全米に吹き荒れた“トヨタたたき”は、米運輸省の「安全宣言」によって終息に向かうようで、一安心です。
でも、一連の問題でトヨタのブランドイメージは深い傷を負い、販売不振で米国でのシェアは、大きく落ち込んだ。それに代わるように経営破綻したゼネラル・モーターズ(GM)など米ビッグスリーは復活を果たしている。結果として、オバマ政権と米議会が、基幹産業の再生という“目的”を達成しつつあることは間違いない、とも報道されていました。
ちょうど1年前に米議会で、その後撤回したものの、「私のアドバイスは運転をやめることだ」と発言していたラフード米運輸長官は、態度を豹変(ひょうへん)させ、「娘もトヨタの車を買った」。などと、「買うべきだ」と助言したエピソードを披露しました。これには開いた口がふさがりませんでしたが・・・
トヨタは、「シロ」判定が出た電子制御の欠陥について、繰り返し否定し続けてきましたが、米政府も議会も、リコール後においても「急加速」の苦情が出ていることなどを事例に挙げ、執拗に疑惑をあおったそうです。
議会はトヨタの「隠蔽(いんぺい)体質」を強調し、“悪役”に仕立て上げたともいえます。
議会にはトヨタが米国に企業市民として根付き、雇用や投資で貢献していると擁護する声もあったそうですが、トヨタ工場が多くある南部を地盤とする、野党共和党議員の声は小さいままだったようですね。
しかし、米ワシントン・ポスト紙は9日付けの社説で、米運輸省がトヨタ自動車の急加速問題で「欠陥なし」との最終報告をまとめたことを受け、「ヒステリーを引き起こした米議会は責められるべきだ」と指摘し、反省を促した、と報道されています。
社説では、米議会の公聴会を、「真相を探るより、報道の見出しになることを意図したやり方だった」との見方を示したそうです。その上で、大局観や自制を欠き、真相究明につながらなかったとして、過剰なトヨタたたきを行った議会の対応を批判したようです。
これを読んで、アメリカ議会や報道の問題、と済ませられないと思います。
たとえば直近の例だと、村木厚子元局長の冤罪事件。村木さんを悪人に仕立てようという意図があったのかもしれませんが、それに乗って、真実がわからない中でのヒステリックな報道。さらに、背景には『郵政利権』の引き剥がしがある、大阪と東京地検の勢力争い説など、ドラマなら面白いでしょうが、たたかれるほうはたまったものではありません。
村木さんに比べればほんの些細な事ですが、私たち仕分け人も、実際のやりとりを見てない方から、そのブログなどで「事業仕分けはけしからん」的な発言をされることがあります。
実際に傍聴された方は『イメージと違って、真摯な議論だった』といってくださる方も多いのですが・・・
自分で確かめる、もしくは確かなことだけ責任を持って発信する。
当たり前のことですが、ブログやSNS、ツイッターなどを介して、誰もが「にわかジャーナリスト」になれる現在ですから、受信者側も自身で見極め、責任をもって発信したいです。