小さな頃、女の子とよく間違えられた面立ちのいっくん。
散髪が嫌いで相当放置していたが、それでもどうしても切らなければならなくなると「女の子になるよ!」と脅して髪を切ったものである。
去年、私がいっくんの髪を切りすぎて、彼の機嫌を損ねたことから一切髪を切らせなくなってしまい、とうとう年をまたいでしまった。
「女の子になるよ」
先日、久しぶりにそういって、いっくんの長い襟足の髪をひっぱると、しぶしぶ彼も髪を切ることを承諾したのだった。
霧吹きで髪を濡らし、てっぺんの長さを決めようと櫛で立ち上げたら、なんと、この長さ。
かなり長い間放置していたのがよく判る。
柔らかくて細いいっくんの髪は水で濡らして立ち上げると、ジェルでもつけたかのように三角に。
そういえば、最近女の子に間違えられることがなくなってきたいっくん。
どんどん男の子らしくなってきて、「女の子になるよ」なんて脅し文句がいつまで通じることやら…。
あと何年、こうして髪を切らせてくれるのだろうか…彼の髪を切りながらぼんやり考えたのだった。