何気にカレンダーの印が気になった。
6日ごとに赤く囲んであったのは友引なのだろうか、とNKエージェント内の小物が気になってしまったのです。棺の料金にもなるほどっと納得し、大きい人用の特注棺はどうなるのだろうと気になってもみた。そんな納棺師という馴染みのない職業。葬儀社の下請けをしている会社だったのですが、給料は良くても緊急呼出しが多いだろうし、休みも取りにくいなぁ・・・実は、カナザワ映画祭で上映されている『死化粧師オロスコ』も観たかったのですが、似たような職業とはいえ、あまりにも趣旨が違いすぎると思い、断念してこちらを観た次第。
死化粧に限ってみれば、海外の映画のほうが死化粧師を多く取り上げているし、ほとんどの場合が墓地に隣接している場所だったりする。『バタリアン』とか、『ゾンゲリア』とか・・・もしくは『オンリー・ザ・ロンリー』とか。宗教の違いこそあれ、どう考えても、死者を尊ぶとか、「死が門出」であるなどといった次元の作品ではない。美しく、恭しく、芸術的にまでに高めた納棺の儀を目の当たりにするにつれ、改めて日本人に生まれてよかったと思う反面、馬鹿高い葬儀費用や墓地の値段も気になってしまう哀しさも生まれてくる。
主演でアイデア提供者である本木雅弘がチェロ演奏や芸術的な納棺技術を見事に演じたことも評価したいのですが、それよりも強く心に響いてきたのが職業差別のことでした。中学時代に将来どんな職業に就きたいかと聞かれ、「葬儀屋になりたい」と答えたほどなので、忌み嫌う職業とされているとは思ってもみなかったのです。
「死人のおかげで稼いでるくせに!」という言葉にムっときて、じゃあ、坊主はどうなんだ?医者はどうなんだ?ましてや実際に人殺しをしている兵隊さんや操っている政治家はどうなんだ?と文句を言いたくもなりました。だけど、死者へのいたわり、着替えにしても見せないようにする配慮、一時でも生前の美しさに施す優しさは遺族の態度を変化させるのです。友人役の杉本哲太も、本木の妻役・広末涼子もそうでした。実際に親族を亡くした者にしか差別の壁を打ち破れないのかもしれません。ただ、葬儀代金を払えない人たちもいて、やっぱり一部からは嫌われているのが現実だと思います・・・
銭湯の経営者・吉行和子のエピソードがまた泣かせてくれる。そして笹野高史の意外な職業にも。あの苦々しい顔からは、彼もまた自分の職業を人には言いづらかったんだろうと感じてしまう。「死は門である」というどんな宗教にも通用しそうな普遍的な言葉。多くの最後のお別れシーンを見続けるためには、そうやってモチベーションを高めなければやっていけないのだろうなぁ。
広末涼子は後半になって表情が乏しくなってきたけど、本木が泣き崩れて絡むシーンは最高でした。社長の山崎努や余貴美子の演技もよかったし、“石文”の伏線もよかった。問題があるとすれば、若い人の死が多過ぎだったことでしょうか。
★★★★★
6日ごとに赤く囲んであったのは友引なのだろうか、とNKエージェント内の小物が気になってしまったのです。棺の料金にもなるほどっと納得し、大きい人用の特注棺はどうなるのだろうと気になってもみた。そんな納棺師という馴染みのない職業。葬儀社の下請けをしている会社だったのですが、給料は良くても緊急呼出しが多いだろうし、休みも取りにくいなぁ・・・実は、カナザワ映画祭で上映されている『死化粧師オロスコ』も観たかったのですが、似たような職業とはいえ、あまりにも趣旨が違いすぎると思い、断念してこちらを観た次第。
死化粧に限ってみれば、海外の映画のほうが死化粧師を多く取り上げているし、ほとんどの場合が墓地に隣接している場所だったりする。『バタリアン』とか、『ゾンゲリア』とか・・・もしくは『オンリー・ザ・ロンリー』とか。宗教の違いこそあれ、どう考えても、死者を尊ぶとか、「死が門出」であるなどといった次元の作品ではない。美しく、恭しく、芸術的にまでに高めた納棺の儀を目の当たりにするにつれ、改めて日本人に生まれてよかったと思う反面、馬鹿高い葬儀費用や墓地の値段も気になってしまう哀しさも生まれてくる。
主演でアイデア提供者である本木雅弘がチェロ演奏や芸術的な納棺技術を見事に演じたことも評価したいのですが、それよりも強く心に響いてきたのが職業差別のことでした。中学時代に将来どんな職業に就きたいかと聞かれ、「葬儀屋になりたい」と答えたほどなので、忌み嫌う職業とされているとは思ってもみなかったのです。
「死人のおかげで稼いでるくせに!」という言葉にムっときて、じゃあ、坊主はどうなんだ?医者はどうなんだ?ましてや実際に人殺しをしている兵隊さんや操っている政治家はどうなんだ?と文句を言いたくもなりました。だけど、死者へのいたわり、着替えにしても見せないようにする配慮、一時でも生前の美しさに施す優しさは遺族の態度を変化させるのです。友人役の杉本哲太も、本木の妻役・広末涼子もそうでした。実際に親族を亡くした者にしか差別の壁を打ち破れないのかもしれません。ただ、葬儀代金を払えない人たちもいて、やっぱり一部からは嫌われているのが現実だと思います・・・
銭湯の経営者・吉行和子のエピソードがまた泣かせてくれる。そして笹野高史の意外な職業にも。あの苦々しい顔からは、彼もまた自分の職業を人には言いづらかったんだろうと感じてしまう。「死は門である」というどんな宗教にも通用しそうな普遍的な言葉。多くの最後のお別れシーンを見続けるためには、そうやってモチベーションを高めなければやっていけないのだろうなぁ。
広末涼子は後半になって表情が乏しくなってきたけど、本木が泣き崩れて絡むシーンは最高でした。社長の山崎努や余貴美子の演技もよかったし、“石文”の伏線もよかった。問題があるとすれば、若い人の死が多過ぎだったことでしょうか。
★★★★★
またお邪魔致します。
端正な顔立ちの本木さんをキャスティングし、設定もオケが解散、失業し、借金があるチェリストが、何もしらず、帰省しリターン就職というのは、とても現代的だと思いました。
また、庄内の自然の豊かさや、四季の移り変わりも、非常に日本的。でも、BGMはチェロ。ミスマッチのようでありながら、その深い音色は、納棺師の仕事を理解する本木さんや、観客のように、染みこんでゆきました。
死を題材とした作品は数々ありますが、納棺師という仕事を通じ、観せ、聴かせ、感じさせる秀作だと思いました。
数年前、祖母が危ないとの知らせを受け、入院中に見舞いにゆきました。
意識はあるものの、点滴を打ち、ガリガリに痩せ、しゃべれなくなった祖母が、私を見て、ボロポロ涙を流しました。
何年もご無沙汰していた私が会いにいったことで、死期を告知するようなものではないのかと悩みました。
見舞いの後、嬉しがってくれていたよと聞いても、ずっと罪悪感は消えませんでした。
葬儀でお別れをしたとき、祖母の顔は穏やかで、綺麗で、少し、救われた気がしました。
それ以来、葬儀とは故人のためではなく、生きるモノ、残されたモノの為に行うことだと、思うようになりました。
観る前は、暗い映画だと思っていたので、
いい意味で、裏切られましたw。
リアルタイムで見たかった~~
車の中でラジオのニュースを聞いて知りました。
>ぱたた様
まさかまさかの受賞でしたもんね~
俺も心の中で祝杯です!
先日の日本アカデミー賞では独占しすぎだな~と食傷気味になったほどなんですが、本家での受賞は別モノ。歴史に残る快挙でした。
そんな歴史的な映画の舞台がご近所だとは羨ましいかぎりです・・・
酒田市など山形県は大騒ぎです。
「おくりびと」日本アカデミー賞10冠!
それ以外(キネ旬や中国映画祭など)受賞数は何と60冠!
極め付けは「おくりびと」アカデミー外国語映画賞受賞!
ロケに使われた銭湯やバス運行の商店街へは
自転車で行ける距離なので嬉しい不思議な感覚です。
庄内の風景が世界で公開されるんですねぇ!
まずは祝杯!祝杯です~!!
いやっほ~!やったぁ~!!
いや~驚きでしたね~
俺もニュースを見てから調べまくりました(笑)
しかも『たそがれ清兵衛』に続き山形県なんですよね。もしかすると外国人観光客も増えるかも。
今年はリアルタイムじゃ見れないかもしれない授賞式。とにかく日本作品がオスカー候補だから、応援しますですよ~
世界各国の作品全65本から1次選考通過の9作品に入り、
更に最終ノミネート5作品に入りましたよ!
ノミネートとしては『たそがれ清兵衛』以来5年振りです!
しかも庄内を舞台にした作品が2本も入ったなんて!
授賞式は2月22日(現地時間、日本時間では23日)
でも私的にはノミネートで大満足です。
イオン三川ではまだまだ大ヒット上映中ですが、
早くも3月にDVD化されるそうです。
とにかく晩酌の酒が美酒に変わるでしょう!
飲む酒はもちろん庄内の地酒(^o^)/
そうなんですよね~暗くて重い内容ばかりかと思っていたら、かなり笑わせてくれました!
美味いものを食いたいけど、俺はなんでもいいや・・・
俺も邦画ベスト5入り確定っぽいです。
>くう様
ちょっとしたことで葬儀屋に縁があるkossyなのですが、若い人の葬儀って確率的にも多くないはず(笑)
悲しみにつつまれる中、いろいろと気遣いも大変なので葬儀屋の気苦労も推し量れるのです。
吉行和子もそんな年齢になったのだな~と、違う意味で感慨深かったです・・・
>Ageha様
原作本が売り切れ?!
すごい人気なんですねぇ・・・俺としては葬儀マナーの宣伝用DVDが欲しいかも・・・
尊い儀式。冠婚葬祭の中でも一番やりたくない仕事だと思いますが、あれだけ芸術的に執り行うと、ちょっと魅力すら感じてしまいますよね。
さすがにモントリオールでの受賞が評価に響いていることは否定できませんが、職業差別の問題に目がいってしまった俺は同じことを書いてたかも・・・
たたずまいの凛とした感じも
動作のひとつひとつも
とても美しいものを見せてもらいました。
ニューハーフといい、宣伝用DVDといい、
ちゃんと笑いもとりつつ、
生きてることと
(ホントおいしそうに食べるのね)
おくる立場の礼儀作法と
緩急つけてとてもいい作品だったと思います。
・・・って、
モントリオール映画祭グランプリとかでなければ、
こんなに話題にならなかったかもしれないですが
どんなきっかけであれ、
たくさんの人に見てもらいたいですね。
原作本が売り切れ~~~(うれしい悲鳴)
でも、一番心に残ったのは、やっぱりお風呂屋の
おばちゃんかな。。。
良い映画でしたね。
死という重いテーマを取り扱った作品でしたが、その中にユーモアを織り交ぜるなど演出面でも光るものを感じた作品でした。
肉を食べるシーンが多かったのも印象的でした。
今年観た映画の中でも、個人的にはトップクラスに位置するであろう作品でした♪
俺もキャスト名に峰岸徹を見つけたとき、あれ?どこに出てたっけ?と一瞬悩みました。
う~む、いい役なんだか、悲しい役なんだか・・・
>rukkia様
そうでしたか。
それはそれで観るのがつらくなりますね。
俺も友人が交通事故で亡くなったときには驚きました。原型をとどめないほどだったので、頭部が小さくなっていました・・・死化粧どころではなかった。
通夜、葬儀と、数日間生きたままのようにするのは本当に大変なことだと思います。
>Kei様
これは国内の映画賞も独占状態になるかもしれませんね。ほんとに素晴らしい内容でした。
最初にニューハーフをもってきて十分笑わせてくれたし、観客を笑いと泣きの渦にしてしまう見事な脚本テクニックでした!
若い人の死は本当に悲しいものです。
それに死因が様々でしたか・・・あまり深く考えていませんでした(汗)
死因によって現れる特徴が違う!なんて検死官みたいな場面もありましたよね。
>MIYAUCHI様
珍しい題材だし、きわめて日本的。
もしかするとアカデミー賞外国語映画部門でも期待できるのかも。
人が嫌がる仕事をこなす・・・なかなかできないことですけど、これで偏見が減ってくれるといいですね。
よかったでしょ?
しんみりさせられましたよね・・・
>ぱたた様
庄内の映画作品名を並べるだけですごい・・・もう、いい映画ばかりじゃないですか~~
と言いつつ、『山桜』を観る機会を失っちゃいました。田中麗奈好きなのになぁ・・・(汗)
鶴乃湯は実際にやってるお風呂屋さんなんですね?
かなり狭そうだったけど、人気が出すぎてイモ洗い場状態になっちゃうんでしょうか。
庄内弁というのも映画ファンにはお馴染みになりつつありますが、この映画では聞き取れない言葉がなかったのもよかったです。
>kenta様
俺も最初から期待~
もちろん裏切られなかったです。
ラジオの宣伝で結末も聞いてしまったけど、わかっていても感動でした。
>祐。様
しまった、ホワイトボードまで目が行き届きませんでした(汗)
友引の葬式は敬遠されるようですけど、実際にはあるんでしょうね・・・忙しいときとか。
その赤い印ですけど、春になったらカレンダーから消えていたんです!!
もう覚えちゃったってことなんでしょうか・・・
広末って酷い演技の映画が多かったですけど、『秘密』なんかは結構よかったりしました。やっぱり『WASABI』の印象が・・・
>kira様
そうなんですよね。
死んでしまったら仏になるという日本的な伝統があるからゾンビ映画のように死体をもてあそぶことが似合わないお国柄。
厳粛な儀式はあわただしい遺族の心をも和ますものですから美しくあってほしいです。
>aq99様
公式サイトをチェックしてたら死体オーディションなんてのもあったらしいですね。
もっくんの手つきを見てたら、こちらまでこそがしくなってくるような・・・(笑)
あの技に耐えるのも大変ですわ。
>PGM21様
冠婚葬祭は金がかかるものだけど、金がかかるからこそ記憶に残る素晴らしいものであってもらいたいですね。
だけど若い人の葬儀は本当に悲しいもので、知らない人が立ち寄ってももらい泣きしてしまいます。それでも感情に押し流されずに儀式を行わなければならない。大変な職業ですよね。
誰かがやらなければならない仕事。みんなが嫌うような職業ほど尊ばなければいけませんよね~
珍しい題材での映画でしたね。
今までは偏見で見ていた部分もありますし、こういう職業があるとは思っていませんでした。
しかし、大事な仕事であるのには間違いないですね。見方が変わりました。
素晴らしい秀作ですね。私も満点です。
>問題があるとすれば、若い人の死が多過ぎだったことでしょうか。
これは、ニューハーフ、とかヤンキー娘とか、いろんな変わったバリエーションを配分した為、そうなったのではないでしょうか。
後半の方に年配者が多くなるので、バランスを取ったとも言えます。
それから、よく思い起こしてみると、葬儀の一つ一つ、みんな死因がバラバラなんですね。
自殺、孤独死、事故死、病死、老衰、銭湯のおばちゃんの急な脳溢血(だったかな?)、父親の漂泊死、等々…。
隅々まで、よく脚本が考えられてる気がします。
この映画、気になっているのですが、昨年身内を亡くした身としてはつらくて見に行けません(^^;
…交通事故で痛んだ体をすごくキレイにしていただいたのです。
>実際に親族を亡くした者にしか差別の壁を打ち破れないのかもしれません。
そうかも知れないなー、と思います…。
画面に顔を晒すは生きていた時の数秒のみ、あとは死体にて寝転んでの演技(!?)。しかし、寝転んでの演技(かな?)は、存在感アリアリ。まったくのキャラ立ちアリアリ。
いや、良い作品でした。チーーーーン。
今季2作目の100点作品で滝田監督作品では2作連続100点作品となりました。
確かにお金儲け的な言い方をしたシーンがありましたが、世の中お金を掛からない仕事は存在しない訳で冠婚葬祭だってボランティアではありません。何かをやるためにはお金が必要と認識しなければならないでしょうね。
それを差し引いてもこういう仕事がとても重要な事を示した事はとても大きいと思います。
もちろん全て美談とはいきませんが、誰かがこういう仕事をしなければ成り立たないのも事実です。
この映画を通じて納棺師並びに葬儀屋の理解を深めてほしいと思います。
この映画、葬儀のシーンでちょっとしか出てない役者もええの使てましたね~。
吉行和子の孫娘ちゃんも、カワイかったです!
それをおくり出す人、残される人。
日々の営みの中の厳粛なセレモニーではあるけれど
葬儀の中に隠れた儀式に、
思わず襟を正したくなるような素敵な納棺師でした。
ひとりぼっちの3人のクリスマスも良かったですね~☆
カレンダーからカメラを振ったの 白板のスケジュール表には 「友引」と書かれていました。
赤い線で引かれた日付と合いました。何気ない小道具に感心してしまいました。
末広の表情はどの映画を見ても変わらないです。パコと魔法の絵本のような 映画に出てもらいたいです。
実家に帰っていた妻が、戻ってきた日に掛かってきた電話。 あのタイミングで夫の職業は待ったなしであることに気がついたんでしょうね。 あれが知らない人だったら 離縁だろうなぁと思いつつ、シナリオってご都合主義だなぁと 改めて思った。(笑)
観にいこっと。
CMで見て、気になってたんです。
「たそがれ清兵衛」「武士の一分」「蝉しぐれ」
「隠し剣 鬼の爪」「ジャンゴ」等、庄内産の映画が昨今増加。
本年だけでも「山桜」「ICHI」そして「おくりびと」。
モントリオール映画祭グランプリ効果か単に地元愛からか
レイトショーでも庄内唯一の映画館・イオンシネマ三川は満杯。
劇中のバスで走行するシーン(鶴岡銀座通り)や鶴乃湯は
自転車で頻繁に通るので不思議な感じです。
他のロケ地を始め、庄内ナンバーの車や庄内弁にも嬉しさが。
只、作品の質が高く、ご当地作品的な事を忘れ没頭し、
中盤からは涙腺が緩みっぱなしでしたよ。。
遅ればせながら最高の星5つ、有難うございます。
★今月末、山形県内の映画仲間を引き連れてロケ地巡りします。
〆は勿論「鶴乃湯」でひとっ風呂です!
台風にもまけず~~~