『ありがち日記』

文楽 平成30年2月公演

今回は、八代目竹本綱太夫五十回忌追善、そして六代目竹本織太夫襲名披露公演なのですが、
諸々の都合によりそちらは拝見できず、第一部「心中宵庚申(しんじゅうよいごうしん)」を。

近松の最後の世話物らしいですね。
心中を脚色することを禁ずる法令が出されちゃって。

初めて生で鑑賞する演目でしたが、心中と言っても珍しい夫婦の心中でした。
今ならね、夫婦でどっかに行ってしまって生きていけるもんだと思うんですが、
昔はそうもいかなかったんでしょう。
それでも納得いかないのは、女房のお千代は妊娠中だったというところで、
2人の都合だけで子供の命を守ることは考えなかったのかな~と、どうしても思っちゃう。
(心中シーンでは確かに子供のことを想って泣き伏すんですが…)

原因としては、姑の伊右衛門女房がお千代さんをとにかく嫌いみたいです。
夫の半兵衛がお出かけ中に実家に戻しちゃって、本当にいじわるBBAなんですよ(笑)
ところが、丁稚や下女にもまあ酷い態度なんですが、それでもクスっと笑えちゃうところもあるので、
どうしてお千代さんだけ?と疑問にも思ったりもしたんですね…

お千代さんの実家は田舎のほうだけど大百姓で、それなり教養もある。
そして見る限り、よくできた嫁だったんではないかと。
何かちょっと苦手なことがあれば、姑的にはまだ可愛げがある嫁だったんでしょうけど、
卒なく物事を進められちゃうと癪に障るものだったんだろうなぁと推測。

とは言え、それでもそこまでかたくなに離縁をさせようとするのも意味不明ですけど。
そしてそんなの無視しちゃえばいいのに。。。(まだ言う)

結局、二人は東大寺大仏殿再建のための勧進所で心中します。
半兵衛がお千代さんを刺し、自分は切腹。武家の出ですからねぇ。
勘十郎さんのお千代、玉男さんの半兵衛、やはり華があります。

口上などは伺えず残念でした。
また、今回は始太夫のあまりにも急な訃報も…
文楽の世界ではまだまだこれから渋みを増していく50歳、早すぎます。
何ともやりきれない想いでしたが、今は安らかにお休みくださいという気持ちです。


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