2008-11-14 22:12:13 | 映画2008
 桑田圭祐の曲がテーマ曲であることにも驚いたが、タイ人が「みなしごのバラード」を口ずさんでいたことにビックリ!

 タイの闇組織で働くチット(プランドン・スワンバーン)が日本ではお馴染みのタイガーマスクの裏テーマソングを歌う。幼児売春や臓器移植にも関わってる男で怖い奴なのだが、変態男の「咥えろ!」には反応してしまう。彼自身も親に売られ異常性愛者の餌食となったトラウマがあるようだった。ちなみに“みなしご”は放送禁止用語。『タイガーマスク』が放映されるときにはピー音だらけになりそうだし、『みなしごハッチ』もタイトルにモザイクがかかりそうだ。

 序盤から「心臓移植のドナーは生きた人間である」という衝撃台詞があったため、その後はちょっとのことでは驚かなくなってしまいました。それでも、太った変態男や、夫婦で少年少女を買う夫婦など、大人の汚い部分をこれでもかこれでもかと見せつけてくれる。そして、自分の子供を売った親等々・・・

 『亡国のイージス』ではがっかりさせられた阪本順治監督だったけど、セミ・ドキュメンタリー風の社会派ドラマというジャンルに挑戦したことは評価できる。タイの現状、それもスラム街と言われる貧困地域に特化して、人身売買もエイズの問題も考えさせられるのです。そして命の問題。日本では15歳以下の臓器移植が認められないため海外で心臓移植手術を受けることになる少年。しかし、タイでは脳死したドナーではなく生体移植であるという・・・心臓取ったら死んじゃいますよね・・・この患者を突き止めた新聞社の南部(江口洋介)、ボランティアの恵子(宮崎あおい)が患者宅で言い争うシーンが印象的。

 東京から20cmの地域で命の価値が違うかのような問題提起。根本には貧困と無知があるんだと、赤ひげ先生なら言うのでしょう。そして、暗に日本人の買春ツアーなんかも風刺しているのでしょう。メッセージがありすぎたため逆に弱くなっているのは残念でしたけど、誰もが無関心であってはならないことばかり。ラストでは異常性愛者の新聞記事が張り付けられた壁の真ん中に鏡があったのが不気味だったし・・・誰もが犯罪者になる可能性だってあるのです。

 衝撃の問題作であることは間違いない。ただ、NGOのゲーオが警官に向かって発砲する意味がわからないとか、終盤になってドンパチで解決しようとするストーリーが納得できなかった。それより、ジャーナリストが目の前の被害者を助けられるか?といったテーマを最後まで主軸にしてもらいたかったなぁ。

★★★★・

コメント (18)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« X-ファイル:真実を求めて | トップ | ハッピーフライト »
最新の画像もっと見る

18 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (祐。)
2008-11-14 22:56:48
ゲーオはマフィアの手下ではなかった?NGOの活動に近づいてスパイ活動をしていた人だよね。

臓器移植は国籍法改正で解決。
海外の子供を我が子ですと認知するだけで家族になれます。DNA鑑定は有りません。ただし嘘をついて認知したときは10万円の罰金です。事前に準備しておいてください。
なお、家族間で生体間移植の場合はそんなに厳しい制約は無いでしょう。でも脳死以外は心臓移植は出来ないとは思いますけど。。

こんなフィクションを書いていいのでしょうか。国籍法の悪用を心配しているだけですが・・・

言動と行動が不一致している南部の正義は何処から湧き出るの?
返信する
こんばんは♪ (ミチ)
2008-11-14 23:16:56
阪本順治監督の舞台挨拶の回に行っておられるのではないかな~?と思っていました。
私もあの日行きたかったのだけど、「レッドクリフ」をチョイスしてしまったんです(汗)

すごい問題作だとは思うのですが、言いたいことが多すぎたのでしょうか、大満足というわけではなかったんですよね。
返信する
これ~ (シネマ大好き娘)
2008-11-15 04:28:57
明日観る予定~
 
今日は落語娘みるよ~~~

返信する
こんにちは・・。 (ひきばっち)
2008-11-15 08:10:41
  最近の日本映画は、頑張っていますねぇ。

この映画は最初は渋谷で単館上映の予定が、半年経ってもまだロングラン続けていますですからねぇ・・。

この映画で描かれた、ほとんどは、実際に似たような事実があったんだと思います。

人事ではありませんね。内蔵提供の女の子に「今日は可愛いぞ」と言っているシーンは忘れられません
返信する
大人たちの闇 (しん)
2008-11-19 00:31:17
リアリティのなさが欠点じゃないかと感じる阪本監督が、社会派映画撮るとこに不安を覚え、そして実際その欠点は克服されてはいなかったけれども、最後のドンパチもなんか泥臭かったけれども
これほど男たちの闇の部分を描きまくるのは凄いと思いました。
「闇の子供たち」は「大人たちの闇」を描く映画だったのだ。
返信する
ゲーオ、ゲオ、ゲオ (kossy)
2008-11-20 02:28:48
>祐。様
そうなんです。マフィアの手下でNGOを憎んでいた。だけど銃撃戦になったのは警官を撃った。このときNGOに寝返ったのかと混乱してしまいました。

臓器移植は国籍法改正で解決なんですかぁ~なるほど。
結局、問題になるのはその臓器が心臓だという点だけなんですね。そーいや、裏腎臓移植を扱った痛い映画もありましたよね。

タブーを扱ったかのような問題作でしたが、タイの国そのものを悪く言ってるわけじゃないし・・・たぶんいいのでしょう・・・

>ミチ様
行きたかった、舞台挨拶。
ただ、混むし、並ばなきゃいけないし、本当に好きな監督じゃなければ辛い(笑)

訴えてくるメッセージは良かったんですけど、やっぱり詰め込み過ぎ感がありましたよね。江口洋介の性癖というオマケ付きだったことも・・・

>シネマ大好き娘
おお、そちらでも公開か~
着実に全国に広まってますね。

>ひきばっち様
徐々に全国拡大公開される映画ってのは良作が多いですよね。作風をガラリと変えた監督の評価もウナギ登り!

心臓移植まではどうかわからないけど、その他のことはノンフィクションっぽいですね。
命の価値とか、問題山積みです!

>しん様
ドンパチで引いてしまった俺。
『魂萌え』でも女の映画という新境地を切り開いた阪本監督だけに、今後もいろんなことにチャレンジしてもらいたいです。

そういや、男たちの闇だけでなく、夫婦で買ってるやつもいましたよね。見慣れぬ光景を見て、感覚がまひしそうですた・・・
返信する
貧しい国の現実 (PGM21)
2008-11-23 08:57:42
何時もお世話になっております。

舞台が日本ではなくタイですから、国によって価値観が違うとは言えどもこういう現実に直面するとやり切れない気持ちが強いですね。

貧しい国ほど体を売ってまでお金にしようとする現実に日本の豊かさを知りますが、それを悪用して食い物にする日本人の姿が描かれたのもこの作品に対する意味合いを大きくしているのだと思います。
返信する
金沢で出会った! ()
2008-11-26 12:21:52
コメントをありがとうございました。

出張先の金沢を歩いていて「闇の子供たち」を
上映中の映画館を発見して、そこのチラシを
見ると当地での1週間後に阪本監督のトークショー
が開催されたことを知り、非常に親近感を感じました。
時間がなく映画館には入場できませんでしたが、
次回の機会には是非「ネタバレ映画館」に着席
したいと思います。
返信する
タイ空港閉鎖 (kossy)
2008-12-02 09:51:48
>PGM21様
貧しさゆえか、親子の絆が希薄なところが悲しかったです・・・日本もあんな貧しい時代があったんですよ(と、知ったかぶり)。
豊かになった日本でも、それは単に経済的な豊かさだけ。他人の子の命がどうなろうと知ったこっちゃない!という心の貧しさを感じました。

>哲様
最近の俺はシネモンドから足が遠のいて・・・なかなか行けない事情もあったりするのです。そんな俺はトークショーを見事に外してしまいました。
「ネタバレ映画館」の席・・・もっと頻繁に通わないと撤去されそうでこわい・・・(汗)
返信する
観てはダメだ… (一護)
2009-05-19 04:35:07
これは、観たくなかった…

寝れなかったです。。。ぁの子供は役者さんですよね?汗

重い、あまりにも重い内容でした(__;)
返信する
 (Aki)
2009-05-25 02:12:45
ラストシーンで、エイズにかかり、ゴミの集積所から戻った娘の火葬シーンで、母親が泣いていたのが、せめてもの救いでした。
返信する
ラストシーンについて (あんず)
2009-06-01 12:49:46
江口洋介が男の子の手を引いて歩いていたシーン、昔、買春したことあるって意味なんでしょうか?
最後、自殺したのかな?
自分の娘を息子と言ったのはどうしてでしょう?
自分の想像だけでは納得いかないので、みなさんの意見もお聞かせください。
返信する
ラスト ()
2009-06-18 00:46:48
カラオケのバーで江口サンが確か,帰りかけたあおいちゃんに向かって俺は貴方の敵だ、そして駅の場所を伝えました。また,妻夫木が部屋に入ろうとした時の江口サンの’ノックぐらいしろよ’が隠してる過去を感じました。自殺や切り抜き新聞の中の鏡は,幼児買春経験のの意味ではないでしょうか?
返信する
南部の過去 (ちみ)
2009-06-20 15:04:04
南部は過去に幼児買春の過去を持っています。作中では何度も子供の顔を見てフラッシュバックしているシーンがえがかれています。過去の罪に苛まれていたのでしょう。一方で情報提供者から日本に連れて行ってほしいといわれた南部が「ここは天国だから日本には帰らない」とも言っています。マンションにあった息子の写真は現地のお気に入りの子どもの写真でしょう。妻夫木に自室を見られそうになってうろたえるシーンもありました。始めは臓器移植の問題で取材を始めましたが、それが幼児買春の問題と重なることに気がつき、自身の過去の問題とつながってゆくため、南部の酒量も増えていっています。南部の過去についてはたくさんの伏線が仕込まれています。
しかし、社会的メッセージをこめた本作品にこのサブストーリーが必要だったのかは疑問です。作品に娯楽性を持たせようとした姑息さが裏目に出ています。テーマが重いだけに数々のエピソードの説明がすべて不足しており、フワフワと浮ついたものになっているのが残念です。
返信する
Unknown (山田)
2009-09-29 09:35:40
NGOのリーダーのおばさんが、彼らは私たちの仲間ではない!と警察に叫んでいたから
最後のドンパチはNGOの評判を落とそうということなんじゃないでしょか。

ラストの江口は、たまたま捕まってないけど、過去児童売春をしたことを悩んでる人なんでしょう。
だから部屋に既に捕まった逮捕者の記事を敷き詰めて、真中に鏡を置いて自分を写して、贖罪の念に日々かられているということかと。

別に自分は原作読んでませんけど説明不足にはまったく感じなかったですね。
あんまりくどく説明的になられるよりは、これくらいのほうがリアルでいーじゃんって派です。
返信する
南部に関すること。 (鳥三郎)
2009-12-05 04:40:00
南部がタイの臓器売買組織にピストルで脅され、土下座して「これ以上、組織を嗅ぎまわらない」旨で屈したかのように見えましたが、その時、「気色悪い日本人と一緒にされたから」と取材を続行する決意を示しましたが、あれはどういう意味ですか?

幼児売春をした過去の自分への反省からこれ以上被害者の子供を出したくないから?鏡に逮捕された記事を貼り、自分もそこに映り、自身に対しての戒めをしていることはわかったのですが、現在、進行形なのか、過去の自分も捕まっていた可能性があるという反省なのか?また、「ここは天国だ」って言ってたのは幼児売春は関係なく、単に住みやすいから?取材をしていた時にはもう幼児売春はしていなかった?

そこらへんの細かな設定のようなものを知っている方がおられたらお教えください。
返信する
とても考えさせられました (miumiu)
2010-01-08 23:14:04
私はこの作品を主人とDVDでみました。私自身小児性愛者には嫌悪感と憎しみがあり、とてもつらく、また胸があつくなり、どうにかしてあげたいという気持ちにかられました。
たまたま主人が臓器売買の話らしいとレンタルしてきたのですが・・・衝撃でした・・しかし
多くの方に観てもらいたいと思う作品でした。
同じ位の男の子が我が家にはありますので本当に涙が止まらず・・・改めてわが子の寝顔をみてタイや途上国の子供たちの現在を・・・
考え色々な団体のことなどを調べ私も何かしたいと考えるようになりました。
もっと沢山の方がこの作品を知り、原作なども
みてもらいたいと心から思いました。
原作本も読むのがつらいところもありましたが
現実はもっと悲惨で・・大変なのだろう
何も罪もなくかわいい盛りの子供たちを
自分の欲のために・・・ひどい人が沢山です。
そのような人には・・・汚い言葉ですが・・
死んでもらいたいと私は思います。
死刑か同じような苦しみを味わってもらいたいと・・・苦しんでいる子供たちが一人でも
そしていつかこんなことがなくなればいい
と私は思いました。
長々となりました・・・。

日本にも小児性愛者はきっと沢山ひそんでいるのでしょうね。とてもいやです。
返信する
吐き気が止まりません (rie)
2010-06-23 15:46:41
江口さんの大ファンでレンタルしてきました。

江口さんをはじめ大物俳優が出演していて、とてもよい演技だったと思いますが、それより何より問題が重過ぎてどうにもこうにも…
昨夜から吐き気が止まりません。

特に、幼い男の子と、デブの白人との幼児売春のシーンがリアルで頭からはなれず、私には2人同じ位の息子がいるので、嫌悪感と許せない気持ちがおさまりません。

抵抗できない弱者にあんなことするなんて…
殺しても足りないくらいです。

他に、若い男女が男の子と女の子と部屋にいて、男の子が死にそうに苦しんでいる場面で、ホルモン剤を何本も打ったと言っていました。

公にされないよう、その男の子を買い取るとカードで払っていました。あの子は苦しみながらゴミ同然に捨てられ息絶えるのでしょうか。
それに幼い子供にホルモン剤を注射したのは何でなのでしょうか?
それもおかしな性癖のひとつ???

大人のねじれた性癖の玩具にされる子供達…
胸をえぐられたような思いです。

まだ吐き気がおさまりません。。。

正直、見なければよかった。

でも、この問題が今こうして私がのんびりパソコンの前に座っている時でも実際起こっていると思うと、なんとかしてあげたい気持ちになり、申し訳ない気持ちになります。

昨夜は息子の寝顔を見ながら色々と考えさせられました。
返信する

コメントを投稿

映画2008」カテゴリの最新記事