泥から咲いた蓮の花

現在、リハビリ中なブログです。長い目で見守ってくだせ~

ジョゼと虎と魚たち

2004-11-23 20:42:33 | どろな話
ジョゼと名乗る足の不自由な女性(池脇千鶴)と大学生・恒夫(妻夫木聡)の出会いを描く。原作は田辺聖子。人を愛しく思い、それを表すこと。一緒にいてほしいと願い、それを伝えること。愛し合うこと。そこには常に決断とそれなりの覚悟があると思う。そして離れることも。

自分の経験してきた出会いと別れを改めて思い起こしてみる。記憶にまつわる想いは時とともに変容していく。棘が抜かれて優しくなってしまった記憶。未だにアクの抜けない苦さが伴う記憶。さまざまあるけれど、出会いには戸惑い、希望、勇気。そして別れには寂しさ、喪失、悲しみ、怒り…いろんな想いとともに、思い悩み、決断し、行動し、結果を受け入れる自分がいたことに気づく。一つずつ、自分が目の前にある道を選択し、そこを歩いてきた。

老婆のおす乳母車に乗ったジョゼにひかれていく恒夫。歩けないジョゼにとって外の世界は、あけがたに乳母車の中から眺める街だけ。恒夫は、ジョゼが一緒に暮らしていた祖母を亡くして独りぼっちになったことを知り、彼女の家に走る。ジョゼと二人の生活がはじまる。

ジョゼがのるモノ。祖母のおす乳母車、恒夫の背中、そして電動三輪車に変わっていく。こういう変遷が意味するものを自分に置き換えてみると興味深い。そして、ジョゼと恒夫がそれぞれ一度ずつ泣くシーンがある。なぜ泣くかは観てもらって、それぞれ受け取ってみればいい。独りぼっちになったときの不安。想いを果たせなかった悔い。理由はなんでもいい。人は泣くのです。そして歩くのです。というわけで泣かせてもらったよ。

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2 コメント

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せつない。 (はち)
2005-01-03 22:45:22
痛くって苦しくって頭から離れなくて見おわってからもせつなさが引きずった。見てよかったのか、見ないほうがよかったのか今でも分からない。痛かった。
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痛いねぇ (荒れ地のどろ)
2005-01-04 09:52:53
自分が今まで歩いてきた道に、あの切なさがあるってことなんだよなぁ。寂しさが喚起されちゃうよね。
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