『ありがち日記』

『劉邦の宦官』

宦官については、世界史の授業で知ったときの衝撃がまず思い出されて、
その後、何か知らないけど、「勝手に物語化してやるーーーっ!」なんて思うほど、
その特殊な世界が妙に心に引っ掛かっていた分野でもあります。

これは劉邦そしてその息子の恵帝時代に宦官となった、2人の少年のお話。
2人の少年は狭い後宮で惹かれあうのだが、その関係も次第に権力争いの中で変わっていく。

さら~っと書いたところで、「ふむふむ、BLか…」なんて思われたら残念すぎるってもんで。
確かに、美しい容姿の少年が宦官に…とか、いかにも!!って感じだけど、
どうして宦官にならなければならなかったのか、という背景が大事なところ。
この2人を取り巻く環境が、リアルに生々しく描かれているなと。
本当にこういう時代があったんだろうなぁと。

漠然としたイメージしか、今まで持っていなかったのだと気付かされた。

ストーリーとしてもただのBLと一言では済まされない深みを感じるし、
中国史も、もう少し深く学んでみたい(受験勉強のためじゃなく)って思う。
宦官の存在を知った時以上の衝撃だったかも、この本は。

著者の黒澤はゆまさん、本当に新人作家さんなんだろうか?
参考文献リストを拝見すると、ものすごい本格的に勉強されて書いたのだと分かる。
それと、さらっとしているようで、ぐっと胸に突き刺さるような文体。

あらすじを書くことはしないけど、これはぜひともおすすめしたいと思う本。
ただし、残酷なシーンもあるので、耐性がないときついかもしれない。
特に最後、太后が戚夫人に対して行った、信じられないような仕打ちの描写は、
本当に読むのが辛かった…(-公-、)手がぶるぶるとね…。

表紙の絵も美しいので、つい眺めてしまいますしね。

これからも注目したい作家さん。 


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