明日がはじまるとき

事業仕分け 議論の向こうに明日がある

被災地の地籍データ確認という課題も

2011-04-07 | 事業仕分け

 東日本大震災では、地盤沈下や津波による浸水などで、まちが壊滅的な状態になった自治体も大変多くお気の毒な限りです。被災地の復興に向けては、さまざまな提案がされていますが、土地利用を考える上で地籍データの役割は重要です。
 この地籍データとは、国土調査法に基づき地籍(土地所有者、地番、地目、境界、地積)の明確化を図り、国土の開発保全等の基礎資料となるものです。地籍を調査することにより区画ごとに土地の境界や面積、所有者などを決める・確認でき、上下水道といったインフラ復旧や住宅再建を進める上での基本情報となる大切なものなのです。
 
 
実は、この被災地域は地籍調査の進捗(しんちょく)率が全体的に高く、地籍の整備はかなり進んでいたのですが、震災で土地の状況が大幅に変化してしまったようです。
 石巻市牡鹿半島の国土地理院の観測点が、東南東に約5.3メートル移動し、約1.2メートル地盤沈下するなど、地殻変動が観測されたそうですし、震災前に調べた地籍データと実態にかなりの相違があることも想定されるため、被災自治体は現況との相違などを照合し、最新のデータを作るなど、確認作業が必要となるのでしょう。
 また、地籍調査が済んでいない地域もあり、そのような場所では、復旧作業に入る前に境界などを確認する作業が必要になり、復興が遅れる一因にもなりかねません。

 ちなみに、全国の地籍調査の進捗率は、2009年度末時点で49%。東京都は20%、神奈川県は12%、千葉県は13%、静岡県は23%、愛知県は12%、大阪府は6%でした。
 これに対し、同震災の被災地域は、都市部の仙台市が進捗率29%と低いものの、他は岩手県陸前高田市が100%、宮城県石巻市が95%など、地籍調査に熱心に取り組み、土地の基本情報が整っている自治体が多いのです。せっかく調査したものが・・・大変残念です。

 早期の復興を目指すためにも、地籍データの確認作業はできるだけ早急に実施したいです。特に、調査区域が広範囲に及ぶため、従来の方法では時間がかかることが危惧されます。また、地元市町村が中心に行うことにも限界があると思います。
 復興地域を集中的に行うことや、他自治体の手による調査、簡便な調査手法の開発など、既存の法の見直しなども視野に入れた対策も課題なのではないでしょうか。


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