『ありがち日記』

木原音瀬『捜し物屋まやま』

BLではない(けど、ほんのり香る)木原さん作品。一気読みでした。


ストーリー:天涯孤独で無職の三井は、放火に遭い家が全焼。途方に暮れていたところ、“捜し物屋”を営む間山和樹に助けられる。和樹は喋れないイケメンの弟・白雄と一緒に、客の失くし物を「占い」で捜す仕事をしているらしい。彼らの知り合いの弁護士・徳広の力も借りて生活を立て直す三井だったが、偶然、放火犯らしき男を見かけ……。ちょっと不思議で怖くて愉快。四人(と一匹)のドタバタ事件簿! 

主なキャラクターは男4人。捜し物屋というちょっとした便利屋的な職業を営む間山兄弟(実は幼馴染で義兄弟なのだけど…)と引きこもりの三井、間山兄弟が所有するビルに入る弁護士事務所で働く弁護士の徳広。それぞれの視点で一章ずつ描かれていくのですが、事件を解決しつつも、まずはキャラクターの紹介という面が強いかと。なので、いきなりですが続編希望!!です(笑)三井がいつの間にか普通になっていって、ドルオタ仲間となった徳広とともに、ドルオタ活動を満喫しているところが微笑ましかったわ~。

木原さんの他の本は気持ち的に暗くなるので覚悟してましたが、こちらは少し軽めなので読みやすいのかもしれません。とはいえ、やっぱり木原さん。三井の引きこもりに至るまでの展開はキツいな…。あと、一見明るくて周りを和ませるキャラの和樹の過去回想で登場する同級生の女の子の話や、人の気持ちを理解しない異能力者である白雄のストーリーは、人間の黒い部分を見せつけられて辛いものがありました。白雄はね…名前に白が入っているけれど、この4人の中で一人だけ黒いんですよね。危ういバランスで成り立つ関係性。そこがまたうまいなーって思います。

冒頭でBLほんのり香ると書きましたが、義兄弟の和樹と白雄との関係が、兄弟愛・家族愛だけじゃなくて、そういうところを超えた何かがある気がして、匂わせられるんです。白雄のほうが和樹に依存しているように見えるけれど、和樹のほうも…。

もう少しこの4人のお話が読みたいなと思って。ほのぼのとしつつも、絶妙なバランスでブラックな部分やドキッとするような言葉も出てくるから面白いですしね。あわよくば、和樹と白雄にはどうにかなってほしい…いや、どうにかならなくても良いので(笑)

2020年最初がこの作品で、まずは良いスタートが切れたかな?

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