つい先日「梅拾い」に行ってきた。梅酒には青い梅を使い、梅干しを作るには熟してしまった橙々色の梅を使うそうだ。農場に着くと見た事もないような大きな梅の木につぶらな梅がたわわに実っていた。
「ドサ ドサ ドサ〜」と降ってきたのは雨ではなく梅。
腕力の強うそうな男の人達が2〜3人梅の木の枝に手を伸ばしてガシガシ梅の枝をゆすりにかけるといっぺんに大粒の梅の実がドッと落ちて来た。
何も知らないわたしは木の真下にいて梅の実の落下を身をもって何度も受けてしまった。というかそれが楽しかったのかもしれない。小さな子どもも気にしていなかったし近所の高齢のご婦人達も気にしていないご様子だった。みんなニコニコしながら梅の実が降ってくると大急ぎでせわしなく梅を拾い集めた。
わたしは人生初の「梅の雨」に独りで大騒ぎをして「梅落とし」がどうの、「梅拾い」がどうの「これこそ梅雨だ!梅雨!大豪雨!」と大興奮だった。見知らぬ方達に大きな声で話しかけ、しかし、気持ちの優しい方達ばかりだったので何故か無視される事もなく相手にしてもらってしまった。ご婦人の一人などは「梅落としって季語?そういう季語があるの?」「あら貴女俳句を詠むの?」などと話しかけてくださって、これまたずいぶん高められてしまった。『俳句なんて詠まないし〜』「季語かどうかさえわからないし、第一そんな言葉がそもそもあるかどうかさえわからない」そんな思いつきで言った事をそんなに褒めないでおくれよ。
おそらくそんな事を勿体ぶらずにスッと心に入って来て話しかけて来てくださるその女性こそ俳句を嗜む方だったのだと思う。彼女はそんな心の人でそんな喋り方をする女性だったと思う。
あまりお褒めくださるので気恥ずかしくなってしまったが今思い出すと心底お優しい方だったのだと思えてくる。グスン、ホロリ。心に出来た温かい水たまり。楽しい1日だったなぁ。
今でも梅の実がポンポンと背中見当たった時の感触が忘れられない。
正に梅の雨。
濃厚な香りが始終漂っていた。
確かに「梅雨どき」の雨ってたまにこんな風にボタボタ降ることもあるのでそれを思わせた。
2024年6月21日 (金曜日)