『ありがち日記』

寺地はるな『彼女が天使でなくなる日』

寺地さんによる宝物本。


ストーリー
九州北部にある人口三百人ほどの星母島。子どもについての願い事なら何でも叶えてくれるという「母子岩」があり、近年有名になっている。そこで〝モライゴ〟として育てられた千尋は、一年前に戻ってきて、託児所を併設した民宿を営んでいた。子どもにまつわる様々な悩みを抱え、母子岩のご利益を頼りやってきた宿泊客に、千尋は淡々と為すべきことを為し、言うべきことを言う……。簡単な癒しではない、でも大切なことに気づかせてくれる、宝物のような小説。 

いつも背中をポンと押してもらえるような、励ましてくれるような作品を書いてくれる寺地さん。今作はちょっと違くって、当たり前過ぎて気付いていなかったことや、いつの間にか心の中に閉じ込めて積もりに積もったモヤモヤの存在に目を向けさせてくれるような作品。

もし気付かぬままにモヤモヤを飲み込んで、そのまま溜まって溜まって…その先に何が待っているのかと考えたら怖くなってしまった。どこかで諦めみたいなものがあって、もうこれが当たり前なんだと思ってしまっている自分がいたんだけど、そうではないよって教えてくれているみたいな。

最近の話、健康診断の結果で、貧血気味の兆候があったんだけど、疲れやすかったり日常的に怠さを感じていたはずと指摘されてしまったのよ。ところが全然気付かずに「こんなもんだろう」と当たり前になっちゃってて、もはやそれが苦しいとか辛いということにも鈍感になってたという🥺ところが、それは普通の状態じゃないよって気付かされて、ちょっとホッとした自分もいたんだな。
話が逸れまくっているけど、健康診断も受診せず気付かぬままだったらもしかしたら取り返しのつかない状態までなってたかもしれない。心のモヤモヤ堆積もそれと同じようなことかもしれないという例。

小説の話に戻って…
何かを求めてやってくる宿泊客に淡々と接する千尋は格好良い。言いたいことは言う、っていうことも私にはできないからさ。ところが読み進めていくとわかる。千尋も完璧な人間ではないし我慢もしていたのだね。

子育てや子どもにまつわる悩みを抱えている登場人物が多いので、同じ経験を持っている人たちはまた違った読み方ができるのではないかと思う。私には子育ての経験がないから、最初はどうかなぁ?理解できるかな?って思いながら手に取ったんだけど、大丈夫だったし実際に気付かされることもあった。

そんなにページ数もないので、読みやすいです。おススメです。
でも寺地さん、早いペースで新作を出されているので追いつけないんだよなぁ😅作家さんってすごい。ぜんぜん引き出しのない自分にはそれだけで尊敬に値します。


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