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Sweet Rain 死神の精度

2008-03-18 22:48:31 | 映画2008
 「死神の精度」より、死神千葉の首振りのリズム精度に注目!

 ミュージックが大好きな死神たち。彼らは人間と変わりない容姿であるし、ノートに触らずとも誰にも見える存在なのです。違っている点といえば、彼らが人間に触れるとたちまち気絶してしまうため常に白い手袋をしているところくらい。あり得ない存在であるがゆえに、病気や自殺といった死には関わっていない等の設定がわざとらしくない程度に説明されています。死神といえば日テレ!こうした扱いに慣れてきているのかもしれません・・・

 映画はまずプロローグがあり、3つに分けたオムニバス形式で展開します。しかし、このオムニバス。映画としてはヒットしないのが定説ではありますが、敢えてこの形式をとったというのは何かあるはず!と勘繰ってしまいます。一見すると繋がりそうもない彼らが実は・・・と、身構えてしまう・・・推理するのは悪い癖だと思いつつも、そこらじゅうにヒントが散りばめられているのでしょうがない、ああ・・・。というより、繋がらなければ全く面白くない映画なので、ついつい期待もしてしまうのです。

 最初のストーリーでは死神の千葉(金城武)が家電メーカーのコールセンターをしている冴えないOL藤木一恵(小西真奈美)の判定をします。接触して“実行=死”か“見送り=生かせる”かを「目的を果たせたかどうか」という死神独自の基準によって決めるという、かなり残酷な内容。しかも人間界には不慣れでどこか間抜けな表情を見せる死神によってですよ~

 次は抗争の挟間にある40歳のヤクザ(光石研)。死ぬかどうかという運命は死神が握っているのですが、相手のヤクザにだって当然のように死神が憑いている。光石研に注目してしまうところなのに、子分の石田卓也が実は重要な人物。第三話へと絶妙な橋渡しをしているのです。

 とにかく、ひょうきんでとぼけた死神の金城武が面白い。ミュージック、ミュージック~と、好きなのはわかるけど、ジャンルも何でもOKという節操のなさ。死神が大挙して押し寄せるレコード店の店員山本浩司は大迷惑・・・しかし彼には死神だなんてわからない。彼の泣きそうな表情も見どころかもしれません。その他、第三話での富司純子の演技はとても良かった。助演女優賞候補決定です(なにかの・・・)。

 原作も知らないし、予備知識も全くなかったのですが、それが良かったのかもしれません。金城武の髪型は頻繁に変化するものの、彼の年齢が変わらないので時代の変化が微妙なんです。携帯が存在しているかどうか、小西真奈美の職場がわざとらしく汚いこと、藤木一恵のCDには“懐かしの歌姫”と書いてあること、そして、『A.I.』に出てくるようなアンドロイド(奥田恵梨華)やニュースで流れる“日本で二度めのワールドカップ”など。時代の変化を少ないヒントで表現してあるのです。これによって同じ時代だと勘違いする人がいれば制作側の大勝利といったところでしょうか。まぁ、“生き別れ”とか“歌手”というキーワードもいっぱいあったので、気付かない人は少ないんでしょうけど・・・実際は1985年、2007年、2028年と変化しているらしいのですが、そんな説明なんてありませんもん。

★★★・・

コメント (19)    この記事についてブログを書く
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19 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
富司純子 (シネマ大好き娘)
2008-03-19 04:37:58
いつも光った脇役ですね~~~
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はじめまして (zazatto)
2008-03-22 19:18:43
いつも貴・ブログ拝見感心歓心関心。

私も本日鑑賞。
地味なキャストで地味目な作品。
どんな客層に観させようとしているのか?

富司純子(私にとっては、永遠の藤純子様)と、黒犬君に☆4です。
悪い癖で原作本を買い求め「ツンドク」したくなりました。
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TBさせていただきました (MIYAUCHI)
2008-03-22 22:11:40
こんばんは。
私は原作を読んでいましたので、どんな作品になるのか楽しみにしていました。
雨男だけに雨のシーンが多く、全体的には暗めの画像のため、睡魔に襲われてしまいました。

原作の方が面白く感じましたし、映像化の難しさを感じた作品でした。
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藤木一恵の人生について考えさせられました (PGM21)
2008-03-23 00:40:43
何時もお世話になっております。

私も何時ものように原作を読んでいないのでパンフレットだけのストーリーしか読みませんでしたが、藤木一恵という人生を最後に見届けるとういうのがこの映画の趣旨だったんでしょうね。
描かれなかった40年間が逆に一恵の人生とは何だったのか?の疑問定義を深めていった気もします。
エピソード1と2の間で描かれなかった部分でエピソード3で語られますが、死と隣り合わせの人生ならあの決断も愛するなら止むを得ない選択だったと感じます。
できれば藤木一恵のデビューエピソードは描いてほしかった気もしますがそれだと3時間必要になりますから映画としては厳しいですね。
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わーい (RIN)
2008-03-23 15:04:08
TB一番乗りかしら?
(承認されてないだけ???)
原作をかなり変えてはきてたんですけど、
(原作で藤木一恵は結構あんまり他エピとからまないし・・・)
まあ、小説どおりにはできないしこんなもんかなあ・・・
という感じでした。
そっか、金城君は地味キャストなんだ・・・(苦笑)
まあ、悪くはないんだけど、金城くんには中華圏で活躍してくれたほうが
私的にはやっぱ嬉しいなあ・・・と思った作品でした。


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金城さんやからええねん・・・? (Ageha)
2008-03-23 15:26:01
初日1回目の上映に間に合えば
ポスターがもらえるというのでGO!m(~ー~m)~
とはいえ、家では貼れないので
店持って行った。
「いいんですか~?」

・・だって仕事場で1ヶ月はコレで
金城さん見ながら本並べられるもん♪(コラ)

今大阪近辺の大きい本屋はどこも
死神の精度の販促DVD流して平積みしてる。
実際映画じゃなくても伊坂さんは売れるんですが。

で、ついでに金城さんの写真集Chibaまで
買ってしまった。キャ~~。(アホ)
ウインターソング以降
ホンマ待ちに待ったスクリーン♪
そこにあなたがいるだけでよい。(#^.^#) ニョホ

とはいえ、
藤木一恵を演じた富司純子さんに
最後全部持ってかれた感がありましたね。
さすが大女優さんです。

あ、犬もサイコーでした。♪
あみだくじて・・・笑えよって。どんな上司だ。
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2話目が・・・ (しんちゃん)
2008-03-24 12:32:53
 3話はすぐに分かったけど、2話目がなぁ(笑)
まあ、私も何の予備知識も無かったので、1話目の時代があまりにもしょぼい事務所だったのと、ウォークマンだったので・・・って感じだったけど(笑)

 ただ、あんなCDショップはまだ1985年にはなかったかも(笑)

 でも・・・小西真奈美が可愛いのでOKOK(笑)

返信する
軽い作品でした (hanako)
2008-03-27 23:45:24
伊坂幸太郎の作品の中でも特に短い今作を更に半分にしたような軽い映画でした。
原作では、基本が「実行」で、余程の理由があっての「見送り」と、死神も悩んでいたものですが、千葉はあんまり悩んでなかったようですね。
金城武のイメージにも合っていたし、まあ…赦します。(笑)
彼はステキなんですけどねえ、富司純子と並べるのは痛いですねぇ。
しかし…あのロボットは未来を表すためだけに出てきたんでしょうか?特にいらなかったような気もします。
返信する
首振り精度はメトロノームではない (とらねこ)
2008-04-02 23:06:43
ホント!千葉が適当に首振ってる姿がすっごくかわいかったです(笑)
ミュージックミュージックっていうところもなんかスキでした。
kossyさんは最近は、首振りながらミュージック作っているんでしょうか・・・

相変わらず、細かいところ捉えててなるほどーと思いました。
そっか、二度目のワールドカップはそういう意味があったんですね。
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金城くんの精度 (kossy)
2008-04-04 01:31:14
>シネマ大好き娘様
富司純子は好演でしたよね!
金城くんより印象度が高かったかもです~

>zazatto様
富司純子は永遠の藤純子!
最近は新しい名前にも慣れてきてしまいました。というか、俺はやくざ映画をほとんど観てないので、なんとコメントしてよいか・・・(汗)

もちろん金城ファンの方のための映画なんでしょうけど、評価が微妙ですよね・・・

>PGM21様
藤木一恵の人生。生かされたからこそ波瀾万丈の人生を送った。
人の一生を決めるのはあくまでも本人であることの重要性というか、あの死神の裁定がなかったら何も生まれなかったのかどうか・・・
死んでいい人間がいるわけない!という深いテーマまでもあるような気がします。
歌手になったエピソードはせめてエンドロール映像で流すとかすれば・・・でも、藤木一恵という名前でCDを出すことの驚きもありましたよね。もしかすると、この話題だけで終わりそうな映画でもありますが・・・

>RIN様
すみません・・・承認制につき、順番がわからなくなってしまって・・・
原作とは違うんですかぁ~
やっぱり映画となると、サプライズ的ギミックを入れたくなるんでしょうね。

なんだか死神のイメージを払拭するほど可愛いキャラになったかと思いますよ。地味というより“可愛い”!
俺も中華圏の映画のほうが彼の魅力があふれてると思いますです。
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