道路の防草コンクリートの型枠工事を知り合いに頼まれて
南アルプス市へ向かい到着した現場は
それこそ猫の額のようなと言う表現がぴったりな現場
でも一応道路工事なので警備員さんが一人いて
その警備員さんは野球の野村監督にそっくりな強面
俺が仕事を始めようとしたらその野村監督似の警備員さんが
「食べる?」とポケットをゴソゴソッ
ガムでもくれんのかなぁと思っていると
野村監督似の警備員さんがポケットから取り出したものは3本のちくわ
そのうちの1本を 「ハイよ」
俺は 「いらねぇ」 と即答したが
野村監督似の警備員さんが顔に似合わずカワイイ声で 「おいしいよ、ハイ」 と
思わず俺は断ることができず
そのちくわを頂き、野村監督似の警備員さんと一緒に食ったけんど
何の味付けも無ぇちくわは
おせいじにも美味ぇとは言えねぇ
朝からちくわをおやつに食うなんて 「野村監督似の警備員さん変わってんなぁ」 と思い
一人寂しく仕事を始め
「ラジオでもありゃいいなぁ」 なんて考えながらのんびりと、たわいのない仕事をこなして 「アッ」 と言う間に昼休みになり
道路脇の歩道でヘルメットを椅子代わりにして弁当を食ってると
今度は自転車にやたらと荷物を積み込んだホームレス風のくしゃおじさん似のおっちゃんが俺の隣に立ち止まり
現場の横のゴミだらけの草っ原を眺め始めた
「くしゃおじさん似のおっちゃん何探してるんだろう」 と思いながら人間ウォッチング
「するするっと」 くしゃおじさん似のおっちゃんが草むらに手を伸ばしてとったものは黒い物体
その物体は 「なっなっなんと」
午前中、俺が 「ありゃぁいいなぁ」 と思ってたトランジスターラジオ
「やられたぁ」と思ったけんど 「使えっこねぇーじゃん」 と思いきや
くしゃおじさん似のおっちゃんがイジリだした
俺は 「どうせ電池でもとるずらぁ」 なんて思いながら見ていると
そのトランジスターラジオから うっえをむぅいてぇあっるこおっぉっぉなっみだがぁこぼれぇないよおおに 坂本九ちゃんのスキヤキソングが
くしゃおじさん似のおっちゃんが俺の方を向いてガッツポーズをしながら俺に
「おっちゃん儲かるけぇ?」
「儲かんねぇ」・・・俺
「おっちゃんこそ儲かったじゃんけぇ」・・・俺
「長年の感さぁ 感で何処にいいもんが落ちてるかだいたいわからぁ」・・・くしゃおじさん似のおっちゃん
「マジけぇ」・・・俺
「ガンバレや」と俺に一言残して、くしゃおじさん似のおっちゃんは去って行きました。
ホームレス風のくしゃおじさん似のおっちゃんに励まされた俺は
ポカポカ陽気とスキヤキソングが流れだした時のおっちゃんとの笑顔を思いだし
妙に楽しくなりスキヤキソングを300回ぐらい口ずさみながら本当は5時までしなきゃいけねぇ仕事を
野村監督似の警備員さんが帰ぇーりてぇ様な顔してたから4時半で仕事をおしまいにしてやり
本職のボクシングジムに向いました。
2人のおっちゃんのおかげで人生っておもしれぇ~なぁってことに改めて気付く最良の1日でした。
おっちゃん逹ぃ~ありがとぉ~
PS.今度どっかで逢ったら一杯やろうぜ
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