2月は事業仕分けがない唯一の月で、私にとっても、毎週末に家にいられる貴重な日々です。激動の1年を振り返り、新しい1年に想いを馳せていました。
事業仕分けも、取り組んでからもう10年が経とうとしています。市民権を得た感はありますが、特にこの2年ほどは、毎週末が地方巡業といった様相で、このまま同じように仕分けを続けていくのはどうなのかなぁ、と考えていました。
たとえば、「シルバー人材センター運営費補助金」の事業が対象になると、委託事業を精査する、補助金を見直す、自主財源確保策を検討する、市職員の天下りを廃止する・・・など、どの自治体でも論点はあまり変わらないので、また同じことを言うのかと空しくなるときもあります。他都市の事例を調べれば、どのような議論があったか容易にわかるのだから、実施側も事前準備をして、深い議論をしようよ。と言いたくなります。
これからは、論点を絞り込んだ上で、じっくりと市民評価者と行政が話し合い、本当に政策に反映できるような、納得する仕分けが求められるのではないでしょうか?
そこで、新しい仕分けスタイルを検討すべきと考えていますが、たとえば、
1 熟議型事業仕分け
2 アフター事業仕分けのための、討議型の仕分け対応会議
熟議型事業仕分けについては、1日2~4事業に絞り込み、十分な説明と、それに対して住民の意見を出し合い、時間をかけて結論を出す、というスタイル。
短時間、よそ者という反感から、結果を受け入れられない“ネガティブな仕分け”を解決するため、住民や議員の理解を深め、納得したうえで結論を出す「熟議型仕分け」・・・いかがでしょうか。
まぁ、簡単には受け入れてもらえないかもしれませんが、提案だけはしていきたいですね。
2については、事業仕分けの結果を行政内部で検討し最終判断をするというのがよくある対応です。でも、せっかく市民参加型事業仕分けが定着したのに、最終判断は行政が決めてしまうというのは、住民の政治参加の芽を摘むことにならないのでしょうか?
住民の理解や納得度を高めるためにも、議論の場を提供していくことが大切です。
そうでないと改革は先へ進まないし、批判ばかりに終始してしまいます。相手の批判や攻撃だけでは済まないほど、地方自治体は危機に瀕していると思います。
初期の全事業仕分けでは、1事業当たり3~5分程度でしたが、抽出事業仕分けでは、30分くらいかけて議論しました。最近の市民参加型事業仕分けでは、市民の発言時間を10分程度かけています。
仕分けが進化していくのに比例して、1事業あたりの時間が長くなってきました。
初期のエイヤッという切り方は限界で、劇場のライブショーも満足できない、自身の意見を持った市民が、政治参画意欲の発露として「討議」や「熟議」を求めるというのも、市民が成熟した証だと思っています。
近頃すなる熟議といふものを、われもしてみむとてするなり。