あれは池だったのか沼だったのか?
オスカー・シンドラー、杉原千畝、そしてビエルスキ兄弟。第二次大戦中、ビエルスキ兄弟がナチスによる迫害からベラルーシに住む多くのユダヤ人を救った物語なのです。ベラルーシってどこの国?と知らなかったので焦りましたが、ドイツ軍の侵攻やパルチザンの部隊がいたことから大よその見当がつきました。
ナチス親衛隊や協力する地元警察によりユダヤ人狩りが激しくなる中、難を逃れたトゥヴィア(ダニエル・クレイグ)、ズシュ(リーヴ・シュレイバー)、アザエル(ジェイミー・ベル)のビエルスキ兄弟は末弟アーロンを連れて森の中へ逃げ込んだ・・・トゥヴィアは両親を殺された怒りの矛先を警察署長に向け、彼の息子とも殺害してしまう。残された夫人が「私も殺して!」と彼にすがる姿がとても痛々しく、ユダヤ人側に感情移入する間もなく序盤で泣けてきた。
森では次第に生き延びたユダヤ人が集まり、共同体を形成してゆく。しかし、すぐさま食糧不足に見舞われ、農家を襲うことになるのだ。『チェ』2部作を観たばかりなので、この略奪には共感できない。そしてその行為に付随して、「牛乳屋を殺せばよかったのに」などと兄弟の間でも意見が対立するほど切羽詰まった状況が見える。警察署長を殺したトゥヴィアだったが、敵やその協力者に復讐することよりユダヤ人が生きることを主張していたからだ。
やがて、アザエルの恋人の両親が囚われていたこともあり、ゲットーのユダヤ人を解放することになる。一気に膨れ上がった仲間。難民キャンプ状態の共同体は持ち物を供出させ、仕事を分担させる徹底ぶり。ズシュや他の戦闘員がパルチザンに合流したことも、歴史的にベラルーシが半分はソ連に加盟し、半分がポーランドに割譲されていた背景もあり、共産主義的な生活にも慣れていたためかもしれない。
そして、トゥヴィアのリーダーとしての資質が問われるような事件も発生。なにしろ“妊娠禁止”などという規則まで作るほど厳しい戒律。モーセの十戒?とも感じるのですが、盗んだり殺したりしてる時点で守られてない。なにしろパルチザンの長をして「戦うユダヤ人」と言わしめてるのだから、現在のイスラエルの好戦的な一面をも彷彿させるのだ。
終盤にはドイツ軍との交戦というクライマックスもあるのですが、兄弟が抱き合うシーンなどを見ると、普通の戦争映画のように思えてしまう。それよりも面白かったのが、ラビがトゥヴィアをモーセに喩えたり、空爆により追いつめられた湿地帯を“海を割る”んじゃないかと思わせた宗教的なシーンのほうが面白かったりしました。
また、登場人物はかなりユニークな脇キャラが多く、パルチザンのユル・ブリンナーに似た人、見張り能力が長けてきたラザール、雑誌編集者だったイザック(マーク・フォイアスタイン)が気に入った。女性ではリルケ役のアレクサ・ダヴァロス、ハイア役のミア・ワシコウスカ。今後も注目。
★★★★・
オスカー・シンドラー、杉原千畝、そしてビエルスキ兄弟。第二次大戦中、ビエルスキ兄弟がナチスによる迫害からベラルーシに住む多くのユダヤ人を救った物語なのです。ベラルーシってどこの国?と知らなかったので焦りましたが、ドイツ軍の侵攻やパルチザンの部隊がいたことから大よその見当がつきました。
ナチス親衛隊や協力する地元警察によりユダヤ人狩りが激しくなる中、難を逃れたトゥヴィア(ダニエル・クレイグ)、ズシュ(リーヴ・シュレイバー)、アザエル(ジェイミー・ベル)のビエルスキ兄弟は末弟アーロンを連れて森の中へ逃げ込んだ・・・トゥヴィアは両親を殺された怒りの矛先を警察署長に向け、彼の息子とも殺害してしまう。残された夫人が「私も殺して!」と彼にすがる姿がとても痛々しく、ユダヤ人側に感情移入する間もなく序盤で泣けてきた。
森では次第に生き延びたユダヤ人が集まり、共同体を形成してゆく。しかし、すぐさま食糧不足に見舞われ、農家を襲うことになるのだ。『チェ』2部作を観たばかりなので、この略奪には共感できない。そしてその行為に付随して、「牛乳屋を殺せばよかったのに」などと兄弟の間でも意見が対立するほど切羽詰まった状況が見える。警察署長を殺したトゥヴィアだったが、敵やその協力者に復讐することよりユダヤ人が生きることを主張していたからだ。
やがて、アザエルの恋人の両親が囚われていたこともあり、ゲットーのユダヤ人を解放することになる。一気に膨れ上がった仲間。難民キャンプ状態の共同体は持ち物を供出させ、仕事を分担させる徹底ぶり。ズシュや他の戦闘員がパルチザンに合流したことも、歴史的にベラルーシが半分はソ連に加盟し、半分がポーランドに割譲されていた背景もあり、共産主義的な生活にも慣れていたためかもしれない。
そして、トゥヴィアのリーダーとしての資質が問われるような事件も発生。なにしろ“妊娠禁止”などという規則まで作るほど厳しい戒律。モーセの十戒?とも感じるのですが、盗んだり殺したりしてる時点で守られてない。なにしろパルチザンの長をして「戦うユダヤ人」と言わしめてるのだから、現在のイスラエルの好戦的な一面をも彷彿させるのだ。
終盤にはドイツ軍との交戦というクライマックスもあるのですが、兄弟が抱き合うシーンなどを見ると、普通の戦争映画のように思えてしまう。それよりも面白かったのが、ラビがトゥヴィアをモーセに喩えたり、空爆により追いつめられた湿地帯を“海を割る”んじゃないかと思わせた宗教的なシーンのほうが面白かったりしました。
また、登場人物はかなりユニークな脇キャラが多く、パルチザンのユル・ブリンナーに似た人、見張り能力が長けてきたラザール、雑誌編集者だったイザック(マーク・フォイアスタイン)が気に入った。女性ではリルケ役のアレクサ・ダヴァロス、ハイア役のミア・ワシコウスカ。今後も注目。
★★★★・
今晩は☆★
ご無沙汰しております!何故か“ディファイアンス”
の記事にTBがはじかれます。しかもgooのブログだけのようですが・・・。ということでコメントでお邪魔致します。いやこんなユダヤ人がいたとは!
あまり知られていない実話だそうですね。
ビエルスキ・バルチザンという共同体という民衆の
非正規軍という何やらややこしい存在ですね。
ダニエルボンドのイメージが強いので、少しこのトゥヴィア役には違和感も感じましたが・・・。
この記事のURLをここに貼らせて頂きます!宜しくです!
http://blog.goo.ne.jp/mezzotint_1955/e/18ff4a8698aa067d653bbf41a9c218e7
俺もそれを見たいんだけど、ううむ・・・
>turtoone様
いつもお褒めの言葉をいただきありがとうございます。
いやはや、実は沼と書こうか湿地帯と書こうか悩んでいたら、あのしつこいまでのCMを思い出してしまった次第で・・・(汗)
製作スタート時点ではまさか考えてなかったのだろうし、批判の対象となる無差別攻撃がまさか繋がってくるとは思いもしませんよね。しかも、どちらかというとパレスチナ人のほうがゲリラっぽいし、映画の第二次大戦当時と立場が逆だし・・・
もっと前に観ていたら評価も変わったかもしれません。
>ミチ様
ユダヤ人なんて日本人から見たらよくわかんない。たしかに目が青いの人は珍しいのかもしれませんね。
森を抜けたら沼だった!
あの風景は印象的でしたよねぇ。ずっと残りそう。
>祐。様
河童は漢字にすると河に住んでるのかぁ・・・
この映画は英語がかなりわかりやすかったです。戸田さんもだからこそ意訳を多用したのでしょうね。
今日のニュースでは村上春樹氏がエルサレム文学賞を受賞して一方的なイスラエルの攻撃を批判するものでしたが、ちょいと感動してしまいました。
久しぶりの 戸田奈津子の字幕
STOP の訳が 「泣くな!」
合っているともいえるし 微妙でした。
映画はガザ地区攻撃のイスラエル軍に通じるのでしょうか。
映画では復讐は止めようと言ってたけど・・・
これも微妙。
映画は、日本が参戦する前の状況でした。こんな状況で、イタリア、ドイツと三国同盟を組んでいたのね。
森の中のシーンばかりで空がなかなか見えなかったのに、あの渡河のシーンでサーっと空が広く見えたのが印象的でした。
思わず吹いてしまいましたと同時に、日本では河童ですが、ヨーロッパではどうなのでしょう。
ご指摘の通り、この戦うユダヤ民族は昨今のイスラエルに通じるものがありますね。貴殿のレビューを読んでそうだったと気がつきました。
私は、この作品は内容より、出ている俳優さんに色々興味ほ持ちました。
今日はブラッディ・バレンタイン3D観ます~