事業名「次世代スーパーコンピューティング技術の推進」
次世代スーパーコンピュータープロジェクトは、平成18年度に(独)理化学研究所を中心に民間3社(富士通、NEC、日立)で開発を開始。
18~24年度の総額は約1,154億円。NECと日立がベクトル部を、富士通がスカラー部を担当。世界最速10PFの開発を目指すというものです。
*PF(ペタフロップス)・・・毎秒10,000兆回の浮動小数点演算を実行
平成21年5月、NECと日立は経営悪化を理由に撤退。これによりシステム構築の見直しをし、スカラー単独型に変更。開発総額の見直しにより、1,230億円に増額しました。
計画の基本部分で変更が生じたが、十分な総括ができないまま「世界1位」が目的化し、多額の投資を継続すべきなのか、という疑問が提示されました。
事業仕分けのやり取りでは、次世代スパコン開発の意義が問われ、
・10PFクラスの汎用機を開発することが目的化していないか?
・複合型から単独型になったことの妥当性は?
・ハードの変更となったがソフト開発を同時に行う意味はあるのか?
また、次世代スパコンの有効活用についても、
・有効活用するためには、実際に利用する若手研究者がいるところに複数おくべき。
・スパコン技術開発の継承が重要であり、マシンの計算速度世界1位を目指すより、複数マシンを開発し、使い勝手やソフトウェアを競うことが重要である。
など、ほかにもたくさんの指摘がありました。
しかし、専門家が語るスパコン事業の事実は更にあったのです!
・ユーザー側からみると、スパコン1箇所のみでは利用者が限られてしまうため、複数拠点に設置し、アクセスしやすいスパコンの開発が求められている。
・世界のスパコン開発状況をみても、2011~2012年度には、アメリカで22PF、中国や欧州では10PFを4~5箇所、さらにアメリカで2010年初頭に1000PF開発計画を発表するなど、世界はもっと進んでいるそうです。日本の計画「2012年度に10PF」で、世界最速は実現可能とは、とても考えにくいです。
・他と比較し費用が膨大であることも問題だそうです。現在東工大で開発のスパコン3PFを15PFにするために必要な経費は、概算で150億円程度だそうです。また、1BMは800億円程度で近く発売という話もあるそうです。日本の1,230億円は高すぎると思えてなりません。
このほかにもまだ、大学センターとメーカーの関係とか、基板の問題など、課題は多いそうです。
蓮舫さんの「世界2位ではいけないのか?」は、1箇所に1企業が多額の国費を投入しても、現在の状況では世界1位など到底無理なので、開発体制など抜本的に見直してほしい、という問いかけでした。
そのときの文科省の答えは「世界1を取ることにより、国民に夢を与えること」です。
こんな世界1・・・皆さんは夢をもてますか?
奴等がコンピュータも分からずに口をはさんだから「船頭多くして…」になった。
あと東○大のスパコンは某先生の玩具なので安くても使い物になりません。
安くて良いのができるなら、採用しないほど現場の人間はバカじゃない。
では何故採用しないのか?もう少し勉強しましょう。
コメントありがとうございます。
残念ながら、このように巨額な予算に口出しをする方がいることは、多くの方から指摘されます。ですから、客観的には有効と思わるやり方が採用されないことは、かなり多いのだと思います。
今回の事業仕分けでも、仕分け人の指摘に対し、官僚側の2列目の方(直接事業を実施している若手官僚など)が頷く場面が多かったですね。
スパコンに関して言えば、ブログに挙げさせていただいた以外に、ご指摘のようなヒューマンイシューが最大の障壁になっているのかもしれません。
しかし、犯人探しをしたところで、また違ったやりかたで利権争いが繰り返されてしまうでしょう。
事業仕分けを公開するメリットは、このような問題が多い方法を採択したことを、多くの国民の方に知っていただき、もう、予算の取り合いだけでは済まされないのだ、とお金や権益に群がる人たちにわかっていただきたいのです。
私を含め現場にいる方は、人間系の問題は承知の上で、事業仕分けの議論では「事業のそもそものあり方」をしたいのだと思います。
が、仕分け人があまりに不勉強すぎる。会計検査だって、会計を知らない人がやりますか?やらないでしょう。
安ければ良し、というのは余りに物を知らなさ過ぎる。スパコン仕分けの直後、米国でのスパコンの展示会で日本は世界の笑い者になっていたのですよ。
近視眼的でなく、数十年先を見た行政をして欲しい。切実な願いです。
現場にいて、現実を良く分かっている方の声にじっくり耳を傾け、次回の事業仕分けに反映していただければと、切望します。