今回の一般質問は、市長が選挙戦で公約に掲げたものの中から「地域づくりの方向性」「市民力の活用」「教育環境の充実」という質問項目を挙げました。
まだ正式な議事録はできていませんが、議場でのやり取りはおおよそ以下のような内容でした。
とりあえず今回は山本新市長の大きな方針をお聞きする内容でしたので、フルバージョンでお送りします。
1.今後の地域づくりの方向性
【河野】
山本市長は、所信表明においても、選挙戦を通して広大な面積と恵まれた自然環境に触れ、全国に誇ることができる素晴らしいまちだと改めて実感をされたと述べ、このふるさと益田の素晴らしさを未来の子ども達に残していかなければならないとも述べ、選挙戦においては、「益田と吉田と高津。それから191号線と9号線沿いにボツボツ家がある。こんな未来にしてはいけないと思っています。二条も、美濃地も、中西も、小野も、西益田も、安田、鎌手、豊川も、真砂も、種も、北仙道も、美都も、匹見も益田市です。一極集中をしていたら、最後は市役所だけが残るまちになってしまいます。市役所だけがあるまちなんて、まちとは言えません。」とパンフレットに記載するなど、一極集中ではなく中山間地域においてもいきいきと人が暮らすといったイメージの将来像を語っています。
市長はこのことを市としてどう実現していこうと考えているのか。
また、実現するためにこれまでと何をどう変えていくのか、市長の考え方をお聞き致します。
【市長】
一極集中で無い、各地域がいきいきと発展する町をどう作るかという思いでございます。
私も特に中山間地域の豊かな自然でありますとか、昔からの伝統文化を今に受け継いで、第1次産業、特に農林水産業を営みながら今も人々が暮らしておられるその生活を守っていきたいという思いがございます。
そのためにも、できるだけ分散型による街づくりを進めていく、一極集中を避けるその必要があろうと考えています。
そして、各地域が持っている価値を再度認識し、集落機能の維持を図りながら、地域再生を行ってまいりたいと考えているところです。
【河野】
昨年の3月であったかと思いますが、匹見町で匹見総合支所を中心に匹見総合支所の全職員で匹見町の戸別聞き取り調査を行った報告書が出されました。
このことを市長はご存じですか。
【市長】
存じておりません。
【河野】
この報告書には「この報告書が匹見地域の出発点と考え、次の世代に引き継いでいける匹見地域をつくっていくために地域の皆さんと連絡調整会議が協力して匹見地域づくりに取り組んでいきましょう。」と、
やはり“次の世代に引き継いでいける地域をつくっていくために”という考え方、そしてそれを実現するための戦略をいかにして各地域に作っていくのか。
このことが、733㎢の広大な面積を抱える益田市の各中山間地域を活かしていく一つの大きな柱になっていくのではないかと私は思っています。
このことも前提としながら、質問に入っていきたいと思います。
初日の一般質問において、立ち上げていた様々な本部を見直すという答弁がありました。
内部で十分に機能していないと感じられる部分があったのでしょうから、そのことについては特に異論を唱えるものではありませんが、公約の中で、ホンモノの市役所改革として、地区振興センターと諸政策課を擁する「地域振興総局」の設置などを掲げておられました。
公約を作る段階で、もちろん様々な問題意識や目的があるからこその公約であろうと思いますので、そこに至る考えとして、地区振興センターの役割や機能について、市長が現状の問題をどう認識し、今後どうしていきたいと考えておられるのでしょうか。
【市長】
まず現状認識ですが、そもそもこの地区振興センターは平成16年11月の市町村合併を契機に、公民館の従来の機能と地区振興センター機能を合わせたものであります。
公民館には教育と学術・文化に対する各種の事業、また地区振興センターには証明書発行などの行政サービスだけでなく、地域振興の拠点としての機能があります。
今後、センターそれぞれが、地区の実状に合わせた地域づくりを行っていくため、地区の実状をつぶさに把握した上で、組織作りと有効な手段を講じていく必要があります。
そのため、中山間地域の振興に向けては、現在の地域振興課よりも更に特化した部署が必要と考えており、20地区の振興センターを中心にして取り組んでいきたいと考えています。
【河野】
昨日の答弁においても中山間地域活性化のための横断的な部署を設置したいというお話がありました。これが公約でいうところの「地域振興総局」ということになるんですか。
【市長】
おっしゃる通りで、地域振興は特に重要な役割を担う機能。行政の中の横断的な組織を作る必要があります。
【河野】
前福原市長も地域活性化本部を設置するとされていましたが、取り組む内容についてはそれと同じようなものであるんでしょうか。
【市長】
具体的なものはまだ示す段階ではありませんが、構成メンバーが政策調整会議と同じ各部の部長というよりは、実務担当者レベルでの横のつながりをイメージしています。
【河野】
一つの部署として設置するということでよろしいですか。
【市長】
そういう思いでおります。
【河野】
いずれにしても、こうした地域振興総局が設置され、中山間地の活性化のための現場での中心的機能を担う地区振興センターの体制というのは非常に重要となって参ります。
現在、各地区振興センターは、地区センター長と嘱託職員、12地区にはこれに加えて配置されている地域力アップ応援隊員といった体制となっています。
センター長の間では、市長交代後、また各センターへ正規職員が配置されるのではないかといったことへの不安の声や期待の声が上がっているということをお聞きしました。
このことについて、嘱託職員を見直し、以前のようにセンターへ正規職員を配置するという考えを市長はお持ちであるのかどうかお聞きします。
また、こうした体制について、公約の中ではセンター長の公募化など地区振興センターの機能充実を推進するとしていますが、いつ頃からそのようにしていく考えをお持ちでしょうか。
【市長】
前提として、地区振興センターの体制の強化が必要であると考えています。
そのためにはやはり、様々な経験、技術、意欲のある職員の配置が必要と考えています。
主に、統括者であるセンター長については、正規、非正規など様々な選択肢がある。そのいくつかの選択肢を加味しながら考えていきたいと思います。
【河野】
地域振興課から今年度モデル地区を指定して公民館・地区振興センターを拠点とした新しい地域コミュニティーを作るとして、3か年の計画が示されております。
モデル地域からスタートして他の地域にも広げていくという考えの下に行われる事業という風にお聞きをしているところですが、この方向性が変わることはありませんか。
【市長】
第5次総合振興計画においても、多様な主体が参加する地域自治組織の形成を促進しますと示されています。この方向性につきましては変えることなく取り組んでまいります。
【河野】
地域自治組織に至るまで、描かれている絵は理解できるわけですが、実は私も現在地域振興課で行っている各地区センターの運営委員への説明会に参加をしたわけですが、地域自治組織などの考え方の理解という意味では説明の仕方もあるのかもしれませんが、非常に難しかったと思っています。
各地区で説明をしていますが、各地区センター運営委員の皆さんの反応はどうであったか、経営企画部長どのように把握されていますか。
【経営企画部長】
おっしゃる通り現在ある20地区のセンターの内、11のセンターで説明をして参りました。特徴的な意見としては、地域自治組織がどういうものかイメージが分かりにくく、現在の地元組織との関係も分かりにくい。また、運営経費がどう保障されているのかといった意見が出ています。
地域自治組織には、権利・お金・義務も出てくることや、今まで以上に責任も出ることから、理解してもらうには時間がかかるという印象を持っています。
【河野】
私も説明をお聞きしていて、本来制度や地域自治組織がどんなものかという説明を受けても、なぜそれが必要なのかという部分について、住民が理解し、自発的にこうした組織が必要であるという動きにならなければ、単に組織を作ったというだけで終わってしまうのではないかと感じました。
行政側には、設立ありきではなく、それぞれの地域におけるこれまでの自治の実態を考慮した上での「住民自治組織」の設立が求められ、行政と地域住民が設立目的や今後の方向性について共有できるように設立前から今後この地域をどうしていくのかという議論を積み重ねていくことが必要であろうと思っています。
そうした時に、地域自治組織の実現に向けて必要であると思うのは、この考えを浸透させ、この仕組みを作り上げるまでのコーディネート役の存在です。
今後のことを考えると、コーディネート役として、こういう益田市の根幹を支える各地域の地域づくりに20代から30代の若い職員の皆さんが関わられることが良いのではと思っています。
それは、事務的支援であったり、必要不可欠なICTの活用による情報発信やSNSの活用など、この年代の強みがこれからの地域づくりには間違いなく必要でありますし、地区センターという住民との双方向の関係作りが求められる場所は、自分たちの仕事の意義を常に考えるきっかけになる場所であると思うからです。
職員の地区担当制なども検討されていたと思いますが、このことについてはどのような検討がされていますか。
【経営企画部長】
行政と住民の距離がだんだん離れていくというのは合併以来言われています。
現在は地域振興課内で地域担当を4つに分けて行っていますが、決して十分な対応ができているとは言えないと思っています。
今後のことについては、地区センターの体制のことがまだ決まっていないので、まだ具体的に全体として地区センターをどうするかということは決まっておりません。
【河野】
これからということでございますので、今私が述べたようなことも含めて検討してもらえたらと思います。
次に、市長は市民の幸せを実現することが市役所の最大の目的であると、初日から申されております。
昨年総務委員会で視察に行った荒川区の「区政は区民を幸せにするシステムである」としていた荒川区のイメージを市長はお持ちなのかなと思っていますが、様々な組織をマネジメントしていく上で、組織の目標が、気付かないうちに目の前の業務目標と一緒になっているということがあります。
つまり、市民の幸せのためにということが目標であっても、その目標を意識しながら目の前の業務を行うのか、単に目の前の業務を終わらせることを目標としてその業務をこなすのかというのでは、仕事の質が全く違ってくると思っています。
そういう意味で、地域自治組織設立に向けて行政職員が住民と向き合い、住民自治の必要性をともに議論しながら作り上げていく過程が大切であると感じるわけですが、このことについては市長どのように思いますか。
【市長】
私が議員である時に総務委員会で視察に行った荒川区の幸福度のような指標までのことは考えておりませんが、今おっしゃったような、その認識は全く同じでございます。
~続く~
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