私の父は17年前86歳で亡くなった。母は、弟の出産時に脳梗塞をおこし、右半身不随となった。それから母を支えながら、一生懸命生きた人だった。授業参観も、ほとんどの家は母親が来ていたが、家は、いつも父が仕事を休んで来てくれた。ただ、気が弱いのに、怒りっぽく、酒癖もあまり良くなく、人には好かれないタイプだった。
母の体が不自由だったため、母を残しては先には逝けないと言っていたとおり、父は母を見送った。
弟夫婦と同居していたが、その性格からあまりうまくいっているとは言えなかった。母を見送ってからの父は、寂しそうだった。
実家から車で10分ほどの、こじんまりした家庭的な施設に何年か入り、最期は病院で亡くなった。認知気味で、気分障害もあり、家では手に負えずの入所だったけれど、父は、よく家に帰りたいと、こぼしていた。弟夫婦も、盆正月は、外泊させてくれて、私たち夫婦も顔を見に行った。
父の亡くなる前日、病院に見舞いに行った。父は、話もできて、その時は穏やかだった。血尿が出ていたが、検査もせず、延命治療もしない、そう長くはないと医師からも言われていた。
今まで、一家の大黒柱として働いて来て、私たちを育ててくれた、父を、私は、何もしなくてもいいのか、今ここでまだ生きて、話もできる父を、見放すような気持ちになり、複雑だった。翌朝、父は1人で旅立った。母が亡くなって3年弱、よく頑張った父。
ありがとう、私は父の死を悲しむと言うより、ホッとした気持ちで迎えました。やっと、お母ちゃんの所へいけるね、良かったね。
人は必ず死ぬけれど、どう生きたかを、神様は見ているらしい。お父さんは、神様に何点もらった?気難しい父だったけれど、私にはたった1人の父、私には、100点の父でした。