京都御苑の南東部に鎮座する宗像三女神を祭神とする宗像神社では、そろそろ見納めになるのかと思いますが、境内から外へと枝を伸ばしたアイノコノウゼンカズラ(合いの子凌霄花)が花を咲かせていました。
ノウゼンカズラ(凌霄花)とアメリカノウゼンカズラ(亜米利加凌霄花)の交配種で、園芸品種で有名なマダム・ガレンの名前が本種の代名詞にもなっています。
こちらは先月7月上旬に岡崎神社の近くで咲いているのを見つけたノウゼンカズラの花。
ちなみにノウゼンカズラは中国原産のノウゼンカズラ科の落葉つる性木本で、日本には古くから渡来しており、平安時代には薬用として栽培されていました。野生種では、本種とアメリカノウゼンカズラの2種のみがノウゼンカズラ属に分類されます。
漢字表記の「凌霄花」の霄とは空のことで、つるで崖や壁をよじ登る姿を「霄を凌ぐ」と譬えて名付けられた中国名です。日本で古くは、まかやき(陵苕)と呼ばれ、陵苕の現代日本語での音読みはリョウチョウですが、平安時代にはノウセウと読まれ、これがノウゼンカズラと呼ばれる所以となったとされています。
なお、ノウゼンカズラ、アメリカノウゼンカズラ、アイノコノウゼンカズラの3種を区別する見分け方については2年前に当ブログで紹介していますので、お時間ありましたらこちらをご覧ください。
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さて、このアイノコノウゼンカズラをよく見てみると、枝の途中にところどころ、このようなものがついているのが見られます。
じつはこれ、アイノコノウゼンカズラの気根です。もちろん、ノウゼンカズラやアメリカノウゼンカズラにもあります。この気根を使って他の植物や壁などに張りついていくタイプのつる性植物なのです。
なお、つる性の植物は、その特徴によって大きく以下の4つに分けられるでしょうか。
・巻きつき型:自分自身の茎をらせん状に巻きつける植物(アサガオ・スイカズラ・フジなど)
・絡みつき型:バネのようなツルを伸ばして絡みつく植物(スイートピー・トケイソウなど)
・寄りかかり型:枝にあるトゲなどを利用して寄りかかる植物(ノイバラ・ブーゲンビリアなど)
・張りつき型:気根や吸盤を出して壁などに張りつく植物(ノウゼンカズラ・テイカカズラ・ツタなど)
ということで、ノウゼンカズラは4番目のタイプになりますね。注意深く観察してみると、花だけでなくこの気根にも気づかれると思います。そろそろ花は終わりですが、まだ花が咲いているのを見つけられたら、気根で支えている姿を探してみるのもよいかも。