観客からは見えてますよ・・・ジュリアン・ムーアさん。
全世界が失明するという設定からはパニック映画しか想像できなかった。人々は戸惑い、食料を求めて大混乱に陥る・・・やがて宇宙人が現れ、人間の脳味噌を食べ、地球を破滅に導くような・・・だけど、違った。
原因も感染経路もはっきりしないし、たった一人の女性だけが失明(厳密に言えば、ちょっと違う)しない。だけど、そんな疑問はどうでもよくなるくらいのシミュレーションが冴えていた。まずは伊勢谷友介が突如視力を失う。親切そうに彼の車で自宅まで送る男、診察した医者のマーク・ラファロ、そして伊勢谷の妻・木村佳乃、と伝染病のように次々と目が見えなくなっていくプロローグ。最初に感染した者たちは強制的に隔離施設に収容されるのですが、映画の大部分を占める収容所内での出来事が見事に描かれてました。
まるで文化センターの盲人体験のような光景が繰り広げられ、視覚障害者の苦労がよくわかる入院直後。しかし、生活をするとなると、食事や排泄などの過酷な状況もリアルに描かなければならない。また、ジュリアン・ムーアを除いて全員が盲人なので、外見も気にならなくなるし、中には人目(?)を忍んでセックスしちゃうカップルもいたりする。さらに人種の壁を越え、人間の本質を見つめるようになっていく過程も面白いのです。
最も興味深いのは、閉鎖された空間でいくつかのコミュニティが形成され、世界の縮図とも言うべきコミュニティ間の対立が激化してしまうこと。ラファロを中心とした共和国に対抗して、ガエル・ガルシア・ベルナルが「第三病棟の王だ」と宣言する軍事独裁国家が誕生。食料をめぐって一触即発の緊張感が続き、戦争が起こってもおかしくない状況になるのだ。もちろん、そこには不戦派もいるし、勇気をふりしぼろうとする奴もいる。こうして世の中には戦争が起こるのか・・・と胸がしめつけられるような気分になってしまいました。
もう一つのストーリーの軸は一人だけ目が見えることの心の乱れ。目が見えないからこそ人の心が見えてくる・・・といった能力がムーア一人だけが得られないのだ。それに皆の世話をしたりするのも心労が絶えないだろうし、せいぜい防毒マスクを装備した軍人をからかうことで気を紛らわせるしかないといった感じ。連帯感も一人だけ中途半端だったことは、最初に身を売ることになったときに、凶器を使って楽に暗殺できたのにほとんど反抗できなかったことでもわかります。
終盤は荒廃した街並みと彷徨う人々を映し出しますが、ここにきてストーリーは落ち着きを見せ、テンションも下がってきました。異常な経験の中での連帯感や人種を越えた愛情などは微笑ましくも感じるけど、映画全体の印象まで薄くなってしまいました。
日本語にまで字幕が付いていたのは聴覚障害者にも配慮したためか?などと考えながら観ていると、意外にも笑えるシーンがいっぱいありました。特にサングラスをかけた娼婦のアリシー・ブラガの行動。誰も見てないってのに、気にしちゃって・・・職業も隠したままだったけど、ダニー・グローヴァーが美味しいところを持ってっちゃったので良しとしましょう。
★★★★・
全世界が失明するという設定からはパニック映画しか想像できなかった。人々は戸惑い、食料を求めて大混乱に陥る・・・やがて宇宙人が現れ、人間の脳味噌を食べ、地球を破滅に導くような・・・だけど、違った。
原因も感染経路もはっきりしないし、たった一人の女性だけが失明(厳密に言えば、ちょっと違う)しない。だけど、そんな疑問はどうでもよくなるくらいのシミュレーションが冴えていた。まずは伊勢谷友介が突如視力を失う。親切そうに彼の車で自宅まで送る男、診察した医者のマーク・ラファロ、そして伊勢谷の妻・木村佳乃、と伝染病のように次々と目が見えなくなっていくプロローグ。最初に感染した者たちは強制的に隔離施設に収容されるのですが、映画の大部分を占める収容所内での出来事が見事に描かれてました。
まるで文化センターの盲人体験のような光景が繰り広げられ、視覚障害者の苦労がよくわかる入院直後。しかし、生活をするとなると、食事や排泄などの過酷な状況もリアルに描かなければならない。また、ジュリアン・ムーアを除いて全員が盲人なので、外見も気にならなくなるし、中には人目(?)を忍んでセックスしちゃうカップルもいたりする。さらに人種の壁を越え、人間の本質を見つめるようになっていく過程も面白いのです。
最も興味深いのは、閉鎖された空間でいくつかのコミュニティが形成され、世界の縮図とも言うべきコミュニティ間の対立が激化してしまうこと。ラファロを中心とした共和国に対抗して、ガエル・ガルシア・ベルナルが「第三病棟の王だ」と宣言する軍事独裁国家が誕生。食料をめぐって一触即発の緊張感が続き、戦争が起こってもおかしくない状況になるのだ。もちろん、そこには不戦派もいるし、勇気をふりしぼろうとする奴もいる。こうして世の中には戦争が起こるのか・・・と胸がしめつけられるような気分になってしまいました。
もう一つのストーリーの軸は一人だけ目が見えることの心の乱れ。目が見えないからこそ人の心が見えてくる・・・といった能力がムーア一人だけが得られないのだ。それに皆の世話をしたりするのも心労が絶えないだろうし、せいぜい防毒マスクを装備した軍人をからかうことで気を紛らわせるしかないといった感じ。連帯感も一人だけ中途半端だったことは、最初に身を売ることになったときに、凶器を使って楽に暗殺できたのにほとんど反抗できなかったことでもわかります。
終盤は荒廃した街並みと彷徨う人々を映し出しますが、ここにきてストーリーは落ち着きを見せ、テンションも下がってきました。異常な経験の中での連帯感や人種を越えた愛情などは微笑ましくも感じるけど、映画全体の印象まで薄くなってしまいました。
日本語にまで字幕が付いていたのは聴覚障害者にも配慮したためか?などと考えながら観ていると、意外にも笑えるシーンがいっぱいありました。特にサングラスをかけた娼婦のアリシー・ブラガの行動。誰も見てないってのに、気にしちゃって・・・職業も隠したままだったけど、ダニー・グローヴァーが美味しいところを持ってっちゃったので良しとしましょう。
★★★★・
宗教がらみの映画かとおもったわい~~
まだ、宇宙人でてきたほうがましかも~~>_<
ちょっと後を引く作品でした。
人間の弱さと強さを見ました。
「ミスト」を観た時と同じ様な感覚でした。
唯一最後が救われましたが。
これ、確実に賛否になると思ったけど、kossyさんも楽しめた派で嬉しい★
極限状態での人々の抗争みたいなのは『ミスト』の方がリアリティあったかな。
>サングラスをかけた娼婦のアリシー・ブラガの行動。誰も見てないってのに、気にしちゃって・・(爆)
外の世界での混乱ぶりもちょっと描いてほしかったな~なんて思いますけど、個人的には楽しめました♪
まさにあの収容所は、世界の縮図だったんでしょうね。
怖い、怖い~♪
あらら、眠かったですかぁ・・・
俺は一緒に盲目体験しようと目をつむったりしたのですが、眠気はちっとも(笑)
>かめ様
後を引きますよね~
人間の集団心理。
『ミスト』では狂信宗教家が現れましたが、今作では独裁者!
ハッピーエンディングとなって、感染症のストーリーとしては謎ばかり残りましたが、人間の本質的な部分ではインパクトあり過ぎましたぁ~
>mig様
見る前は単なるパニック映画だと思ってましたから~
こんなに人間の心理をさらけ出す内容だとは想像できませんでした。
『ミスト』では狂信宗教家が現れたおかげで、彼女が中心となりましたが、同じ設定では面白くないし・・・いろんなパターンがありそう・・・
>ともや様
外の世界は終盤に見せた荒廃ぶりから想像するしかありませんでしたよね。どのくらいの人が死んだのかはわかりませんでしたけど・・・
国が分かれていく様子・・・閉ざされた世界ではどこかで起こり得るんでしょうね。全員目が見えないだけにグローバルに考えることもできないのかも・・・
突然の失明という部分は目新しいものの、危機的状況では人の本性がむき出しになるという部分は他のパニック映画とそうは変わらないと思いました。
あとは演出の面でいくつか不満がありました。
たとえば、第三病室が食料を独り占めして他の病室へ貴金属などと引き換えに渡していましたが、あんな小さなダンボール2箱で24人分とするなら、1箱多くても1日分くらいでしょう。
だとすると病室もそんなに広くないようですから、そう長い間の食料を置いては置けないと思うので、見張りの兵士が鍵もかけず、いつの間にかいなくなっていたのというのは変だな、と。
また全世界で失明ということですが、舞台が隔離施設とその周辺だけなので、飛行機事故などの映像はありましたが、あまりピンと来ませんでした。
今回の映画で得た教訓は、「つまみ食いは危険!」でした。
うん、本当にそうですよね。こういう“世界の縮図”を描いた作品て、大好きだったりします。
一人だけ目が見えている、という設定は、自分には面白かったんですよね。
一人だけ失明しないこの人を描くことで、観客の目線を描くことが出来たし、失明することの意味するところに関して、また別の視点を与えられ、複雑な構成を見せることが可能になってように思えたんです。
予告編などから想像してた内容はことごとく裏切られた気分・・・だけど、逆の意味で素晴らしく感じましたよ~
人間の本性といった点では、全員が見えないという設定だけに、まだまだ不十分というか、鑑賞者がその状況にのめり込めないのも物足りない要因の一つかもしれませんね。
まぁ、閉ざされた空間での疑似社会のドラマが最も面白いと思うので、パニック映画の要素も盛り込むとなったら膨れすぎるのか・・・だから満点には届かなかったんですが・・・
>とらねこ様
ですよね~
ほんとに、世界に緊張が起こるシミュレーションといった国家間のドラマ。
なるほど、彼女の存在は観客目線を誘導するために絶対に必要なキャラなんですね。失明すること自体は宗教的なものが感じられたけど、現実社会のシミュレーションといったところは評価できますよね~
劣悪な状況・極限状態で、人は真価を問われる。
強さ、弱さ、優しさ、判断力、行動力、協調性、決断力、勇気、体力。
今の世の中、情報や物が溢れ、氾濫している。
それを失うことで、惑わされず、よりクリアに見える自分・物事。
心の目を養えば、生き残れる。
全てが見える神的存在が、善きモノを助け、悪きモノは裁かれる。
だったらいいのに。。
と思いました。