maidoの”やたけた”(ブログ版)

ジジイの身辺雑記。今日も生きてまっせ!

正直者探し又は嘘つき探し 其の四

2015-02-03 16:13:31 | 支離滅裂-迷想迷夢-正直者探し

山よりデッカイ猪(シシ)は出ん、海より大きな魚は釣れん。
と言うたものの、山賊の始末をどうしたもんか?

「判らん奴っちゃなぁ」
「よう判らさん奴っちゃなぁ」
「何ぃ!」
「頭(カシラ)、辛抱、辛抱、お仕事、お仕事、金の為、金の為」
「お前等は脇で面白がってるだけでエエやろうが、ワシはもぉ辛抱が出来ん」
「差し出がましいようでおますが、そこを何とか辛抱するのが人の道・・・」
「お前に辛抱出来ん言うてるのや!」
「そう、一々怒ってては、人は使えまへんで。
人の上にでも立とうかという人は、心は広く、考えを深く、腰は低く、志は高く、実るほど頭(コウベ)をたれる稲穂かな」
「アホに意見されてりゃ世話は無いわ。早う書け!」
「どないに?」
(はて、困った何んぼにしょうか?百万円では流れに合わん、どっちみち出任せや、エィ十両!)

「使いの者に十両渡せ。さもないと私はひどい目に合う。と、まぁこう書かんかい。」
「不味い文句でんなぁ、色気もシャシャラも有れへんがな。
せめて、『ととさま、まいる』くらいの出だしは考え付きまへんか?
それに十両は安過ぎまっせ、ワタイはもうチョット値打ちがあると思うがなぁ」
「うるさいなぁ!エエから書け、物には頃合いいうもんがあるのや。そら又何を書いてるねん?『と、まぁこう書かんかい』まで書いてどないするんや!」
「私はあんたの言う通り・・」
「お前、ジョ~シキいう言葉を知らんのか?」
「さぁ、聞いた事が有るような無いような」

「頭(カシラ)、頭(カシラ)、落着いて、落着いて、ならぬ堪忍、するが堪忍」
「子分の方が人間が出来てるがな、さてはアンサンが黒幕で影の親分、この頭というのは傀儡か?」
「もぉ~っ、辛抱出来ん!こうなったら金はどうでもエエ。こいつのケツから空気入れて、猪名川に浮かべて石でもぶっつけん事には、腹の虫が治まらん。」
「カエルやあるまいし、そんなことをされてたまるもんかいな。
腹の虫が治まらん時は陀羅尼助かお百草、センブリかゲンノショウコ、海人草でも飲みなはれ」
「頭(カシラ)、泣いたらあかん、泣いたらあんたの負け、男の子でっしゃろ」
「お前までがワシを嬲(ナブ)るか」ポカッ!
「アッ、子分といえば子も同然、組織にとって人は宝。
人は石垣、人は城、その貴重な人材に・・」
「口ごたえするな!」ボカッ!
「暴力はいけません!暴力は」
「暴力や無いわい、愛のムチや」
「生憎そう言う趣味はおまへん」
「オノレ!まだワシをおちょくるか!」ポカ、ポカ、ポカ

「頭(カシラ)横暴、頭(カシラ)横暴」
「お前等ワシにたて突くんか!」
「造反有理!、造反有理!」
「我々わァ、民衆の力を集めェ、旧来の身分制度を打ち破りィ、頑迷固陋、反革命的な勢力を打破しィ・・・・」

「まぁまぁ、仲間割れしてる場合やおまへんやろ。此処は一つ私の顔に免じて」
「私の顔?ボケ、縛られてる身で何を抜かす。お前のその口が原因や!キィ~ッ!」

親分、興奮して泡吹いて倒れてしもた。

「ホレホレ、ボーッと見てんと、気道確保して、帯緩めたりなはれ。
呪(マジナイ)いやけど気は心、そこの草鞋をデコに載せとき」
「いやこれは・・」
「イヤとかオウというてる場合や無いやろが。 縛られててもこういう事にはあんたらより詳しいねん。
黙って言う事聞いて、早よ載せなはれ。
そないに斜めやのうて、真っ直ぐ載せんと落ち、オンヤ?斜めに載せて落ちんとはこれ如何に?あんたは手妻遣いか奇術師か?」
「そやからその草履はワタイがさっきカドで犬のナニを・・」
「そのナニで引っ着いてるのんかいな。それは肥やしが効いて一段と良かろう」

「どれどれ、しょうが無いから身代金の請求書でも書いたろかいな。え~、おとっつあんへ、と・・
ほれ出来た。これをワタイの家に持って行って、お金を取ったら、あんたらの仕事は済むのやろ」
「チョット待っとくんなはれ、手紙を見せた途端に、捕り手がバラバラ、捕まり~の、千日前でお仕置きの、骸(ムクロ)は西道頓堀は幸町の浜で船に乗れられ~の、難波島の先で芦原にポイッと野晒し、カラスの玩具になるのはご免でっせ。
どない書いたか読んどくんなはれ」
「何?お前等無筆かえ?」
「そうですねん、釜から直では余りにも味気ないから言うてるのに、ケチな頭が買うてくれん」
「何んのこっちゃ?」
「お前等、オヒツ買え、と言うたやおまへんか!」

「ワタイも疲れてきた・・。頭もエライ、よう辛抱してるわ。
ちゃうがな無筆というのは、字が読めんというこっちゃ」
「ほんならそうと、ハナからいうたら判るのに、粋がって外国語を使うから判れへん」
「立派な日本語やがな。心配しな、そんな根性の悪い事を書いては無い」
「さぁ、そう言われても、信じてエエもんやら悪いもんやら」
(ヨシヨシ、やっと話が戻ってきたど、一時は何処へ行くんかと気が気や無かったがな。ク~、往生したなぁ・・)

「ワタイは人に嘘をつかれて騙されて、嘘をついたり、つかれたり、騙しあいの町中の暮らしにホトホト愛想が尽きて、正直者が住んでるところを探しているうちに、おまはん等に捕まったのや。
その私が嘘を言う筈が無いや無いか」
「その話が嘘では無いという証拠は?」
「そんなもん有るかいな」
「それでは信用できんなぁ!」
「疑り深い奴やなぁ、そない言うんやったら、ワタイの目を見なはれ、嘘をいうてる目かそうでないか」
「目脂(メヤニ)が付いて、血走ってますなぁ、ちょっとやぶ睨み?」
「そうや無いがな、目には真(マコト)が現われる言うやろな」
「見えん、目玉が乾くほど根を詰めて見てるけど、マコトも何にも現われて来まへんで」
「困ったもんやなぁ、嘘をつくと目が泳ぐ言うやろ、ワタイの目は泳いで無いやろ!」
「確かに、抜き手もクロールもしてまへん、それにしても、今まで目玉の水泳は見たことが無い」
「どう言うたら信じてもらえるんやろなぁ?」
「どう聞いたら信じさせてくれますねん」

いままでやったら、困った振りをしてたら、親切ごかしの世話焼きが、しゃしゃり出てきての援護射撃、どうにかこうにかなって来たけれど、こうして知る辺も無い所でたった一人になるとそうはいかん。

くっさ~!くっさ、くっさ、くっさ~!
「アッ、お頭(カシラ)お目覚めでっか。おはようございます!」
「アホンダラ、犬のナニをワシのデボチンに塗ったんはドイツや!」
「ドイツやのうて日本人のコイツ」
「いや、それは悪気が有ったんやのうて、良かれと」
「良かれと思うはそっちの勝手、されたワシはエエ迷惑、
臭っさ、臭っさ、ワッ!臭っさ~!こんな事してくれと、何時ワシが頼んだ?」
「あんさん泡吹いてたから・・・」
「頼みもせんことをようもしてくれたなぁ、ワシに何ぞ恨みでも有るのか」
「いや、そやから良か・・」
「良かれと思うてしたら、どんな事でも許されると思たら大間違いじゃわい。
狭苦しそうやと亀を甲羅から引きずり出したら生きては居れん。
溺れたらイカンと金魚を水から出したら死んでしまう。
腰が曲がって気の毒にと、バアサンの腰を無理から伸ばしたら、これまた大事(オオゴト)。
相手の事情をよう聞いて、エエか悪いか考えてからせなアカンのじゃ、判ったか!」

パチ、パチ、パチ、パチ!
「いやいや、さすがは山賊、追剥とは言え、親分ともなると大したもんや、感服仕った。時に、お主(ヌシ)、心学を何処で学ばれた」
「まだ居ったんかいな、このアホは。あッイカン、こいつの顔見ただけで頭が・・」
「あんたも人を使うて、気苦労が多おますねんやろ。
此処はワタイにまかせて、無理をせんと休んどきなはれ。
身代金はキッチリ取って上げるから」
「おい、こいつ自分の言うてる事が判ってるのんかいな?
ドコゾの世界に自分で自分の身代金を取る奴があるもんか」
「へぇ、それが、さっきお前等では頼りない言うて、親元への手紙を書きよりました。
恥かしながら、ワタイら皆んな字が読めん。
此処の事をお上に知らせる手紙やもしれず、もしもそうなら一網打尽、雁首並べてサラシ首、団体割引で死出の旅路」
「難儀やなぁ、キッチリ、アホが伝染(ウツ)ってるがな。
どれ、その手紙とやらを見せてみ」
「それはエエけど、その額のナニを何とかして貰わんと、顔を向けられると、臭うて、臭うて」
「ウッ、思い出した!臭っさ、臭っさ~!ウワ~!臭っさ~い!

て~事で続く。(始めたもんはしょうが無い。何処の野面で果てるやら、行ける所まで行こかいな、)


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