週末学校の事業仕分け講義は、まず模擬仕分けです。
模擬仕分け1事業目で、私は仕分け後の解説を行いましたが、そこで皆さんにお話ししたのは、
1 事業実施の背景を深く考えることが大事
2 そのうえでこの事業の必要性が生まれたことを理解すること
3 課題を的確に捉えることができれば、目的(あるべき姿)は明確になり
4 課題解決のための手段はおのずと導き出される
5 手段がわかれば、活動実績の項目は明瞭だし
6 課題が取り除かれた「あるべき姿」(=目的)を測るのが成果指標だ
といった内容でした。
模擬仕分けで取り上げられたのは、人口減少に悩むある過疎地のまちの「地方公共団体版ハローワーク」でした。Iターン、Uターンの方たちに雇用の場を提供し、もって定住人口の維持を目的に行っているそうです。
解説で強調した「背景・必要性」「目的」「課題解決の手段」「成果」のキーワードを踏まえて、模擬仕分けを行ってもらいました。
説明からは、
人口減少が背景にあり、定住人口増加のためには雇用の場が必要なので、自治体で職業紹介をしたいとのこと。(平成15年に職業安定法の改正により、無料職業紹介事業が地方公共団体へも開放されたため、取り入れたようです。)
目的は、この町に定住の意思がある方を対象に、求職中の方に職業を紹介することだそうです。??紹介することが目的??それじゃ、手段が目的にすり替わっているよね。という指摘をしました。
次に、職業紹介の手段ですが、そもそも求職中の方が何人いるかわからない。通勤可能圏内の事業所数もわからない。ターゲットの人数もわからないのです。
目的が職業紹介することになってしまっているのですが、紹介した数は示されていません。成果目標は定住促進なのに、成果指標には「就職者数 0人」と記載しかありません。
また、政策を実行するためには代替手段を並べ、どれが効果的か比較し、もっとも有効と思えるものを採用するのがふつうなんでしょうが、この職業紹介所という手段しか考えていないのです。一方で、厚生労働省のハローワークがあり、そちらには情報が多く集まり求人も成功している、という説明です。
だったらハローワークでいいじゃない、と研修生からも声が上がりました。
しかし・・・この説明者のSさんがなかなか飄々としていて、事業説明をしながら、「どうも目的があっていないように感じる」とか「手段がおかしかった」と反省しながらの説明なので、「ダメな事業だからアドバイスがほしかったの?」と突っ込まれてしまったほどです。
結論は「不要・凍結」 まあ順当な判断といえます。
人口減少を食い止めるための職業紹介は必要かもしれませんが、この手段は適切でない、という判断ですね。
さて、2日目は各班に分かれてミニ事業仕分けを行いました。
私の班では、終始「背景は?」、「この事業の必要性は何?」、「目的がずれていないか?」、「ほかの手段は検討したか」、「受益者負担は考慮したか?」などなど、基本に徹した議論ができました。
説明者もやり、仕分け人もやれたこのコマが、研修生にとっては一番充実していたかもしれませんね。
でもね、座学も大事ですが、やはり実戦に落とし込めるか否かが鍵ですから、この経験を活かしてくださいね。
私も、事業シートを読むときには基本に戻って、課題はなんだろう、何がどうなったらあるべき姿といえるのだろう、課題解決の手段として適切なのだろうか、などなど、そもそも論で考えていきます。
基本は大事、ですね。研修生に教えながら、私が教わった2日間でした。ありがとうございました。
両脚を揃えお行儀よく寝るピオニーさん