「お茶漬けにしてやってください」「筋子が凍ってるな」
背筋が凍る・・・なんども飛び出す勝浦刑事(佐藤浩市)と三島刑事(松田龍平)のやりとり。1月24日に放送された連動ドラマ『誰も守れない』を事前に見ておくと、“シャブ漬け”という言葉につい噴いてしまいましたが、三島の自虐的とも言える性格など彼らの性格、迷コンビぶりが楽しめる。その上、「背筋が凍る」という言葉の重みも過剰で執拗なマスコミ取材のいやらしさ、それに情報過多のネット社会の存在が被害者家族をおびやかす顛末を象徴していたかと思う。
事件の4ヶ月前を描いたTVドラマ『誰も守れない』では被害者家族の許へ検察庁の被害者相談室の支援員が即日訪れるのですが、この映画では加害者家族を守るために区役所職員や教育委員会までが家族宅へ駆けつけてくるのだ。なぜ区役所?などと首を傾げていると、いきなり離婚届と婚姻届の判を捺させ、容疑者家族の姓を変えてしまうという荒療治を施してしまう・・・驚きだ。
勝浦目線で追いつつも、やがて困惑しっぱなしの加害者の妹沙織(志田未来)目線へと見方も変わり、家族が犯罪を犯すことが周りに与える影響の凄まじさにのめり込んでしまうこと間違いなし。『手紙』という映画も加害者家族を扱っていましたが、同じ殺人事件であっても貧しさからくる古風な事件でした。その点、今作では直情的(状況は説明されてない)な現代的な犯行。発達した情報社会の中にあって、身につまされる内容だ。
それにしても佐々木蔵之介(佐々木とはいえ、だいまじんではない)が演ずる新聞記者はとても怖い。自身の息子が不登校になったということもあって、犯罪を憎みすぎ。たしかに被害者遺族の気持ちを考えてみると糾弾したくなるのもわかりますが、その標的が犯人の妹というのも・・・頭がおかしいだろ!人間はなぜか弱い者を攻撃したくなることの表れなのでしょうけど、執拗なカーチェイスをやってのけるパパラッチのようなマスコミにしても、それこそ背筋が凍るぞ。
その新聞記者が言い放った「家族は死んで償え!」という言葉にしろ、TVドラマでの「犯罪が起こらない限り捜査できない」といった印象に残る言葉も多い。3年前の事件の被害者であるペンション経営者夫婦(柳葉敏郎、石田ゆり子)の悲しさも目の当たりにし、しきりに反省する勝浦。沙織には他人の痛みをわかれば人として成長できる、これからは家族を守れと説くシーンもいい。。殺人犯人の家族という事実は一生ついてまわるのだが、彼女の人生は何度も壁を乗り越えなきゃならないんだろうなぁ。
なんとなくダルデンヌ兄弟の映画を参考にしたんじゃないかと思えるセミ・ドキュメンタリー手法。君塚監督は『マイティ・ハート』を参考にしたと述べていたので、ウィンターボトムだったんですね。
★★★★・
背筋が凍る・・・なんども飛び出す勝浦刑事(佐藤浩市)と三島刑事(松田龍平)のやりとり。1月24日に放送された連動ドラマ『誰も守れない』を事前に見ておくと、“シャブ漬け”という言葉につい噴いてしまいましたが、三島の自虐的とも言える性格など彼らの性格、迷コンビぶりが楽しめる。その上、「背筋が凍る」という言葉の重みも過剰で執拗なマスコミ取材のいやらしさ、それに情報過多のネット社会の存在が被害者家族をおびやかす顛末を象徴していたかと思う。
事件の4ヶ月前を描いたTVドラマ『誰も守れない』では被害者家族の許へ検察庁の被害者相談室の支援員が即日訪れるのですが、この映画では加害者家族を守るために区役所職員や教育委員会までが家族宅へ駆けつけてくるのだ。なぜ区役所?などと首を傾げていると、いきなり離婚届と婚姻届の判を捺させ、容疑者家族の姓を変えてしまうという荒療治を施してしまう・・・驚きだ。
勝浦目線で追いつつも、やがて困惑しっぱなしの加害者の妹沙織(志田未来)目線へと見方も変わり、家族が犯罪を犯すことが周りに与える影響の凄まじさにのめり込んでしまうこと間違いなし。『手紙』という映画も加害者家族を扱っていましたが、同じ殺人事件であっても貧しさからくる古風な事件でした。その点、今作では直情的(状況は説明されてない)な現代的な犯行。発達した情報社会の中にあって、身につまされる内容だ。
それにしても佐々木蔵之介(佐々木とはいえ、だいまじんではない)が演ずる新聞記者はとても怖い。自身の息子が不登校になったということもあって、犯罪を憎みすぎ。たしかに被害者遺族の気持ちを考えてみると糾弾したくなるのもわかりますが、その標的が犯人の妹というのも・・・頭がおかしいだろ!人間はなぜか弱い者を攻撃したくなることの表れなのでしょうけど、執拗なカーチェイスをやってのけるパパラッチのようなマスコミにしても、それこそ背筋が凍るぞ。
その新聞記者が言い放った「家族は死んで償え!」という言葉にしろ、TVドラマでの「犯罪が起こらない限り捜査できない」といった印象に残る言葉も多い。3年前の事件の被害者であるペンション経営者夫婦(柳葉敏郎、石田ゆり子)の悲しさも目の当たりにし、しきりに反省する勝浦。沙織には他人の痛みをわかれば人として成長できる、これからは家族を守れと説くシーンもいい。。殺人犯人の家族という事実は一生ついてまわるのだが、彼女の人生は何度も壁を乗り越えなきゃならないんだろうなぁ。
なんとなくダルデンヌ兄弟の映画を参考にしたんじゃないかと思えるセミ・ドキュメンタリー手法。君塚監督は『マイティ・ハート』を参考にしたと述べていたので、ウィンターボトムだったんですね。
★★★★・
その感覚が、忘れられなくて、あと2回くらいは、
劇場で鑑賞してしまいそう(笑)
>その標的が犯人の妹というのも・・・
未成年者が、マスコミの標的にされるっていうのが
行き過ぎた演出ではないか?という意見が、
何かの誌面に載ってたんですが、
実際にも、行われていそうですよね。
とりあえず事件関係者なら、誰でも写真撮っとけ、
コメントもらっとけ、みたいな。。。
明確な結論も持てない内容でしたが、
心に刻みつけておくべき内容だったと思います。
邦画も、最高~~
>それにしても佐々木蔵之介(佐々木とはいえ、だいまじんではない)が
kossyさま、相変わらず上手い!!
私はこの作品ダメでした・・・。
作品よりも貴殿のレビューの方が面白かったです。
冗談で「背筋が凍るぜ」とか言えてるうちはまだ良かったんですけど、正に「背筋が凍るぜ」って展開はゾクッっと本当に身震いしちゃうようなものでしたね。
DVD特典は当然「誰も守れない」なのでしょうね(^^)
「パパ、なんてことを」と思ってしまいました。
コンクリ殺人の犯人(家族も)も結構晒されてます。
少年犯罪などは隠蔽される部分が多く、量刑も足らない印象が強いので
その反動としてこういうことになるのでは。
明日は我が身という気持ちになる作品でした。
記者の梅本の言葉は世間の象徴みたいな言葉でしたが、本来犯人が責められる必要性があっても犯罪者でないその近親者まで責められるのに対して疑問視しなければならないのだと思います。
梅本みたいな考えだと犯罪者を持つ家族や肉親というだけで非難されなければならないという事になりますからね。
とはいえ肉親は変えられない訳で、芸能人でも石田純一や観月ありさなどのようにダメ息子やダメ親(同じ罪で有罪となっております)でも肉親ですからね。
だから同罪だというのも狂った考え方なのだと感じさせます。
神戸の事件もそうだったけれど加害者家族も被害者だというチェンジする認識が求められているのかもしれません。
離婚させて別姓に戻してから奥さんの籍に入る形で婚姻届けを出す。
あれは仰天しましたよー。たしかに手続きを進めるだけで家族の名字が変えられますけどねぇ。
ミスターシネマと申します。
僕は試写会でこの作品を見ました。しかも2回。
容疑者の家族の住所や顔写真などを掲示板に添付したり、誹謗中傷のコメントを書き込みするなど、現代のネット社会をリアルに描いている作品だったと思います。
自分がこういう立場に立たされたらどうなってしまうだろうと考えたら、映画での佐藤浩市も口癖にしていましたが、本当に背筋が凍りました(笑)
主演の佐藤浩市は今年度のアカデミー賞では優秀主演男優賞にノミネートされていますが、来年度のアカデミー賞でもこの作品でノミネートされるのではないでしょうか。
息を呑みました。音楽も心にきましたね~(涙)
自分だったらと思うと苦しくなりましたよ・・。
ネット中傷やマスコミ追跡の醜さ。
この保護プログラムも非人道的に感じましたし。
この冷たさは悲しくはらただしかったです。
この作品の「警鐘」がみんなに聞こえるといいなと思います(涙)
息を呑みました。音楽も心にきましたね~(涙)
自分だったらと思うと苦しくなりましたよ・・。
ネット中傷やマスコミ追跡の醜さ。
この保護プログラムも非人道的に感じましたし。
この冷たさは悲しくはらただしかったです。
この作品の「警鐘」がみんなに聞こえるといいなと思います(涙)