so far, not so bad

"unselfconsciousness"

おためごかし

2016-10-20 22:32:49 | エッセイ
東京。

地方出身者にとっては、行政区分の東京都ではなく、
関東のあの辺、というような使い方をされる。

上越新幹線が荒川を越えたって、
東海道新幹線が多摩川を越えたって、
ああこっから東京だ、なんて実感する人はほとんどいないだろう。

大体空の玄関口である羽田にしたって、ギリギリ東京都だ。
東京ディズニーランドに至っては千葉県にある。


次回のオリンピックは(一般に)『東京オリンピック』と呼ばれている。
エンブレムにも堂々と『TOKYO』と入っている。

まあ普通世間一般の人であれば、東京なのね、と思う訳だ。
"大体東京"だったとしても、まあ一都数県が許容範囲だ。
いやそうじゃないんだ、福島なんだ、宮城なんだ、と言われても、
流石にそれは・・・、と言いたくなる。

でもなぜかそこに「被災地復興」とかいう言葉が重ねられると、急に範囲が広がるらしい。
そこだけ聞くと、東京が被災地?まあそうじゃないとは言えないけど、となるが、
いやいや、被災地は東京都の事を言ってるんじゃない。
会場として候補に挙がっている、福島や宮城の事を言っているのだ。

理念らしい。
被災地の復興は東京オリンピックの理念らしい。
首相官邸ホームページにある『2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針』という長い名前の文書には、確かに、
「復興五輪」として、
という一文がある。
ただ、この文書は2015年に閣議決定された文書で、
どうも招致活動中はその理念は表に出さず、
2013年に開催都市として決まった後に「復興」を掲げたらしい。

なんで?
そりゃそうだ。あの恐ろしい災害が起こるかもしれない国に、誰が行きたがるだろう。
度々サッカーを話題に出すが、確かあの時に仙台に所属していたM選手が急に退団したのは、
心労がどうとか、当時の婚約者が日本に滞在する事を拒絶したからとかいうのが理由だそうだ。
(なぜだかまた日本に戻ってきてその後約4シーズンに渡ってプレーするんだが…。)
地震も放射能も、海外からわざわざ来て自ら体験する必要は無いからね。


なんかさ、
事実と思惑と取ったもん勝ちの事実を並べて眺めると、
どうしてこんなに一貫性無く好き勝手な事をしてまわるのかあきれてしまう。
そりゃ、バッハ会長も話をたがえるなって釘を刺したくなるよね。

復興を掲げるなら最初から堂々と掲げればいい。
どのみちそのお金が復興に回る事も無いんだから、それで開催出来ないならしょうがない。
本当にそうしたいなら東北の都市をメイン会場にすればいい。
その後も決まってないのにあっという間に潰した国立競技場のように、
色々な場所にお金をかけて手を入れればいい。
そしてイギリスの50年計画のように、併せて"レガシー"として長く世に残せばいい。

そんな事する気もないのに、
会場一つ持って行った所で、一体何が残るのだろうか?

仮設住宅のユニットバスを大きなお風呂に変えました、とか、
なんかばかばかしくて笑ってしまった。
誰のために何を準備しているのだろう。

まったく、まったく。

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