雪浦作上がりペーロン
もうずっと昔から受け継がれている雪浦の大事な行事の一つです。
田植えが終わって、この作上がりペーロン。田植の労をねぎらい、祝い、豊作を願っての、この土地ならではの伝統の行事です。
雪浦の集落には、この日まで練習のための鐘の音が響いていました。
カーン、カーンと響く鐘の音を聴くと、なんだか血が騒ぎ、ワクワクソワソワしてしまいます
ペーロンを見ながら、橋の上で聞いたんですが・・・。昔は、ジャガイモと小麦粉を混ぜて、耳たぶのような形にして茹でた、田植え団子というお団子があって、田植えの時のおやつだったそうです。これがとてもおいしかったそうで。
また、雪浦の農家は、家ごとに牛を飼っていて(機械がない時代、田を耕したり、物を運んだりと、牛は農業にはなくてはならないものだったそうです)、各家に牛小屋があったそうです。今でも、牛小屋の名残がある家が多いそうです。道には牛のうんちが沢山落ちていて、それを草履で踏んでしまったら草履がうんちの中にはまって、脱げてしまって大変だったこと・・・。
家から通りに飛び出したら、ちょうど牛が通っているところで、隣の家の玄関先まで、牛の角で放り投げられた話とか。
Aコープ前の海は、埋め立て前にはもっと広い海岸だったそうで、そこには牛が繋がれていて、子牛がその周りを歩き回っていたとか・・・。
隣町の小松に住んでいた子が、険しい海岸線の岩を渡って登校していてびっくりした話とか・・・。
ペーロンを見ながら、橋の上で、昔ののどかな雪浦のことを沢山聞きました。その方(60代の方)が子供だった頃の話です。ほんのちょっと昔…雪浦はもっともっとのどかだったんですね。その頃のペーロンは、膝当てをつかって中腰で漕いでいたそうですよ。とってもきつかったそうです。
雪浦の景色や時間の速さが変わっても、作上がりペーロンは変わらず雪浦の人に愛され、受け継がれていることに胸打たれながら、橋の上を走り回っている子供たちが大人になるまでも、きっとこの作上がりペーロンは受け継がれていくんだろうな~と、うっとり青い空を見上げました。
雪浦は、こんなに美しいです。