(前編より続く)
かくして生まれて初めてEV機上の人となった私(とカミさん)は、早速プラグインステラをスタートさせた。
「今乗ってるのは電気自動車なんだかんね!」
と自分に言い聞かせていたので、イグニッションキーを捻り「READY」ランプが点灯して走行可能状態となってもひたすら無音なのには驚かなかった。この程度のことならプリウスでも体験済みだし。
サイドブレーキを外し、しずしずと発進させても同様。「うんうん、良くできてるジャン」てなもんで鼻歌気分だ。
街へと乗り出し、一つ二つと交差点を曲がる。
すると、クルマの挙動が非常に落ち着いていることを実感する。
ノーマルのステラでは、R2と同様のシャシーに背高の上ものを乗せた影響から、ゆすられるような挙動が出がちなのに、コイツは床下に積載したバッテリーが低重心という恩恵につながって、実にしっとり落ち着いた乗り味を生んでいる。
そしてこの静けさ。交差点などではよくよく注意しないと、並走する自転車や歩行者からの認知が得られないことを実感。ハイブリッド車でもすでに言われていることだけど、静かすぎる乗り物ならではの問題って確かにあるみたいだ。
ちなみに静粛性については、乗っている側よりも車外でそれを強く感じる。
というのも、車内ではタイヤや車体床下から感じるロードノイズがそれなりに耳に付くから。こうしたノイズは外から見ている分には感じにくいため、端から見れば無音のクルマ、と映るわけだ。
ちなみに車外からの印象はこんな感じ。
背景音の大半は、ベイブリッジ上を走行する車の音なのだ。
で、今回の予定は、3時間という持ち時間の中で首都高湾岸線→東京アクアライン・海ほたるPAまで走行し、そこからとって返して首都高川崎線・殿町PAで降り、後は産業道路を横浜市内まで戻るというルート。
早速、みなとみらいランプから首都高に乗り入れ、本牧経由でベイブリッジへ。
合流車線での加速を含めて、想像通りの力強さを感じる。低速域から高トルクを発生する電気モーターの特性のなせるワザだ。時速80kmまではほぼリニアな加速感を維持。そこからはわずかに穏やかな感覚に移行しつつ、実用上の最高速はメーター読みでおよそ110ポポロンといったところか。もちろん、街中で感じた落ち着き有る挙動はハイウェイでも同様で、乗り心地的にも好ましい。
ところがここで問題発生。
電力残量の目減りが予想以上に著しいのだ。
東扇島まで来たところで、早くも「ノコリ50km」を軽々切って40km台へ。
これじゃあ海ほたるまで行って帰ってくるのは正直不安になる。
ここまでの走行距離は30kmたらずだから、満充電での公称走行距離90kmからすれば、まだあと60kmは走れてほしいところ。それが高速道路のスピードレンジ(今回は基本的に約90km/hほどで交通の流れに乗って走った)では、こうした状況になってしまった。公称走行距離は10.15モード燃費基準での数値と言うが、加減速や速度域によっては結局こうなるという見本のようなものだろう。
というわけで、敢えなく予定変更。
浮島インターで高速を降り、再び高速に乗り直して来た道を戻る。
目指すは大黒ふ頭だ。
このプラグインステラ試乗提供には、神奈川県も協力しており、自治体としてEV推進の旗を振っていることから、県内数カ所にEV用の急速充電施設が用意されている。その一つが大黒ふ頭にあるというワケ。実は大黒PA内にもそれがあるというのだが、休日ではPA内で思うように動けない可能性があるし、そもそもPAに入ると大黒出口から出られないということもあって、ここで高速を降り、一般道のロードサイドに設置された充電スタンドを目指したのだった。
かくしてスタンドに到着。
一般のコスモ石油のスタンドに併設されているが、社会実験ということで充電代はタダ。その代わりといっちゃなんだけど、スタンドの兄ちゃんが手伝ってくれるわけでもなく、傍観するのみ(笑)。
充電装置はこんな感じ。
操作系と表示板を兼ねたタッチパネル液晶
この液晶の下に、充電開始/停止ボタン(こちらは機械式スイッチ)がある。
一見するとガソリン給油機にも似た充電コネクタだけど、脱着は意外と面倒。
説明書きもフクザツです。液晶パネルやスイッチ類の操作を含めて、まだ十分には練れてない感じがしますな。
オマケ
充電スタンド直上の照明は太陽電池「のみ」で点灯、と誇らしげ。
もちろん充電される電気は、スタンドのはす向かいにある火力発電所から来てるんだろうけど(笑)。
さて、今回は残量20%ほどからの補充電だったわけだけど、所要時間はおよそ15分。
急速充電なので満タンまで充電されるわけじゃなく、およそ80%までとなる。
頑張ってるとは思うんだけど、ガソリン入れるのに15分も20分も待てないもんなぁ普通。
予定外のピットイン(苦笑)を終えて、ご存じベイブリッジのたもとへ。
車体側面にもベイブリッジが描かれていたもんで。それだけの理由(^^;)。
後はベイブリッジを渡って本牧、元町、山下町を流す。
街行く人にEVを啓蒙しちゃうゼ!
……とか思ったんだけどサッパリまったく全然注目されず(/_;)。
絵柄はハデだけど、逆に営業車か痛車(!)かなんかだと思われたっぽい(爆)。
というわけで、3時間のEV初体験が終了。
お値段5,250円(+高速代)ナリ。
このプラグインステラは、スバル自身が言っているように、タウンコミューターに徹した乗り物だと思う。自分の住む街の中で使うなら航続距離についての不安も問題になるほどじゃないし、キビキビした加速を含め走行性能も十分。一方、街を出ようとハイウェイに乗ったとたん、速度レンジのアップがそのまま航続距離の短縮に直結するという厳しい現実に気付かされる。「A地点からB地点まで移動する」という仕事の量は、「時速何キロで」という変数によって変わってくるという当たり前の話に改めて直面するのだ。文系アタマなんで深く考察してないんだけど、直観的にはそんなイメージ。
公称値としてはプラグインステラの約倍にあたる160km走行可能を標榜する三菱i-MiEVにしても、この問題は避けて通れないんじゃなかろうか。つまり、現実的な交通の流れを勘案すれば、ハイウェイ走行での足の短さを覚悟せざるを得ないだろうと推察する。
充電についても、液体という形で燃料を流通させ補給できるという現在のインフラに慣れすぎた我々が、いざ充電となると最低十数分を要するという新しい仕組みに、意識のレベルから適応する必要があるだろう。
ともあれ電気とモーターで走る、という体験は、思った以上に楽しめるものだった。何より今まで「未来の乗り物(今日のではなく明日の乗り物)」と思っていた電気自動車が、まったく違和感なく街を高速を走ることのできる走行性能を身に付けていたことには感動した。内燃機関が失われたら走りの楽しみが失われる、というのはきっと杞憂なんだろう。
正直今すぐ買える値段でも、使い勝手でもないとは思ったけれど、「その日」が予想以上に近づいてきていることは実感できた気がするのだった。
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ちょっと親近感(笑)
スタンドでの充電に時間がかかると、
いずれはガソリン値上がり直前のスタンドの様相が
日常的に起きちゃうことになりますかねぇ。。。
ランニングコストがえらくかかりそーだけど、
そのうちバイクもオール電化されちゃったりしてー?
私たちは、今、大きな変化を迎えようとしているんだな~と。
車でもバイクでも内燃機関の乗り物に慣れ過ぎた
けど、
これから来る大きなうねりの中に良くも悪くも
飲みこまれていくんだな~と。
少し寂しくもあり、どうなっていくかちょっとわくわくもしてみたり。
自分は電気式の車や単車は賛成です。
内燃機関の車には良さも有りますが、電気式もこれはこれでメリットは多いと思います。
普及を強く望みます。
そ、そんなに静かだっけ?(^^;)>バイク
充電時間の件、これだけ時間がかかるとなると、みんなが乗るようになればスタンドは確かに大渋滞ですよね。路面から非接触で給電とか、いろいろ考えないとダメかもしれません。
これがホントにエコなのか、悩ましいところです。
発電専用(走ること自体には使わない)ガソリンエンジンを積む(レンジエクステンダー方式といいます)とか、それこそ燃料電池車とか(これって水素を燃やして走るわけじゃないんですよ)の方が、むしろ電気自動車の本命なのかもしれないですね。
>くにさん
うにょ~ん♪(爆)
この際だからわくわくしておきましょう。
でも、手持ちのバイクはビンテージ趣味として認めて欲しいよね(^^)
>KAZさん
私も望みます。でも上記のような課題もあるんで、ひとつKAZさんのお力で解決よろしくです(笑)。