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医学に関する「なぜ?」を見逃さない。
日々感じる医療の疑問に役立つような情報を綴っています。

実は日本に多い結核

2020-10-08 14:57:19 | 感染症
日本が先進諸国の中で結核患者が多いのはよく知られた話。
都道府県別では大阪がダントツ。東北は少なく、西日本に多い傾向にある。

HIV感染者も増えてきたと言われているけど、年間の新規感染者数はHIV感染者数900人に対し、結核は15,000人なので結核の方が断然多い。
感染症が原因の死亡者数では結核が最も多い。

結核は空気感染するが、健康な人はそんなに恐れなくても大丈夫。
9割近くの人は感染しても発症はしない。

昔は結核になればその先に「死」が待っていた。ところが、予防接種もでき治療薬も効いて治る病気になった。
しかし、今問題なのは「耐性菌」の増加。現在治療薬として使用されている薬が効かない結核菌が世界で増加中なのだ。耐性菌となると治療が難航するので世界中で耐性菌を増やさないように対策中。

何年か前にフィリピンのマニラで結核対策会議をオブザーブしたことがある。フィリピンは結核患者がなかなか減らず、多くの国際支援が入っているがそれでもまだ減らない。近隣の東南アジア諸国ではどんどん減っているのにフィリピンが取り残されつつある。それをどうにかしなければならない。
マニラにある国立病院の結核隔離病棟に行ったことがある。隔離といえばなんとなく厳重なものを想像しますよね。しかし、実際は病院の敷地内にあり窓も入口のドアも開いていて、空気感染だと知りながら近づくのは気が引けるほどオープンな雰囲気だった。現地の担当者曰く、「換気をすることが大事」なんだそうだ。
マスクをして中に入ったが、実はその後感染したのでは...と恐かった。冒頭で健康な人は大丈夫!なんて言ったけど、やっぱり恐いですよね^^;

でも最近また結核感染の有無を調べるIGRA(T-SPOT)をしたら、現在も感染していないし過去にも感染したことがないということが分かりました。
空気感染だからといってすぐに感染するものではないのだと実体験しました。

日本にもフィリピンから来られる方々が多いので日本人にとってもフィリピンの結核対策が上手くいっていないというのは他人事ではない。
でも、まずは日本国内の結核をどうにかしないといけないですね。

無菌室と言われていた日本も、感染症が増えてきた。
個人個人がいかに予防に向き合うかが大事な時代になったと思う。

◆写真はマニラ行ったついでに寄ってきたセブ島。フィリピンはきれいな海が多くてとっても素晴らしい観光資源を持った国。