ショートエッセイ 二編
職人さんのサラメシ(1)
「ヒルメシなんてなんでもいいのです」と食に拘らないことを美徳としている職人さんがいる。道具にも拘りがないという。その割には11時半頃、空いてる時間を狙い近所の街中華で温かいタンメンや味噌ラーメンなど次々とメニューを制覇している。その後、車中で仮眠をとる。彼は「温かいものなら・・」という前提を言い忘れている。
僕なら前日にスーパーでおにぎりとカップヌードルを買っておく。できればチリトマトかシーフードヌードルがいい。休憩に車に戻ったついでに予め用意してきたポットから湯を注ぐ。おにぎりはカップのフタに載せ冷めないようキルティングのカバーをかけて置く。1時間以上経って伸びきり固まりかけたシーフードヌードルは最高だ。そして彼より15分余計に昼寝をする。
職人さんのサラメシ(2)
先々の現場近くで噂のこってり美味しいラーメンを食べてはインスタグラムに投稿する職人さんがいる。
この人、数年前に建材営業マンから床系職人に転職したがSNSは大得意。「職人のグルメキング」とか「成人病街道まっしぐらの軌跡」とかコメントして冷やかしているがまだ40代前半で若いし、馬耳東風ノープレブレム。
カーペットや長尺シートなどいわゆる床系職種は他業種とバッティングしないので単独で静かに仕事をこなせるのだろう。現場監督も来なくここは明日までに終わればいいというような小さな現場なら一人親方、時間もフレックス、早めに抜け出して気分上々、人気店に飛び込む余裕があるのだろう。
*サラメシとはNHKの働く人のランチを取材する番組のことでサラリーマンの昼食の略です。
(2021-1110 未発表)
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