現在は枯れてしまったようですが、京都御苑の北東で、京都迎賓館の東側に染殿井跡があり井桁だけが残されています。このあたりに平安時代前期の公卿である藤原良房公の邸宅の染殿第があったとされ染殿第跡としても知られています。
その染殿井跡の井桁の横手に植えられているのが1本のナツツバキ(夏椿)の木です。沙羅双樹の寺として知られる妙心寺塔頭の東林院でも先週の15日から特別公開が始まったということで、咲き始めているかなとその数日後に見に行ってみると、咲いていました。
白い花で埋め尽くされるというほどの咲き方ではないですが、ぽつぽつと枝のあちこちで花を咲かせていました。足元を見ると敷き詰めるように咲き終わった花が落ちており、花を観賞しているときにもぽとぽとと落ちる姿が見られましたから、すでに咲き始めていたようですね。でも、まだ蕾もたくさんつけており、もう少し観賞できそうです。
その蕾を見つけた際、その横にも蕾らしきものがあるのですが、花柱が飛び出して二裂した柱頭が顔を出していたのですが、おそらくこれは若い実でしょうね。
トリミングして少し大きくしてみました。
花は受粉して咲き終わりに近づくと、ツバキ(椿)と同様に花弁と雄しべがぼとっと落ちてしまいますが萼は残っているようで、しっかり結実するようそのまま子房を包み込んでしまうようですね。
昨年できた、種子をばら撒いたあとの実が枝に少しだけ残っていましたが、包み込んでいた萼と五裂した果皮が見られます。
これまで花ばかり見ていたようで、実がどのようにできるのか、興味がなかったわけではないですが、しっかり見ていなかったようです。
先週末にツバキの実を紹介しましたが、同じツバキ科でも別属だからか、実のつき方はちがうのだなあとあらためて知るきっかけになりました。