いつもながら、どこからこんなに人が湧いて出た、と驚く。
田舎のお祭りはそんな感じ。結構な子供の割合に、少子化なんて嘘なんじゃ、と錯覚する程にぎやか。
ここの花火は間近に見られるからいい。特大サイズは上がらないが、その代わりに迫力満点の音圧を感じる事が出来る。
並んで立っていたその辺の中学生くらいの子が、ふとつぶやいた。
「みーんなスマホで写真撮ってるよ。直接見ればいいのに」
その通りだ、少年。君は正しい。
自分も掲げていたスマホを下ろした。(だから写真は打ちあがり始めた頃のまだ小さな物の。)
昔の知り合いの言葉をふと思い出した。
「頭に焼き付けるからいいの。」
直接自分の目で見て、記憶すればいい、映像じゃなくて、思い出が残る、と。
格好付けた写真を撮ろうと躍起になっていた頃だったので、その言葉を聞いてドキッとした。
そうだね。
なんで写真を撮るんだろうね。
記録?自慢?見栄?
ふとまた悩みそうになったけど、それは後にする事にした。
だって、目の前には素晴らしい花火が幾つも広がっているんだもの。