今日(4/14)の読売オンラインから、川崎市の阿部市長が東日本大震災で大量に発生した災害廃棄物を受け入れる方針を表明したところ、「放射能に汚染されたゴミなど持ってくるな」という苦情が市に殺到する事態になっているそうですね。市は13日、「放射能汚染が確認された廃棄物を持ち込むことはありません」とする説明をホームページに掲載するなど、対応に追われている、とありました。
このように善意が曲解されて伝わり、あらぬ批判を浴びる懸念事例は他にもたくさんあるのではないでしょうか。(菅原先生『世論の曲解』のパクリですみません)
以下はその記事からですが、
市環境局によると、阿部市長は今月7日に福島県、8日に宮城県を訪問。その際、阪神大震災や中越沖地震の被災地で出た廃棄物を市内で焼却したこともあるため、同様の支援を申し出た。その後、原発事故が起きた福島から放射能に汚染されたゴミが市内に運び込まれるのではという懸念が広がり、8日から13日午前までに電話や電子メールなどで市に寄せられた苦情は計1,700件余りに上った。市長の支援表明を「売名行為」とののしる声もあったという。苦情は市民のほか、東京都や千葉県民からもあり、同局は「ゴミを燃やした煙が流れると思ったのではないか」と推測している。同局は「市独自の取り組みではなく、国の計画に従って安全を確認した上で運び込む」と説明する一方、「まさか、こんなことになるとは」と困惑している。
川崎市では放射能汚染が確認された廃棄物を持ち込むことはないとのことですから、安心されて良いと思います。
しかし、このような心配は多少の知識があれば当然出てくることなのでしょう。
災害廃棄物、特に放射性物質の影響があるかもしれない廃棄物の処理は大変難しいでしょう。ただでさえ多忙の極みの被災地の自治体が、十分な知識や検査装置をもって処理をするのは艱難でしょう。
先日もTVで、暫定基準を越えた農作物をつぶしている様子が放映されていましたが、その放射能は土に残るらしいです。地下水に浸透する可能性もないとはいえませんね。また、焼却すると再飛散を起こしたり、濃縮された焼却灰の管理も問題だと指摘する専門家もいらっしゃいます。
また、下水道処理では、処理した後に汚泥が発生するのですが、その後、汚泥の燃料化・肥料化をしている場合、この対策も十分にしないといけないのでは?放射性物質の測定をしてからでないと、安心して再利用できないかもしれません。
知人の研究者から聞いた(理解不能でしたが)100Bq/Lのヨウ素131という濃度の水、1人あたりの平均日量消費とすると、その汚泥から何ミリシーベルトかの放射性物質によって外部被ばくになるとか・・・あくまでも可能性の話です。現時点でデータは採れませんが。
今週末に控えた神奈川県寒川町の事業仕分けでも、水質検査などの事業が対象になっています。環境放射能のモニタリングや測定は、国が基準を定め都道府県が事業実施していますが、これに水道事業者を取り込んで、早急かつ長期的に対策を行う必要があると思います。しかし、全国の地方自治体現場の職員や民間検査機関では、このような災害に対応するのに十分な知識・経験・機材などを備えていないのではないでしょうか?
県や市町村水道局の維持管理課からメーカーに、予防的に住民のためを思って実施した調査を依頼しても、その意図が曲解され、放射能に汚染された水、などと騒ぐ住民が出てくるかもしれません。
国の傘下には、世界トップクラスの研究所がいくつもあり、過去のトラブルでも活躍した経験があるとのことなので、不安を抱えた関係自治体に対し、いまこそ、その知見を発揮してほしいものです。