地方自治法施行令の一部を改正する政令等が、年末の12月23日に施行されました。
大きくは2項目、「普通地方公共団体の長の調査等の対象となる法人等の範囲に関する事項」と
「財務に関する制度の見直しに関する事項」です。
このうち、1つ目の「普通地方公共団体の長の調査等の対象となる法人等の範囲」については
仕分けの際にも出資法人等への委託や補助金などが議論になりますので、
すこし触れておきたいと思います。
地方自治法第221条3項では、普通地方公共団体の長は、予算執行が適正となるよう、
その自治体が出資している法人について、収入支出の実績や見込み、執行状況などを実地調査し
その調査結果に基づいて必要な措置を講ずべきと求めることができる、ことになっています。
今回の自治令一部改正では、この調査できる法人等の範囲を拡大しました。
その概要
今までは、1/2以上の資本金、基本金などを出資しているものが調査対象だったのですが
改正により、出資割合1/4以上1/2未満の一般社団、一般財団、株式会社についても調査対象として
条例で定めることができるようになりました。
さらに、その出資法人が1/4以上1/2未満の出資している別法人がある場合も
同様の法人とみなすということです。
親会社である地方公共団体から子会社である出資法人へ、さらにその孫会社にあたる出資法人にも
調査が及ぶということでしょうか。
また債務負担についても同様に、条例で定める1/4以上1/2未満の額の債務負担した法人が
対象となりました。
ちなみに、地方住宅供給公社、地方道路公社、土地開発公社、地方独立行政法人は対象に
変わりはありません。
条例制定という条件があるので、事業内容もさることながら、出資の経緯や出資目的を
そもそもから見直す機会になるでしょう。
しかし、よく考えてみると、そもそも税金を1/4以上も投入して設立された法人は
子会社的な存在といってよいでしょうから、このような規定を設けなくても
法人からの聴取だけでなく天下り職員や出向職員(をおいている場合が多いので)に
報告や聴取を促す役割を求めてもよいと考えます。
わざわざ規定した背景には、まだ十分に調査権が機能されないことがあるのでしょうか?
事業仕分けにおいても、補助金の使い道や財政的支援などについてお聞きしますが
十分な説明がされたとは言えない事例も見受けられます。
今回の改正は、公金による出資が1/4以上という高い割合の法人のうち
必要とあらば長が調査権の対象とするということですが、
この大変強力な権限を、監査委員の監査権と同様まで拡大したこともポイントだと思います。
地方公共団体が「主体的に責任を負う範囲」を拡大した、その意味をよく吟味したいものです。