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医学に関する「なぜ?」を見逃さない。
日々感じる医療の疑問に役立つような情報を綴っています。

日本人のがん死亡率で一番多いのはどこのがん?

2024-04-28 18:57:13 | 肺の病気
「2人に1人ががんになる」というのをよく耳にするようになった。
がんになるというのは長生きしているということでもある。先進国で多い病気。
もちろん子宮頚癌や骨肉腫など若い人がなるがんもある。

日本人の死因の1位は悪性腫瘍(がん)です。ではその中で1位は?
「肺癌」です。
罹患率と死亡率は異なり、罹患率とは「その病気にかかる率」。罹患率だけ見ると前立腺癌や大腸癌も高いけど、死亡率で肺癌が上回るのは肺癌で命を落とす人が多いから。

肺癌だけでなく子宮頸癌や大腸癌など、日本は欧米に比べてがん検診受診率が著しく低い。肺癌においては都道府県によっては50%を下回っているところもいくつもある。
息苦しさや痛み、咳があって病院受診したらレントゲンで異常を指摘されて精密検査に行ってみると、ステージⅣ(4)だったということもよくある話。
肺癌は腫瘍ができる場所にもよるが、ほとんどの患者が無症状。症状が出るときはもうステージⅣまで進行してしまっていることが多い。

さらに、ステージⅣの肺癌の中でも病理学的に小細胞癌だった場合には何もしなければ1、2か月で死に至ることもある。

肺癌患者はタバコ吸っている人が圧倒的に多いのである程度覚悟している人もいる。ステージⅣとなると外科で切除はできない、つまりもう完治は望めないため治療は抗がん剤ということになる。覚悟してタバコ吸っていた人たちは「抗がん剤はやりません。」と言う。そしてその後2か月せずに空へ旅立った人が何人もいる。最期をどう過ごすかは本人次第。抗がん剤をやれば少しは余命が伸びるがそれでも抗がん剤の副作用に苦しむよりは何もせずに緩和医療だけして余生を家族と自宅で過ごしたいと考える人も多い。
今後高齢化が進むにつれてがんの治療薬は進化するが、それでも抗がん剤は絶対やらないという人がいるだろう。

最期のときをどこで誰とどう過ごしたいか、それは時間の経過や環境の変化とともに変わるものだけど、みなさんならどうしたいですか?

※写真は新穂高から双六岳へ登る途中のダケカンバ。年によってきれいに咲くときとそうでないときがあるけど、この年は本当に素晴らしい群生を拝めました。

人工授精と体外受精 「授」と「受」

2020-12-18 16:11:25 | 少子化
「受精」と「授精」で漢字を使い分けていることにしばらく気が付かなかった。
漢字の一文字が持つ意味の違いは大きいなと、これを見ると感じます。

今年の1月初旬に見た日経のニュースで「15人に1人が人工授精児」ってあった。ついこの前まで25人に1人だったけどすごい勢いで増えている。
日本ではだいたい年間50万回のトライがあり実際生まれてこれるのは10%ほど。この10%という貴重な命が今やクラスに2~3人いるというのだから技術の進化はすごい!
医師国家試験の問題も、患者設定が妊婦さんの場合昔は20代の設定が多かったけど今は実際のデータを反映し30代が多くなった。そして、時代の変化を反映して「10歳の女児が母親とともに受診」から「父親とともに受診」に変わった。個人的には「両親とともに受診」が増える国であってほしいと思う。

40代の妊婦さんも珍しくなくなった近年。不妊治療は辛い治療だしお金もかかるし周囲にも言いにくくて精神的に苦しいことも多いと思うけど、今や産婦人科には不妊治療をしている男女が溢れている時代。子供が欲しいなら早めに不妊治療を始めるのが大事。早ければ早いほど妊娠率は上がるからです。
少子化の時代、産みたいと思う人たちがいることがまず大事。そう思う人がいなければ少子化は加速するばかりなのだから。医療費がどうのこうのいう意見もあるけど、日本全体をまず見て欲しい。少子化が進めは将来苦しむのは誰か。
子どもが欲しいと思う人たちの気持ちを大切に、周囲の理解も進む世の中に早く変わって欲しいですね。

ところで、パリの空港コードがなぜ「CDG」なのか?と思ったことがある人も多いはず。成田ならNRT、羽田ならHNDでそのままなのでわかりやすい。「CDG」にはパリのパの字もリの字も入っていない。
実は「CDG」は人の名前。シャルル・ド・ゴール弟18代フランス大統領。
なぜ今その話かというと、フランスを少子化から救うのに尽力された人物だからです。
フランスでは同じ所得であれば家族が多いほど課税が少なくなるシステムをとっており子供が多いほど得するのです。もちろん子が多いければかかるお金も増えるけどそれに対しても子が増えるごとに支援額を増やしている。
フランスは「内縁」が多いことも有名。今やフランスの子供の60%近くは両親が結婚していない「内縁」だとか。だから結婚しなくても子供を産める環境があって日本より産みやすいのかもしれない。未婚率が人口の1/3となった日本でも柔軟に対応していかなければいけないだろうなと思います。

◆写真は2012年に行ったパリのノートルダム寺院。並んでいる人が多すぎて中に入るのをあきらめた。パリならまた来る機会があるかなぁなんて思っていたけどもう10年間経った。いつかまた行きたいな...。ところで、パリに着いた日、空港から電車で北駅に行き、そこでエスカレーターから転げ落ち左すねがぱっくり開いて4針縫いました。当時はフランス語わからないしどうしよ~って思っていたらベトナム帰りの親切な建築家さんが英語を話せてその人が病院まで付いてきてくれました。よく分からないワクチンを打たれ、ガムを噛みながらウインクしてくるお医者さんが縫ってくれました。(帰ってから調べたら破傷風のワクチンだった。) 当時の傷はまだ消えないしお酒飲むと若干傷口がかゆいけど、まぁ良い思い出。(良くはないか)。
皆さんもエスカレーターにはお気をつけて!
切れ味がすごいです。

「ヘム鉄(Fe2+)」と「非ヘム鉄(Fe3+)」

2020-12-01 15:51:29 | 貧血
貧血の話。
食事中の多くはFe3+で、胃腸で吸収されるためにはFe2+にならなければいけない。そこで活躍するのが胃酸とビタミンC。だからビタミンCが不足するとFe3+摂取しても体内に吸収できない。
一方、レバーやかつお、あさり、牛赤身肉の鉄分はFe2+なのでそのまま胃腸で吸収できる。
だから「貧血にレバー」は効率が良い。
ほうれん草やひじきはFe3+なので、吸収効率上げたかったらビタミンCも一緒に摂取するのが良い。
ビタミンCといえば「美白」というイメージも多いけど、貧血予防にも大事なのです。

と言いつつ私自身は最近ビタミンCよりお酒優先。口内炎ができてはまた新しい場所にでき食事のたびに激痛なのでまともな食事をしなければ...!と思っています。
今夜から、いや、明日から頑張ります!

そういえば、NHKの連ドラで使用されたAKB48の「365日」という曲が好きです。なぜかと言うと、「明日がんばろう~」という歌詞があるから。
今日できることは今日やるべき!と書かれた自己啓発本も多いし上司にそう言われることも多いでしょう。でも私は「明日でも良いことは明日やろう」というスタンスは働きすぎと言われる日本人に必要なことだと思います。

◆写真はキューバのTrinidadで立ち寄ったとっても素敵なレストラン。ガイドさんが頼んでいた鶏肉の串焼きが豪快な盛り付けで美味しそうでした。私はお魚のグリル。キューバはラム酒が有名。というわけでお昼からラム酒を飲んで気持ち良かったな~!


少子化と海外進出

2020-11-30 15:20:54 | 少子化
2019年10月の時点で、日本にいる日本人の人口が年約49万人減少し、総人口が年約28万人減少。
新型コロナウイルスの影響もあり出生数が減り統計上少子化が10年前倒しになったとのこと。
合計特殊出生率は数年ぶりに下がってしまった。
子育て支援をもっと充実させないといけないが、子育てに関わっておらず子育てがわかる政治家がいないのがやっぱり日本は問題だと思う。
国会の映像をテレビで見ると、ほとんど男性だもんね。
先進国の中でここまで男性ばかりの国はもはや天然記念物級。
ほんとに21世紀なのかな?

戦後がんばって復興し経済力だけが先進国レベルになったが、中身が追い付いていないことになった。でもドイツやイタリアはそんなことないね。ドイツにいたっては女性首相まで輩出しているわけだから。
なぜ日本だけがこんなに遅れているのか?
これは男性だけの問題ではなく、女性の問題でもあると思う。声をあげなければ何も変わらないが、声をあげる人は少ない。なぜか。それで良いと思ってる女性も多いからだ。選挙権を勝ち取った頃の昔の女性たちのガッツが今また必要である。

話はそれました。日本でこういう話を出しても日本にしか住んだことがない人には何言ってるか通じにくい。だから日本人はどんどん海外進出すべき。いかに平等に扱われいかに生きやすいかを実感すれば、帰国したときに日本がいかにずれているかわかると思う。これは今の状態に不満もなくこれで良いと思っている人に対して言っているわけではなく、少しでも疑問を抱いている人に向けて書いています。日本では自分のほうがずれていることになるけど、気持ちを強く持てば大丈夫。
日本人、頑張れ!

◆写真は2018年に行ったキューバのTrinidadというところ。カラフルな建物が並び別世界でした。キューバは少し日本に似ている。島国であること、大国に軍事的に利用されていること、資源や小麦などをほとんど輸入に頼っていること。キューバ人はとっても優しい。スペイン語は難しいけど英語を話せる人も結構いる。キューバは医学と教育が無料。どんなに財政が厳しくてもこの制度だけはやめない。国をつくるのは人。人には医学と教育が大事だからだ。日本とは似ていると言ったけど日本よりよほど素晴らしいね。日本人もキューバの大学の医学部に行けば無料。だから海外からの留学生もキューバで医学を学びに来るためクラスの1/3は留学生だと聞いた。そんなクラス楽しそう!日本の医学部は日本語なので日本語話せないと厳しいもんね。

実は日本に多い結核

2020-10-08 14:57:19 | 感染症
日本が先進諸国の中で結核患者が多いのはよく知られた話。
都道府県別では大阪がダントツ。東北は少なく、西日本に多い傾向にある。

HIV感染者も増えてきたと言われているけど、年間の新規感染者数はHIV感染者数900人に対し、結核は15,000人なので結核の方が断然多い。
感染症が原因の死亡者数では結核が最も多い。

結核は空気感染するが、健康な人はそんなに恐れなくても大丈夫。
9割近くの人は感染しても発症はしない。

昔は結核になればその先に「死」が待っていた。ところが、予防接種もでき治療薬も効いて治る病気になった。
しかし、今問題なのは「耐性菌」の増加。現在治療薬として使用されている薬が効かない結核菌が世界で増加中なのだ。耐性菌となると治療が難航するので世界中で耐性菌を増やさないように対策中。

何年か前にフィリピンのマニラで結核対策会議をオブザーブしたことがある。フィリピンは結核患者がなかなか減らず、多くの国際支援が入っているがそれでもまだ減らない。近隣の東南アジア諸国ではどんどん減っているのにフィリピンが取り残されつつある。それをどうにかしなければならない。
マニラにある国立病院の結核隔離病棟に行ったことがある。隔離といえばなんとなく厳重なものを想像しますよね。しかし、実際は病院の敷地内にあり窓も入口のドアも開いていて、空気感染だと知りながら近づくのは気が引けるほどオープンな雰囲気だった。現地の担当者曰く、「換気をすることが大事」なんだそうだ。
マスクをして中に入ったが、実はその後感染したのでは...と恐かった。冒頭で健康な人は大丈夫!なんて言ったけど、やっぱり恐いですよね^^;

でも最近また結核感染の有無を調べるIGRA(T-SPOT)をしたら、現在も感染していないし過去にも感染したことがないということが分かりました。
空気感染だからといってすぐに感染するものではないのだと実体験しました。

日本にもフィリピンから来られる方々が多いので日本人にとってもフィリピンの結核対策が上手くいっていないというのは他人事ではない。
でも、まずは日本国内の結核をどうにかしないといけないですね。

無菌室と言われていた日本も、感染症が増えてきた。
個人個人がいかに予防に向き合うかが大事な時代になったと思う。

◆写真はマニラ行ったついでに寄ってきたセブ島。フィリピンはきれいな海が多くてとっても素晴らしい観光資源を持った国。