兼題「栗の花」
栗の花匂ふ夜道の下駄の音
栗の花鞍馬の駅舎覆ひけり
栗の花閻魔黄泉への井戸暗し
栗の花六道の道さまよへり
炎天下ゴルフボールは池の底
夕暮れの帰路を急ぎしはたた神
久しぶりの京都の中心六波羅蜜寺
空也証人 平清盛そして六道の道 珍皇寺
その他ゆっくりと散策してランチして
京都は最高ですね
季題「春の花一切」
花曇りランプの店に二人かな
夕風にもつれてゐたり柳の芽
崖超えの九番ホール花馬酔木
武家屋敷芽柳の影揺れてをり
菜の花や酒蔵並ぶ旧街道
季題「夏一切」
風薫る水面に影の浮御堂
庭先に散るをこらへる白牡丹
白鳳の塔の水煙風光る
尼寺やまばゆき白の花水木
梔子の香りの続く夜道かな
兼題「巣箱 鳥の巣」
窓開くる部屋の正面燕の巣
燕の巣土間に出入りの穴ありて
ゴルフ場のヤードを示す巣箱かな
ボンネットに足跡残る猫の恋
梅林の短冊風にうらおもて
去年の巣をリノベーションの燕かな
兼題「淡雪 はだれ雪」
淡雪を駆け抜けて来る児の頭
牡丹雪地につくまでを遊びつつ
赤レンガの続く港やぼたん雪
はだれ雪忘れし事の多かりき
淡雪やカナダよりロッキーの便り
兼題「自由」
上賀茂の神馬の眼初詣
初詣糺の森の水音かすか
八坂の摂社余さず廻る初詣
大絵馬の虎の飛び出す初御空
駅伝の勝負のタスキ初御空
大福茶静寂の午後の一人かな
新年迎えて今年こそ一陽来復願っておりますコロナも
収まり楽しい事いっぱいの年になりますように願って
おります 俳句と俳画 ゴルフにマージャン水泳いつまで
続くか? ぼつぼつ頑張ります感謝を忘れずに
兼題「水涸るる」
日溜まりに寄り添う鳩や水涸るる
城南宮の涸るる曲水風抜ける
水涸れの千里の沢に鷺降り来
水涸るる猫の足跡続きけり
池ざらいの盥に跳ねる在来魚
城跡の崩れしままや湖かるる
兼題「冬始め」
初冬や星塚めぐる観心寺
孤を描きつつ翔つ鳥の冬に入る
外出着きめかねる日々冬始め
閉ざさるる秘仏金堂冬の蝶
紅葉且つ散る正成の五輪塔
小春日や大躍進の維新かな
兼題「色変へぬ松」
色変へぬ松対岸の近江富士
色変へぬ唐崎の松時流る
広重の絵となる松や色変へぬ
近江牛シェフのあざやか馬肥ゆる
銀杏葉や芭蕉の句碑の岩間寺
兼題「秋の声」
薬師寺の僧の整列秋の声
黙想の寺の縁先秋の声
秋声や蘇我馬子の墓覗く
秋の声相輪見上ぐ女人堂
ねねの道香るコーヒーこぼれ萩
白萩や祖母の遺影の笑み吾に
兼題「秋口」
秋口や木洩れ日写る室生川
初秋や宇陀の聖地に雲ながる
柚子みその串こんにゃくや宇陀の里
参道の三本杉に秋の風
初紅葉そろりそろりと太鼓橋
秋口や如来本堂仁王門
兼題「羽抜鶏」
神苑に鶏冠眩しき羽抜鶏
石上の羽抜けの神鶏おちこちに
羽抜鶏正午の刻をたからかに
羽抜鶏ついばむ羽根を咥えたり
雨を待つ鉢の白蓮名は如来
緑陰や雲中菩薩数えたり
「52体楽器など奏で舞う姿を近くでうっとり」
兼題 「葦簀」
瀬の音や葦簀立てかけ貴船茶屋
露天湯の葦簀屋根より日のこぼる
葦簀茶屋毛氈の縞模様なる
朝焼けの茅花流しや貴志川線
緑陰や當麻の鐘の音遥か
兼題「蛙:青蛙」
青蛙百八十度見てござる
朝市の青菜にまざる青蛙
岩風呂の端に蛙のかしこまる
不死王の湯けむり散らす若葉風
薫風や夢殿観音開かるる
兼題「引き鴨」春の鴨
引き鴨の湖北の沼に集まり来
隠沼に二羽ゐるらしき残り鴨
静かなる水輪かさねて春の鴨
百舌鳥陵に残りし鴨の数多なる
白鳳の塔の吉野や花万朶
春光や金峯山寺の秘仏なる