「お前だけなぜ早く釈放されたんだ?」「黙秘を貫いたからさ」「カツ丼食べたんだろ?」「ちょっと談笑しただけだよ」「・・・。それは黙秘じゃない!よし、総括だな!」「いや、煮カツだったよ」
山梨や群馬の山中にベースと呼ばれるアジトを構えていた連合赤軍。たしか山梨県ではソースカツ丼が主流で、店で“カツ丼”と注文するとソースカツ丼が出てくる。などと“総括”の意味を把握しきれないまま見ていると、久しぶりにカツ丼を食べたくなってしまいました。
あさま山荘事件といえば、小学校の頃、学校の先生が「歴史的事件だから見ておくように」と授業中にテレビ中継を見せてくれた記憶があります。また、学生運動といえば、家でニュース映像を家族で見ながら「父ちゃん、ぼくも東大入って学生運動するよ」と言ったのに「ダメだ」という応えが返ってきた記憶があります。あのとき「頑張れ」という一言があれば、今頃東大卒の肩書で一流商社でバリバリに働いていたかもしれません。
小泉純ちゃんも大好きな映画『突入せよ! あさま山荘事件』では警察側の一方的な視点で描かれていたため、当時のニュース映像を流したほうが迫力あると思ってしまうくらい、まったく面白くない出来映えでした。それを観た若松孝二監督が「もう少し若かったら映画館に爆弾を投げ込んでいた」と言わしめたほどだったのです。
映画は3時間10分。赤軍派と革命左派の主義主張もわからぬまま、そして遠山演ずる坂井真紀にも注目しつつ、そして重信房子って美人だなぁ~と思いつつ、時間の経過が心配になる前半。しかし、終わってみると3時間を感じさせないほど集中してしまった。ベースでの総括とか死刑による仲間の惨殺には目を背けたくなるし、いつしか自分も総括させられるんじゃないかと恐ろしくなってくる。個人を共産主義化だとか、革命的になれとか、多数の逮捕者を出しながら、残り少ないメンバーの最後の足掻き。早く終わってくれと願いつつも、見届けてやろうという気にさせてくれるのです。
理想は高く掲げているけど、所詮はただの殺人集団だろ!などと単純に捉えることもできるのですが、当時の社会情勢を考えると、現代に欠けている若者の崇高な心理が羨ましくもある。自分だったら・・・粛清はごめんだし、多分、逃亡か無傷で逮捕される道を選ぶのかも。あさま山荘事件は映画のかなり後半になってから。放水、催涙弾、鉄球という警察の猛攻。それに家族からの呼びかけという心理攻撃。耐えられない。外では佐々が笑ってるんだろうな・・・
シネモンドの客層はなぜだか20代、30代くらいの人が多かった。もちろん赤軍に共感するためではなく、あの事件あの時代は何だったのかと知りたがってる人が多かったのだろうと想像できる。なんだか映画館の空間を共有できてうれしくなった。
★★★★★
山梨や群馬の山中にベースと呼ばれるアジトを構えていた連合赤軍。たしか山梨県ではソースカツ丼が主流で、店で“カツ丼”と注文するとソースカツ丼が出てくる。などと“総括”の意味を把握しきれないまま見ていると、久しぶりにカツ丼を食べたくなってしまいました。
あさま山荘事件といえば、小学校の頃、学校の先生が「歴史的事件だから見ておくように」と授業中にテレビ中継を見せてくれた記憶があります。また、学生運動といえば、家でニュース映像を家族で見ながら「父ちゃん、ぼくも東大入って学生運動するよ」と言ったのに「ダメだ」という応えが返ってきた記憶があります。あのとき「頑張れ」という一言があれば、今頃東大卒の肩書で一流商社でバリバリに働いていたかもしれません。
小泉純ちゃんも大好きな映画『突入せよ! あさま山荘事件』では警察側の一方的な視点で描かれていたため、当時のニュース映像を流したほうが迫力あると思ってしまうくらい、まったく面白くない出来映えでした。それを観た若松孝二監督が「もう少し若かったら映画館に爆弾を投げ込んでいた」と言わしめたほどだったのです。
映画は3時間10分。赤軍派と革命左派の主義主張もわからぬまま、そして遠山演ずる坂井真紀にも注目しつつ、そして重信房子って美人だなぁ~と思いつつ、時間の経過が心配になる前半。しかし、終わってみると3時間を感じさせないほど集中してしまった。ベースでの総括とか死刑による仲間の惨殺には目を背けたくなるし、いつしか自分も総括させられるんじゃないかと恐ろしくなってくる。個人を共産主義化だとか、革命的になれとか、多数の逮捕者を出しながら、残り少ないメンバーの最後の足掻き。早く終わってくれと願いつつも、見届けてやろうという気にさせてくれるのです。
理想は高く掲げているけど、所詮はただの殺人集団だろ!などと単純に捉えることもできるのですが、当時の社会情勢を考えると、現代に欠けている若者の崇高な心理が羨ましくもある。自分だったら・・・粛清はごめんだし、多分、逃亡か無傷で逮捕される道を選ぶのかも。あさま山荘事件は映画のかなり後半になってから。放水、催涙弾、鉄球という警察の猛攻。それに家族からの呼びかけという心理攻撃。耐えられない。外では佐々が笑ってるんだろうな・・・
シネモンドの客層はなぜだか20代、30代くらいの人が多かった。もちろん赤軍に共感するためではなく、あの事件あの時代は何だったのかと知りたがってる人が多かったのだろうと想像できる。なんだか映画館の空間を共有できてうれしくなった。
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学生運動が、他の世代にひろがらなかったことが、敗因でしょう。
戦争経験者は、高度経済成長で仕事のムシ。子供たちは、ベビーブームで受験戦争。でしたから。
或いは、学生たちが、思想・理想を抱いたまま、努力し、行動し続け、20年もすれば、それぞれが、社会・企業の中核を担うポジションに付き、容易に成功していたかもしれない。
頭の良さそうなメンバーばかりなのに…。
と思いました。
あの時代に子供だった俺たちの世代。たしかに歴史的瞬間を見せられたんですけど、その結果学生運動なんてばかばかしいと教育されていたんですよね・・・
高校に入ったら、その余波もあったりして、いきなり教師たちに抑え込まれましたです。
>sakurai様
監督の立ち位置なんてのも興味あるところでしたけど、どこかの記事で「同士討ちをする彼らがいい組織であるはずがない」といった内容があったため、肯定的ではないんですよね。
どこかで理想がねじまげられて、結局は全体主義的な組織になってしまった。哀れな末路・・・あんな事件がなくても学生運動は衰退していったんだろうけど、のちの世代にも影響を与えてしまいましたよね。
観てるときには「異議なし!」の声に、心の中では「異議あり!」と言いたくなったものです。
共有できたような気がします。
監督のお話を聞けましたが、72歳とは思えぬバイタリティを感じました。
ARATAブランドのTシャツがよかったです。
それ着てたもんで。
監督の思い入れが伝わる力作だったと思います。
結局、映画なんて、いかに監督の思いが伝わるかで、真実がどうのとか、右だの、左だの、作る人の自由ですからね。
で、見る方も自由に受け止めると。
見た人の一体感、と言うのがとってもいいです。
私のときも、そういうかんじが
TBさせてもらいます。
コメントありがとうございます!
感想は十人十色という言葉がいいですね~皆賛同してしまったり、皆酷評してしまったりすると、それこそ全体主義になってしまいますもんね。
上下関係とか軍隊的なんてことを考えると、やはり日本人には欧米の感覚には到達できていないんでしょうか、昔からそうした規律が好きな民族なのかな・・・
共産主義=宗教という構図は、もしかすると彼らが作り上げた観念だったのかもしれませんね。
もちろん十人十色ですから、人によって受け止め方は違うのも当然です。そのような多様な見方が認められる社会の方が、望ましいと思われませんか?
私は赤軍派の上下関係はまるで旧日本軍さながらだと思いました。「共産化する」と言いつつ、仲間を「同志」とは一度も呼んでいないのですね。「異議なし」を一斉に叫んでいるのもグロテスク。右も左も同じだと言った人がいますが、まさにその通り。
個人的な話で恐縮ですが、私の父方の伯父は元共産主義運動家でした。最後は大阪でホームレスの果て、福祉病院で死亡したので、共産主義には拭い難い嫌悪感を感じています。共産主義もまた宗教の一種なのは間違いないと思います。
俺は普通の煮カツ丼が食べたかったのに、ある店では「うちはソースカツだけど、それでいいのかい?」などと高圧的。もう山梨ではカツ丼を食べないぞ!と誓った瞬間でもありました。でも都留市では煮カツがメインだったのになぁ・・・
俺はあまり覚えてないのです。どちらかというと学校で見せられた生中継が印象に残ってるだけで、籠城がそんなに長かったとは・・・
質疑応答タイムは何を質問すればいいのか悩んじゃいますよね。
>aq99様
重信メイちゃんの映画も観てみたいです!
なかなか上映してくれないだろうけど・・・
ビフカツってのも豪勢ですね~あぁ、ヒレカツ食いたくなってきた。
最近のニュースは牛肉偽装事件ばかりで、これによって牛肉食べる人も減っちゃうのでしょうか。
上野樹里と陣内智則の地元加古川では“かつめし”というのがありますけど、あれはビフカツでした。
で、京橋には「カツ一」という店があって、そこではトンカツも串カツもやっててない!
店主の名前が「カツイチ」やって!!
ややこしわ~~。
まるで福井県のようだわ(笑)
この映画は初日に見ました。
若松監督の舞台挨拶があったのですが、宮城県地震で急遽帰られる事になり質疑応答がなかったのが残念です。
その日の午前中はインディの先行上映に行っていて、とても中身の濃い一日でした。
あのあさま山荘事件って本当に強烈に脳裏に焼きついていますよね。
学校から帰ったら毎日テレビに釘付けでしたもの。