彼はまだ結婚しておらず、子供がいないにも関わらず大変な子供好きで、実家に子供を連れて帰ったりすると細い目をさらに細めて大喜びで子供の相手をしてくれる。
梢や樹にオモチャでたたかれ、突き飛ばされたりしながらニコニコと二人をあやしている姿はまさに脱帽ものだ。
1年ほど前、実家に帰ったときに、その真一郎が「子供達にプレゼント」と、トイザらスの福袋をくれた。
持ち歩くのも大変だっただろうずいぶん大きなもので、ぬいぐるみ、手編みセットなど十数点がぎっしりと入っていた。
沢山のオモチャに二人とも大喜びで遊んだ、が、その中で一つだけ、どうしても二人が気に入らないものがあった。
お風呂で使う「泡を吐くライオン」である。
単2電池を二つ入れ、液をセットしてからスイッチを入れると口からだらだらと泡をはき続けるという代物だ。
これは楽しそう!
私が子供の頃は泡で遊べるオモチャなどなかったし、覚えているのは石けんで遊んで「なくなっちゃうよ!」と、怒られた記憶くらいだ。
今夜の風呂は喜ぶだろう、とわくわくしながら服を脱がせ、すっぽんぽんの二人を浴室に入れると、まず、壁に張り付いたライオンの顔に彼らは凍り付いた。
なんだか顔色の変わった二人に「これならどうだ」とばかりにスイッチを押すと、「ブーン…」という音とともにライオンの口から大量の泡が出てきた。
その途端、私の期待とは裏腹に梢樹は一斉に「ギャーっっ!!!」と叫び、真っ赤な顔で出口を求めて逃げまどった。
「こあいー!!こあいー!!」と梢が泣き叫び、樹も「あ”ーっ!あ”ーっ!」(当時1歳)と泣きわめきながら私にしがみついてくる。
私は真っ裸の二人をもう一度脱衣所に出し、抱っこして機嫌をとり、二人の目に触れないようにライオンを撤去しなければならなかった。
そんなに怖いのなら…と、それからは二人がどうしても言うことを聞かないときや、悪いことをしたときに「ライオンさんが怒ってくるぞ!」とかなり使わせていただいた。
そんな梢樹も4歳と2歳半である。
さすがにライオンさんが怒ってくる等とおどしてもさっぱり効果がなくなり、とうとう本来の居場所である浴室に設置されることとなった。
梢が口からはき出される泡を手に取り「見てみて、アイスクリーム!」と言ったりしているのを見ると1年前の出来事が思い出されて含み笑いしてしまう。
体中に泡を塗りたくり折角シャンプーした頭も泡だらけにし、二人で真っ白になって遊ぶ。
今ではお気に入りのアイテムの一つで、「らいおんちゃんが、まっちぇるよ(まってるよ)」と風呂嫌いの樹が自分から服を脱ぐのだ。
これをくれた真一郎もこんな情景をみたらさぞ喜ぶのだろう。
真一郎も11月にはとうとう結婚することが決まった。
子供好きな彼のことだから、子供が出来たら色んなオモチャを買い与えて嫁さんに叱られたりするくらい甘い父親になるかもしれない。
そんな日が来たら「泡を吐くライオン」はぜひ試してほしい、おすすめのオモチャである。
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