カナダの親の高校教育を見る目が変わって来ています。
(マイナスだらけの高校留学を希望する日本の親子も、カナダの高校を見る確かな目を持って下さい。)
以前は、エリート然とした私立高校より、地元に密着し実際社会をそのまま映し出している環境のある公立高校を好む傾向がありました。
カナダの公立高校は原則無料。
私立高校は程度の差はありますが年間の学費200万〜500万。
経済的に余裕のある親でも選んでいた公立高校が見放され始めたのが2000年初頭頃からです。
移民が多く流れ込み、ESLの必要な生徒が増え、高校の授業自体のペース・レベルが親の希望に沿わなくなったのも一因。
高校のある地域が荒れ、高校内部の秩序も、学業に専念出来するのが難しいほどになったケースもあります。
そんな傾向に応えてIndependent Schoolと呼ばれる、カナダの親の要望に合わせた私立高校が雨後の竹の子のように出来始めたのも2000年代です。
特に、特別なケアの必要な子供を持った親からの公立高校への不満は膨らむばかりでした。
そこを襲ったパンデミック。
公立高校が機能しなくなりました。
オンラインも付け焼き刃。
教師もアタフタ。
結局学習すべき内容のほんの一部のみをなでただけのオンライン授業で、とにかく何か書いたら合格点をつけるような教育が続きました。
(公立高校の数合わせで送り込まれていた日本人高校留学生たちの命運は悲惨なものでした。将来が大きく変わってしまった高校生のヘルプを多数行いました。)
そんな公立をよそに、私立高校は独自の工夫をし(州政府の規制からはかなり自由度が高いですから)教育の質を保ち、親の信頼を勝ち取ったところも多いと観察しています。
もちろん、私立高校にはピンからキリまであります。
バンクーバー周辺ではトップクラスのCrofton House, Little Flower, SouthridgeなどのようにOverall rating が10/10 というアカデミックレベルを誇る学校から、British Columbia Christian(Port Coquitlam)・The Westside School (Vancouver)・Pacific Christian (Victoria)・St.John Brebeuf(Abbotsford)・St.Ann’s(Kamloops)・Regent Christian(Surrey)などのようにOverall rating10のうち5にも届かない低いレベルまで存在しています。
それでも、地元カナダの親たちは、同様の社会的地位、教育への考え、宗教観を共有出来る私立高校を求め、子供を送ります。
一種、独特な価値観を持った親が集まり、守り合う集団のような私立高校でもあります。
生徒へのケア、特別なギフトを持った生徒を伸ばすシステム、逆にReading,Writingなどで時間をかける必要のある生徒への指導体制などが整っており、指導者のレベルも高い(教師がMaster’s Degreeを持っている)教育環境を求め、お金をかけ続けるカナダの親が見えて来ます。
ある日本人高校生のCase Study:
「高校留学を考えた時、私立高校は眼中にはありませんでした。 カナダ人の中に混じり、友達を作り、社会を知ることも私の目的だったからです。 ところが、実際にエージェントの勧めで公立高校に留学してみると、日本でもうまくいかなかったんだろうなと思えるような日本人がたくさん。 巻き込まれるのが嫌で嫌でたまりませんでした。 周り他の高校生も、白人ではなくアジア・東南アジア・インド・中東・アラブ・南米などからの移民がほとんど。 ホストファミリーはインド系で、家の中ではヒンドゥ語を話していました。
学校の勉強も、かろうじてEnglish10に入れてもらえたのですが、雰囲気は悪く、先生も授業に集中するというよりは生徒の行動に気を取られ、しょっちゅう怒って授業を中断することもありました。 私はエッセイでとても苦労し、課題のエッセイ形式がわからないと質問しても何か説明を書いたものを見せられただけ。 文法が間違っていると指摘されてもどう直していいかもわからず、先生に聞いても『そんなこともわからないの?』という顔をされ辛い思いをしました。」
日本での学力も高く、やる気に燃えての留学だったのでしょうが、エージェントはそんな生徒の資質にはお構いなし。
公立高校に送ります。 環境の乱れからカナダの親が見捨てた学区の生徒数減少を補うために、エージェントが留学生を送り込むというパターンは相当の間続いています。
そんな犠牲になりかかった生徒を、ご縁がありヘルプした経緯があります。
エッセイの書き方、文法の使い方、クリティカルシンキングの大切さを基本から、背中をよいしょと押すようにヘルプし、次なる挑戦をと勧めたのがレベルの高い私立高校への転校でした。
Overall ratingが10/10に届くような私立高校には普通は英語が不自由な留学生のためのESLはありません。
学校のレベルに届く留学生のみしか受け入れない所がほとんどです。
まず第一歩はそのレベルに引き上げること。
そして、学校と直接交渉し、本人と親とが納得出来るまで調べ尽くすこと。
貴重な優秀な頭脳がカナダで潰れるのを救えたと思いました。
後日親からこんなコメントが届きました。
「まさか子供を私立高校に留学させるなんて思ってもいませんでした。」
そうでしょうか?
日本では高校はすべてランキングされていますよね。
出来るだけ高いランキングの高校に行かせるために塾に多額のお金を落とすのではないですか?
仮にトップランキングの高校に合格しなかったとしても、親の方針と合うような高校を探すのではないですか?
なのに、なぜ高校留学となるとどこでもいいわけですか?
エージェントの言うことをアホみたいにそのまま「はいはい」と、最悪の学区の最悪の高校に大事な子供を送るのはなぜなんでしょうね。
ReadingヘルプもWritingヘルプもおざなりなのに、まだ公立ですか?
日本からの留学生には、カナダの特別ケアが必要な生徒よりもっと深刻なReading/Wrirtingヘルプが必要なのに。
高校留学生は、最悪環境の公立にも、私立とそう変わりない授業料を払わせられます。
なのに、なぜ親はよ〜く吟味して子供に最高の高校を選ばないんでしょうか?
何十年も、不思議で仕方のない、責任放棄に近い高校留学生の親の態度です。
最後に、実はカナダの親もこんなコメントをしています。 (CBCの記事から)
I never thought I'd be the parent who sends my kid to private school.
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