いつもの電車はラッシュアワーにはまだ時間があるせいと、郊外からの直通電車ではないせいで、他の人と接触しない程度には空いていた。座席につくなんて野望は叶うはずもないが、文庫本を読むことくらいはできる状態である。ただまあ、私はそれほど長い区間を乗るわけでもないので、何をすることもなくいつものように吊り革につかまって、ぼんやりと立っていた。
途中駅でドアが開き、後ろから降りる人はいないのかと振り返った瞬間。女性の「降りなさいよ」という声が聞こえた。隣にいたおじさんの手を掴んだその女性は「あなた触ったでしょう」と言いながら引っ張るのだが、おじさんはごにょごにょと言い訳みたいなことを言いながら動こうとしない。私も含めた周辺の10人くらいはもう眼が釘付けである。こんな時は加勢すべきなのかなあと思っていたら、側に立っていた別の女性がおじさんの背中を押した。おじさんは大した抵抗もなくずるずると列車を降りる。その車両は最後尾で、それも最後のドアだったので、降りた女性はすぐに車掌に状況を訴える。おじさんは逃げるそぶりを見せるが、手を振り切って逃げるほどでもない。よく見ると右に肩掛けカバン、左には大きな袋状の鞄を持っていて、野球帽を被っている。ジャケットは着ているのだけれど、どうも普通のサラリーマンには見えないし、怪しい感じである。でもまあ、最近は冤罪事件なんかも多いらしいし、人を見かけで判断するのもよくない。そんなことを考えながら眺めていたのだが、おじさんは「考え事をしていたもので・・・。手が時々当たっていたのは分かっていたのだけれど・・・。」などと、訳の分からない言い訳をしているのが聞こえる。妙ににやついた感じだし、やっぱり怪しい。その頃には若い駅員が駆け付けていたので、もう逃げようなんてことは諦めたのであろう。そのうち、当事者の女の子は泣き始めてしまい、おじさんの背中を押して一緒に降りた女性が彼女の肩を抱いてなぐさめているのが見える。こうなると第三者的に事件を眺めているというのがどうにも辛くなってくる。みんなも同じらしく、どことなくそわそわした雰囲気が車内に流れてくる。時間にすれば数分のことでしかなかったのかもしれないが、なんとも嫌な時間であった。
たいていの男は綺麗な女の子を見れば触ってみたいという欲求が起きたりするものである。それはまあ、言ってしまえばごく普通の健全な欲求であろう。ただ、そう思うことと実際に行うことの差があるだけである。もちろん、その二つの間にはとてつもなく大きな差があるのではあるが、それでも私にだってそういう心の根っこみたいなものがあることには違いない。そう思うと本当に卑しいものを見てしまったという気がして、朝からうんざりとしてしまうのである。
この種の事件に遭遇するのはこれで3回目。まったく、いい加減にしてほしいよなぁ・・・
途中駅でドアが開き、後ろから降りる人はいないのかと振り返った瞬間。女性の「降りなさいよ」という声が聞こえた。隣にいたおじさんの手を掴んだその女性は「あなた触ったでしょう」と言いながら引っ張るのだが、おじさんはごにょごにょと言い訳みたいなことを言いながら動こうとしない。私も含めた周辺の10人くらいはもう眼が釘付けである。こんな時は加勢すべきなのかなあと思っていたら、側に立っていた別の女性がおじさんの背中を押した。おじさんは大した抵抗もなくずるずると列車を降りる。その車両は最後尾で、それも最後のドアだったので、降りた女性はすぐに車掌に状況を訴える。おじさんは逃げるそぶりを見せるが、手を振り切って逃げるほどでもない。よく見ると右に肩掛けカバン、左には大きな袋状の鞄を持っていて、野球帽を被っている。ジャケットは着ているのだけれど、どうも普通のサラリーマンには見えないし、怪しい感じである。でもまあ、最近は冤罪事件なんかも多いらしいし、人を見かけで判断するのもよくない。そんなことを考えながら眺めていたのだが、おじさんは「考え事をしていたもので・・・。手が時々当たっていたのは分かっていたのだけれど・・・。」などと、訳の分からない言い訳をしているのが聞こえる。妙ににやついた感じだし、やっぱり怪しい。その頃には若い駅員が駆け付けていたので、もう逃げようなんてことは諦めたのであろう。そのうち、当事者の女の子は泣き始めてしまい、おじさんの背中を押して一緒に降りた女性が彼女の肩を抱いてなぐさめているのが見える。こうなると第三者的に事件を眺めているというのがどうにも辛くなってくる。みんなも同じらしく、どことなくそわそわした雰囲気が車内に流れてくる。時間にすれば数分のことでしかなかったのかもしれないが、なんとも嫌な時間であった。
たいていの男は綺麗な女の子を見れば触ってみたいという欲求が起きたりするものである。それはまあ、言ってしまえばごく普通の健全な欲求であろう。ただ、そう思うことと実際に行うことの差があるだけである。もちろん、その二つの間にはとてつもなく大きな差があるのではあるが、それでも私にだってそういう心の根っこみたいなものがあることには違いない。そう思うと本当に卑しいものを見てしまったという気がして、朝からうんざりとしてしまうのである。
この種の事件に遭遇するのはこれで3回目。まったく、いい加減にしてほしいよなぁ・・・
あらぬ疑いをかけられぬよう・・・
パパさんも、気をつけてください。
ただ、男性専用車両となると、それはそれで喧嘩ばっかり起きてそうで・・・。
世の中うまくいかないもんです。