歌詞を味わうブログ

1980年代から1990年代の日本のポップスの歌詞を味わうブログ

『あんた』 作詞:佐々木好

2021-05-15 10:09:00 | 歌詞を味わう
リリース:1984年

今週も当ブログを訪問いただきありがとうございます。
佐々木好さんは1982年にCBSソニーからデビューされたシンガーソングライターです。

この『あんた』は、アルバムでは1985年にリリースされた『暖暖』に収録されていますが、シングルとしては先行して1984年にリリースされた曲です。

ちなみに編曲は鈴木茂さんが担当しています。

「やっぱり あたし あんたが好きだ」のリフレインが、鈴木茂さんの素敵なアレンジメントでゆったりと流れるように仕上げられた特徴的な歌です。

「やっぱり あたし あんたが好きだ
短パン姿で怒っている
時々抱きしめてくれた人
この世で一番あんたが好き
男は後でわかるもの
別れた後でわかるもの
もっと抱きしめてもらえばよかったなんて、後の祭り」

短パン姿で怒っていようと好きなんですね。でも、2番の歌詞でわかるのですが、「あんた」はもう結婚しているので後の祭りなのですね。

「やっぱり あたし あんたが好きだ
ほんとに好きだったのかしら
おんなじテレビを見ていても
笑うところが違ってたでしょう
噂ではこの3月に結婚したと聞きました
あたしでなくても誰でもよかったなんて嫌なんです」

この『あんた』では好きだという気持ちをうちに秘めて心の中でつぶやいているだけだと思いたいんですが、佐々木好さんの作品には「あんた」と呼ぶ作品がもう一つあります。
それが『カニさん卯月』です。こちらの方はつらくて今が早く通り過ぎてほしいといった感じになっています。

この当時日本はバブル絶頂期で、金曜日の妻たちに代表されるような、私の周りでもタガが外れた浮かれた空気が支配してたように思います。

でも、その代償というものはとても高くついて、当事者だけではなく周囲の人たちをも苦しめることになるということを肝に銘じておく必要があると思います。

佐々木好さんの後期の作品には、そういう自我の狭い関係性から一皮むけた作品も見られますので、ぜひ他の作品も味わって見てください。

今週も最後までお読みくださり感謝します。