ペンネーム牧村蘇芳のブログ

小説やゲームプレイ記録などを投稿します。

禁断の果実 第1話

2025-01-14 22:10:38 | 小説「魔術ファミリーシリーズ」ウェストブルッグ1<禁断の果実>完

 ここガーディア王国では、
 涼しげな秋の気配を感じる取るようになっていた。
 しかし、『涼しくて気持ちがいい。』というのは、
 あくまで昼の話である。
 朝晩となると、少し冷えるくらいだ。
 初秋の季節は、昼夜の寒暖の差が以外とある。
 そして、そんな冷える朝に今日も耐え切れず、
 今だにベッドに潜り込んでいる美女がいた。
 髪が長いのか、ベッドと布団の隙間から、
 美しいストレートの髪が外の景色を眺めている。
 その美女の部屋には、似合いもしない巨大な机があり、
 その上には昨夜遅くまで見ていたのか、
 様々な魔術書がところ狭しと無造作に重ねてあった。
 そして、その本の全てに、ところどころに栞が挟まれている。
 飾り棚もあったが、中には奇妙な物しかなかった。
 何かの動物の角のようなものや、
 真っ黒いケースに収められたカード。
 更には、しっかりと封印の印を刻んだコルクで
 栓をしている瓶等が連ねてある。
 小さな木箱も口を開いたまま置かれているが、
 そこに入っているのはアクセサリー等ではない・・・
 何かの動物の骨だ。
 いかに、この部屋に住む女性が美女とはいえ、
 仮に男が誘われて入ってきたら、
 おそらく5分とたたずに逃げ出すにちがいない。
 そんな部屋に、少しクセッ毛のあるウェーブのかかった
 美しいロングヘアーを持った美少女が、
 まだ眠いのかホエホエな表情で入ってきた。
 そして、ノホホンとしたお気楽な口調で、
 可愛い声を出す。
「お姉ちゃん、朝よー。」
 他の人が今の声を聞けば
『お休みなさい』
 を言っているかのような、そんな錯覚に囚われかねない。
 しかし、そんな彼女の声に対して返ってきた声は、
 更に輪を100回かけて眠たそうな、そんな声であった。
「・・・んー、もう少し・・・。」
「もう、しょうがないなー。」
 『お姉ちゃん』と呼んだその美少女は、
 特に『しょうがない』と思っていないような口調でそう言うと、
 右手の人差し指を、お姉ちゃんのベッドにゆっくりと向けた。
 そして、その細い指先に淡い光が灯ると、
 徐々に上へ上へと上げていく。
 するとどうした事か、
 お姉ちゃんの寝ていたベッドの掛け布団が、
 フワフワと宙に浮きはじめた。
 その美しい人差し指の動きに合わせるかのように。
 ベッドに寝ていたお姉ちゃんは、
 突如やってきた身震いに手で布団を探すが、
 無情にも布団は天井まで高く上がっていた。
「ちょっと、キャサリン!!
 なんてことするのよ!!!」
「んー?
 優しく起こしてあげてるの。」
 無言で姉から布団を奪い取るのが優しいことなのか!
 と、おもいっきり叫びたかったが、
 悲しいかな毎朝の低血圧には勝てない、
 お姉ちゃんであった。
 お姉ちゃんにキャサリンと呼ばれた美少女は、
「朝食の用意、できてるって。」
 と、まだホエホエなままで言うと、
 お姉ちゃんの部屋を出ていった。
 その部屋の扉には、
“ケイトの部屋”
 と、書かれた札が掛かっていた。
 そして、
“絶対に起こさないで下さい”
 と書かれた札も、扉にしっかりと掛かっていた・・・。
 妹のキャサリンと違い、
 クセッ毛のないストレートのロングヘアーを持った姉のケイトは、
 とりあえず手近にあった服を着て鏡台の前にチョコンと座ると、
 丁寧にブラシで髪をとかす。
「よし、これでOKっと。」
 ようやく髪形が決まったのを確認すると、
 ベッドの枕元に置いてあったアミュレット(護符)を取ろうと、
 再びベッドに上がった。
 しかし、そんな単純な行動が最悪の結果を招く。
 まるで、ケイトが再びベッドに上がってくるのを待っていたかのごとく、
 天井まで高々と上がっていた布団が、
 急速にケイト目がけて落下してきた!
「キャアアアア!!!」
 再び『お休みなさい』とでも言わんばかりに降ってきた
 掛け布団のおかげで、苦労してとかした髪形は、
 やはり再びバサバサな状態へと戻ってしまった。
 もし鏡台に意思があったなら、
 冷や汗ダラダラだったに違いない。
「キャサリンのバカー!!!」
 どうやら、朝の低血圧は完全にどこかへ
 吹き飛んでしまったようだった。
 なんとも、朝から騒がしい家庭である。
 魔法を持つが故に、このような騒ぎになるのだろうか。
 ケイトは、自分も魔法使いであるというのに、
 このときばかりは魔法の存在をとても疎く感じていたのであった。
 これが毎週最低三回は起きるという、
 この魔術師一家の平凡な朝の光景である。

 ケイトが、不本意ながらも二度目のヘアスタイルを整えて
 ダイニングキッチンに入ると、
 いつもならゆっくりと朝食を取っている父の姿が見えなかった。
 ケイトのその思いを察知してか、
 外見年齢15歳ぐらいの愛らしい美少女がケイトに近寄り、
 丁寧な口調で語る。
「ケイト様。
 ヴェスター様でしたら早朝出勤ということで、
 既に出てらっしゃいます。」
「あ、ありがと。」
 ケイトは、その美少女、
 人形娘“ドール”の台詞を耳に入れると、
『なんだ、そっか』
 とでも言いたげな表情で自分の席に座った。
 脇にはキャサリンが、
 向かいの席には母のアニスと
 祖母であるベレッタが並んで座って食事していた。
 焼きたてのパンと暖かなコーン・ポタージュの香りは、
 朝起きたばかりの胃でも充分に食欲をかきたてる。
「おはよー。」
「昨日、夜遅くまで魔術書あさってたみたいだったけど、
 ちゃんと寝たの?」
 姉妹の母であるアニスが、
 心配そうに顔を覗き込んで問いかけた。
 それもそのはず。
 ケイトは王宮内にある“王宮魔法陣”と呼ばれる
 政権執行組織の呪文書解読のアルバイトをしており、
 昨日も夜遅くまで羊皮紙に解読した文書を
 マメに書いていたのである。
 給料日が近日である事から、
 アルバイト作業に熱が入るのも当然であった。
 だからこそ、扉に『絶対に起こさないで下さい』と
 札をさげておいたのである。
 それなのに・・・!
「ちゃんと寝たのかはともかく、
 低血圧が吹っ飛ぶ勢いで起こされたのは、
 隠しようのない事実よ。」
 隣で食事を取っているキャサリンへの、
 嫌味100%の台詞であった。
 が、しかし、
「あら、よかったわね。
 低血圧に悩まされずに起こしてもらえたなんて。」
「・・・。」
 この母あっての、あの妹か。
 よくよく考えれば、それもそうである。
 なんせ、二日前は母が新しく開発した薬を
 スープの中に混入していた事もあったのだから。
 ちなみにその時は即効性の眠り薬であった。
 さらにその四日前は、
 あろうことか遅効性の媚薬だった。
 確かにその事を考慮すれば、
 母である悪女に対して同意を求めたのは
 間違いだったのかもしれない。
 母、アニス・ファン・ウェストブルッグ。
 その筋では、知る人ぞ知る超天才の錬金術師である。
 錬金術とは、この世に存在しない異世界の物質等を作り出す術で、
 アニスは主にポーション(薬)を製造している。
 ちなみに、祖母であるベレッタには、
 週に一回服用すれば大丈夫という、
 リウマチの薬を作ってあげているらしい。
 この家で薬局を始めて8年になるが、その8年の間、
 毎年新薬開発賞という賞を受け取っている程で、
 腕は決して並みではなかった。
 だが、余計な事に悪女ぶりも並みではなかった。
 ケイトは、隣で上品に音を立てずに
 コーン・ポタージュを飲んでいるキャサリンを尻目に、
『自分は父親に似て良かった。』
 と、奇妙な安堵感を覚えていた。
 ドールが、ケイトの前にコーン・ポタージュとパンを
 ソッと優しく置く。
「どうぞ。」
 ビロードのサテン・ドレスを着たドールは、
 今日もとても愛らしかった。
 男性陣がドールにこれと同じ事をされたら、
 あまりの可愛らしさに誰もが優しく抱きしめて
 あげたくなるに違いない。
 事実、ドールはこの王国内においては、
 女王のエレナ、僧侶のアリサ、
 そしてこの家に住むキャサリンの三人に劣らぬ
 人気を持った美少女で、
 加えてとても優しく丁寧な口調から、
 王国内の街では“お嬢様”とも呼ばれ、親しまれている。
 王国内ではケイト同様に超有名人で、
 昔は彼女の姿を一目見ようとこの家を訪れる客も、
 決して珍しくはなかったほどだ。
 だが、ウェストブルッグ家では、
 この人形娘“ドール”を作ったと言われる200年前に、
 この人形娘の製造方法を闇に封印したという
 奇怪な話が残されている。
 200年前といえば、ウェストブルッグ家と
 他の三家がまだ分離していない、ブルッグ家の頃の話である。
 誰が見ても危険度ゼロの彼女なのに、
 ウェストブルッグ家では何故封印したのだろう。
 残念ながら、ウェストブルッグ家の人間にも分からなかった。
 封印した本人が、死の床まで堅く口を閉ざした為、
 この製造技術は受け継がれなかったのである。
 だが、おそらくドール自身は知っているだろう。
 しかし、それでもドールに直接そのような話を
 聞こうとする者は一人としていなかった。
 皆、この愛らしい美少女を傷つけたくないと
 願っているからに違いない。
 その証拠に、以前異国から訪れた者が
 ドールを手に入れようと試みたが、
 結果、その者は王国内の人間全てを敵にまわしてしまい、
 ついにはその者の首に賞金までかけられ、
 挙句の果てには暗殺組織アサッシン・ギルドの者に殺されたという。
 ドールは決して人ではなかったが、
 今では充分すぎる程に皆から国民として認められ、
 また、皆から愛されていた。
 だからこそウェストブルッグ家では、
 この人形娘と一緒に暮らしている事をとても誇りに感じていたし、
 過去の封印に触れようともしないのだった。
 そして、ドールもまたこの事を知っているからこそ、
 この家の召使いとして住んでいるのである。
 ケイトは、とりあえず今日の予定の確認をドールに聞いた。
「今日、魔術探偵側で何か予定あったっけ。」
「はい、今日の昼頃にお客様がお見えになる予定です。」
 今日のお昼・・・そっか、そういえばそんな予定あったな。
 その予定とは、今日の昼にイヴという名の女性が訪れる
 という内容であった。
 二日前に来たらしいのだが、
 その日は母であるアニスがケイトのスープに
 眠り薬を混入したせいで、対応できなかったのである。
 とりあえず、
 ドールが応じて『2日後に』という事にしてもらったのだが、
 今思い出すと非常に腹が立つ一件であった。
 ・・・ついでにもう一つ思い出した。
 アルバイトの給料日は、確か今日だ。
 ああ、空しいかな、魔術一家の家庭事情。
 しかし、いつまでも感慨に浸ってはいられない。
 昨夜仕上げた分の呪文書の解読を、
 王宮内の王宮魔法陣に持っていかなければ。
 なんせ、今月の給料がかかっている。
 ケイトは朝食を済ませると、
 自分の部屋に戻って魔術師としての格好に着替え(俗に言う法衣)、
 早めに城に向かう事にした。
 今日こそ、イヴという名の女性から依頼を受ける為に。
 しかし、その依頼の内容が今までにない過酷なものであるという事など、
 今朝の時点では分かるはずもなかった。

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禁断の果実 うんちく

2025-01-14 21:57:07 | 小説「魔術ファミリーシリーズ」ウェストブルッグ1<禁断の果実>完

※ガーディア国
 物語の舞台となっている国。
 シャンテ=ムーン大陸のほぼ中央に位置しており、
 西の帝国を除いた中では最大規模の国だ。
 四方の国境を警備する王宮騎士団、
 城下町全域を警備する王宮護衛団、
 国政・外交を統括する王宮魔法陣、
 これらの部署が主軸となって国を作り上げている。
 大陸の中心だけあって、最も盛んなのは貿易。
 南部国境の近くには空港もある為、
 人や物資の移動が盛んで常に活気が良い。
 旧世界の建造物を利用している箇所も多く、
 城下町の中に於いてさえ未踏のエリアがあるという。

※シャンテ=ムーン大陸
 世界6大陸の中で最大の大陸。
 西の帝国と他国との間は常に嫌悪的で、近年戦争も起きている。
 現在は、今も謎に残る“西の対戦”がきっかけで停戦中。
 緊張状態が続いているという。

※ソルドバージュ寺院
 ガーディア国内にある巨大な寺院。
 非常に珍しい旧世界の楽器オルガンを備えてあり、
 吟遊詩人には大変興味深い寺院らしい。
 西の対戦で貢献した六英雄の一人である聖女サリナが
 大司教を務めているが、本人は格闘術を極めた脳筋。
 寺院地下に道場があるらしいのだが、
 稀に僧侶の祈りの最中に悲鳴が聞こえる事があるという。
 寺院専属の聖騎士団が存在するのだが、
 総責任者が西の対戦で行方不明になって以来、
 これといった動きは一切見せていない。
 寺院裏手にある大きな霊園も管理している。

※王宮魔法陣の塔
 城壁に囲まれた王城区域内の東部にある。
 旧世界の小さな5階建てビルを利用。
 (実際には地下1階もあり。)
 電気が無くて動けない設備は魔力で補っており
 昇降機も活用されているが、乗り物酔いが多発する
 ところを見るに調整は上手くいってないようだ。
 ここには王宮魔法陣に関わる全ての部署が入っている。
 地下1階に“闇夜の陣”(王宮承認暗殺ギルド“ニードル”を運営する部署)。
 1階に“聖刻の陣”(主に旧世界の資料や魔法書などの管理部署)。
 2階に“皇王の陣”(主に政治を執り行う部署)。
 3階に“幻惑の陣”(主に情報の収集および操作をする部署)。
 4階に“破封の陣”(主に新たに発見されたものを精査する部署)。
 5階に“星界の陣”(全ての陣を統括する部署)。

※魔法街
 ケイトの家族が住んでいる街。
 呪われている、お化けが出る、魔素溜りになっている等、
 いわくつきの土地を活用する目的で
 魔法使いに無償提供された地域を指している。
 そんな所に住んでいる者は
 ケイトを含め変わり者が多い(←失礼でしょ!)。
 道を真っ直ぐ歩いても迷う立体道路と無数の十字路で
 構成されており、この街を訪れるなら地図必須だ。

※魔力
 精霊、五行、信仰、独尊の4系統が混合して
 成り立っていると言われている。
 地、水、火、風、木、金、聖、魔、空の9種類。
 通常は無から始まり、成人(この世界では15歳)
 までに上記いずれかの属性に必ず変化する。
 無のまま維持できないので、
 無の魔力は系統種にカウントされていない。
 一般人を含め、ほとんどが“水”の属性になるが、
 ケイトのように火の魔法を好んで使えば“火”になるのは当然。
 スペルユーザーほど変化に流されやすい傾向だ。
 魔法使いは“魔”、僧侶は“聖”が多いといった感じ。
 あくまで一例で例外もあり。
 ただ、このうち独尊に該当する“空”は変化条件が未だに不明。
 相克に当たらない事から弱点が無く、ある種理想なのだが、
 何故か危険人物扱いされている者たちの大半がこれだったりする。
 ここでケイトを例に詳細説明。
 ケイトは魔法使いで、セレネ魔法学院時代に
 全属性の各種攻撃魔法を習得していた。
 しかし成人を期に属性が火に変化。
 すると、以下の様な特性になる。
 火炎系魔法。
 通常の威力なら、魔力の消費は半分で済む。
 通常の魔力消費だと、倍の威力になる。
 火炎系の攻撃魔法を受けると、ダメージは半分で済む。
 ケイトぐらいの熟練したハイ・ソーサリスになると、完全無効化する。
 氷結系魔法。
 通常の威力なら、魔力の消費は4倍かかる。
 通常の魔力消費だと、4分の1の威力になる。
 (正にやってらんない状態と化す。)
 氷結系の攻撃魔法を受けると、ダメージは2倍くらう。
 魔力が水属性の敵に氷結魔法で攻撃されると、更に倍で4倍ダメージ。
 相克から、ケイトは水属性の敵と相性が悪すぎると言える。
 (基本的な対策は、魔法障壁(マジックシールド)で
  氷結系の攻撃を緩和または無効化。
  あとは地属性魔法で攻撃してアドバンテージを取りたいところ。
  氷結系の攻撃を防御出来るマジックアイテムがあれば尚良い。
  スーレンとの対戦ではそういった事前対策が無く
  魔力の強さが互角だった為、惜敗。
  もしケイトの魔力の強さがスーレンの倍以上あれば、
  相性が悪くてもゴリ押し出来た。
  おそらくケイトはそのつもりで挑んだと思うが、
  想定外にスーレンが強すぎたと言える。)
 ちなみに他の属性魔法は無の魔力の時と同じ。
 補正ゼロでプラスもマイナスも無い。
 また、水属性に聖属性の様な回復魔法があるが、
 こちらは普通に効果を受け入れられる。
 この事から、属性の影響を受けるのは
 攻撃・防御・補助系の魔法のみと思われる。

※魔力の相克と相生
 上記の魔力説明に更に補足。
 セレネ魔法学院では初等部の必須教科で、
 基礎中の基礎と言える。
 複数人のパーティーで冒険する際、
 補助魔法や合成魔法で味方を強化。
 相手の特性を読み、弱点をつく方法。
 初級冒険者でも知恵と工夫で強くなれるという重要課題だ。
 相克。敵の弱体化を狙う。
 水は火に強い。火は金に強い。金は木に強い。
 木は土(地)に強い。土は水に強い。
 相生。味方の強化を狙う。
 木は火を生む。火は土を生む。土(地)は金を生む。
 金は水を生む。水は木を生む。
 風は特殊。
 水の効果範囲を広げ、火の勢いを増し、地の砂嵐を激しくする。
 相性抜群に見えるが、その代償か風を強化してくれる属性は無い。
 空に弱いが空の魔力保持者の敵なんてほぼ無いので、
 あまり気にしないとの事。
 聖と魔も特殊。
 相性は無く、相克が異常。
 聖は魔に弱い、魔は聖に弱いと、
 強いのはどっち?とツッコミたくなる。
 これは単純に魔力の大きさで優劣が決まるらしい。
 しかし聖属性の回復・治療魔法は魔属性の者にも普通に効果がある。
 こちらも攻撃・防御・補助系に限って相克が起きるようだ。

※魔力の強さ(大きさ)
 更に更に補足。
 この世界では数値化出来ないが、感じ取る事は出来る。
 隠蔽は可能だが、隠し続ける事は高難度。
 強さに倍以上の差があると、
 火の魔法で氷の魔法を蒸発・消滅する事が出来る。
 圧倒的な実力差を見せつけるには最適な手段かも。
 学園の授業では“相克の崩壊”などと呼んでおり、
 実習で先生が生徒相手に行使。
 スパルタ学園と言われる理由の一つにもなっている。

※貨幣
 この世界は各国共通で独自通貨が無い。
 ほぼ銅貨と銀貨の2種のみで経済が回っている。
 金貨もあるのだが、金鉱山の産出が年々減少していることから、
 今では価値がかなり跳ね上がっていて投資対象に。
 昔は固定レートで、
 1リラ (銀貨)=10ラード(銅貨)
 1ルーフ(金貨)=10リラ (銀貨)
 (おおよそ、金貨1枚が1万円、銀貨1枚が千円、銅貨1枚が百円の感覚。)
 昔は金が予定より多く産出しても、
 ゴールド輸出量規制法に基づき、
 市場に出回る金の量を一定に保っていた。
 だから固定レートでいけたのだが、
 今では資源減少の現れか、
 産出量が一定量にすら達していない有様。
 ただ高額商品の購入などを考慮して、
 近年では大銅貨(五百円)や大銀貨(五千円)も作られている。
 (どこぞの盗賊様曰く「金貨もあるところにはあるよ!」らしい。)
 ちなみに迷宮で見つかる貨幣は古い銀貨が多く、現貨幣の素材扱い。
 古い金貨は純度も高く投資対象の為か真逆で、
 高額売却出来るから冒険者は血眼になりやすい。
 古い銅貨は酸化しまくっていて大安値らしいが、
 初級冒険者はそれでも必死に持ち帰る。

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禁断の果実 登場人物紹介

2025-01-14 21:17:22 | 小説「魔術ファミリーシリーズ」ウェストブルッグ1<禁断の果実>完

○ケイト・セント・ウェストブルッグ
【年齢・22歳/性別・女】
【技能・魔法使い(古代語魔法)/解魔術】
【魔力・火】
【職業・魔術探偵&呪文書の解読】
 魔術ファミリーウエストブルッグの主人公。
 腰まで届くロングストレートの黒髪を揺らす、
 王国内でも指折の美女。
 常に強きで負けず嫌いな性格。
 魔界の炎すら自在に操る、
 王国内屈指の魔法使いとして有名。

●ケイトの家族

○キャサリン・アン・ウェストブルッグ
【年齢・19歳/性別・女】
【技能・精霊使い(精霊魔法)/封魔術】
【魔力・風】
【職業・発明家&家事手伝い】
 ケイトの妹。
 髪形以外の容姿は姉に似ているものの、
 妹は年中ノホホンとしたお気楽な性格。
 あらゆる魔法道具、魔法武器、魔法防具を創造する
 “封魔術”という技能を有していることから、
 発明家を生業としている。
 精霊使いとしての実力も高い。

○人形娘“ドール”
【年齢・作られて200年/容姿・女】
【技能・人形使い/魔法使い(古代語魔法)/その他】
【魔力・土】
【職業・ウェストブルッグ家の召使い】
 ウェストブルッグ家に古くから仕えている人形娘である。
 外見年齢15歳の美少女で、
 普段はビロードのサテン・ドレスを着ており、
 街でもかなりの人気者らしい。
 長く美しい金髪を持ち、
 身長は150センチと小柄でスリムな容姿を持つ。
 言葉遣いは非常に丁寧で、
 良家のお嬢様といった印象が強い。
 魔法使いとしての実力よりも、
 人間を人形のように自在に操る技能が高い。

○アニス・ファン・ウェストブルッグ
【年齢・45歳/性別・女】
【技能・錬金術】
【魔力・金】
【職業・薬剤師(薬局経営)&家事】
 姉妹の母。
 この世界には存在しない異世界の物質を作り出す
 錬金術の天才。
 家庭内では、たまに新薬を飲み物に入れて
 効果を試そうとする悪女な一面も見せている。

○ヴェスター・リー・ウェストブルッグ
【年齢・48歳/性別・男】
【技能・騎士(レクスタン剣術を習得)/無力化魔法】
【魔力・聖】
【職業・女王護衛団総責任者】
 姉妹の父。
 王国内での階級は上級貴族に当たる。
 キャサリン以上のノホホンとした
 お気楽&おとぼけぶり。
 質問の類はいつもスルリと躱している。
 どこまで本気で、どこまで冗談かわからない
 性格の持ち主。

○ベレッタ・ロン・ウェストブルッグ
【年齢・いっぱい/性別・女】
【技能・占術/獣魔術/解魔術】
【魔力・水】
【職業・易者/獣魔術師】
 姉妹の祖母であり、ヴェスターの母親。
 普段は王城前広場で易者をしており、
 自分の小遣いを稼いでいる。
 以前は他にも何か生業としていたらしいが、今は引退の身。
 獣魔術師として、黒魔鳥とケルベロスを従えている。

〇フレイア
【年齢・不明/性別・不明/容姿・黒猫/種族・ヘルキャット】
【技能・影喰い/つまみ食い】
【魔力・魔】
【職業・ケイトの使い魔】
 見た目は黒猫として封印されているが、実態は地獄の猫。
 封印を解くと黒豹の様な姿になり、炎のブレス(吐息)を吐く。
 よく悪戯をするのか、しょっちゅうケイトからお仕置きを受ける事が多い。

●今回の事件関係者

○イヴ
【年齢・22歳/性別・女】
【技能・窃盗/罠設置および解除/その他】
【魔力・魔】
【職業・元盗賊ギルド“セイル”幹部】
 ケイトのもとに訪れた今回の依頼人。
 一つの果実の種を完膚なきまでに破壊してほしいという、
 奇妙な依頼を持ち込んできた謎の美女。
 普段着は軽装でショートヘア。
 ボーイッシュなスタイルを好む傾向にある。
 盗賊ギルド管轄外の地域で種を盗み、
 ケイトの元に種の破壊を依頼する。

○フォルター男爵
【年齢・45歳/性別・男】
【技能・剣士/妖術】
【魔力・不明】
【職業・フォルター財団会長/フォルター領地領主】
 貴族風の容姿をしている、髭を生やした大男。
 アサッシン・ギルドなどの闇の助力を使ってでも
 “禁断の果実の種”を手に入れようとしているが、
 その真相は不明。
 奇妙な妖術を行使する男で、
 3人の側近と共にガーディア王国にやってきた。
 大切に保管していた種をイヴに盗まれたからとはいえ、
 男爵自らがやってきたのには、何か他にも用件があるようだ。
 レイピア(細身の剣)を帯剣しておりフェッシングを得意とする。

○アガン・ローダー
【年齢・26歳/性別・男】
【技能・騎士(レクスタン剣術を習得)/暗黒魔法】
【魔力・魔】
【職業・フォルター財団会長護衛役】
 フォルター男爵の側近である4人のリーダー格。
 漆黒の鎧と剣を身にまとった暗黒騎士だが、
 悪魔に魂を奪われることなく、
 聖騎士以上の礼節さを重んじている紳士な男である。
 身長は175と長身で、騎士としての生活が長いのか体格もいい。
 剣の腕は大陸でも1、2を争う程の実力の持ち主と言われている。
 暗黒魔法も行使出来るのだが、
 戦闘においては卑怯な手は好まないらしく、
 余程の事態でなければ剣術以外の技は見せない。

○テリス・ミリエーヌ
【年齢・22歳/性別・女】
【技能・幻術/ファッション・デザイナー】
【職業・フォルター財団会長護衛役】
 フォルター男爵の側近である4人の紅一点。
 シャンテ=ムーン大陸一の幻術の使い手
 エミル・ミリエーヌの一人娘で、
 その術の継承者である凄腕の持ち主である。
 接近戦においては短剣を2本用いた戦術を得意とする。
 多対一の際に最も効果を発揮するらしい。
 将来は、自分の作った衣服類を販売する店を構えるのが夢で、
 今回の仕事をこなした報酬で店を建てるつもりだという。
 4人の中では一番の魔物討伐経験を持つ。

○ルクター・ソーン
【年齢・21歳/性別・男】
【技能・呪歌の唱歌および演奏/暗殺技能/レンジャー】
【職業・フォルター財団会長護衛役/吟遊詩人/ハンター】
 フォルター男爵の側近である4人の1人。
 芸術の都“ヴェーナー”の出身にして吟遊詩人である。
 が、それは表向きの顔で、
 実際には多くの殺人依頼を受ける暗殺者だ。
 それでも、理にかなわない依頼などは決して受けず、
 あくまでもターゲットが極悪人(賞金首)のときにしか
 依頼を受けないようである。
 優男な外観に善良な性格ではあるのだが、
 先述したキャサリンと同様にいつもホエホエとしている故か、
 生真面目なアガンとは相性が悪いらしく、
 共に行動する事は滅多にない。

○ビル・カーター
【年齢・26歳/性別・男】
【技能・錬金術】
【魔力・不明】
【職業・元フォルター財団会長護衛役】
 元フォルター男爵の側近である4人の1人。
 現在は行方不明。
 3人の部下と共に、フォルター男爵と仲間3人を裏切り、
 何処かへ潜伏中。
 現在、王国内に闇ルートで広まっている麻薬を扱う
 張本人とされている。
 錬金術の腕前はかなりのもので、
 フォルターのもとにいた頃は、
 ある薬物の調合を専門に任されていた。
 独占欲の強い、今回の悪玉である。

○ギラン・シュレッター
【年齢・25歳/性別・男/種族・エルフ】
【技能・操影士】
【魔力・魔】
【職業・ビルの配下】
 ビルの配下にあるシュレッター3兄妹の長男。
 種族がエルフの割には身長150程しかない小柄なタイプ。
 奇形児と思われる。
 言葉遣いの悪さは天下一品だ。
 上司だろうが国王だろうがお構い無い。
 様々な影を自在に操る技能を有しており、
 自身を影と同化したり、
 相手の影に乗り移って意のままに操ることも出来る。

○スーレン・シュレッター
【年齢・25歳/性別・女】
【技能・戦士(巨槍が得意武器)
    /魔法使い(古代語魔法)】
【魔力・水】
【職業・ビルの部下】
 ビルの配下にあるシュレッター3兄妹の長女。
 ギランから見れば妹にあたる。
 奇形児3人の中ではエルフの長所が
 突出したタイプである。
 身長180と長身で色白。
 氷系の魔法が得意で、
 更には巨槍を片手で振り回す力もある。

○ベリス・シュレッター
【年齢・25歳/性別・男】
【技能・窃盗/罠設置および解除
    /魔法使い(古代語魔法)】
【魔力・魔】
【職業・ビルの部下】
 ビルの配下にある
 シュレッター3兄妹の末っ子。
 年齢が3人同じなのは3つ子だからである。
 エルフではありえないといわれる双子や3つ子などは
 生みの親からも忌み嫌われるというが、
 彼等はそういった経験者だ。
 長男同様に短身でエルフらしくないが、
 これは長女に命を吸われ続けている為だと思われる。
 双子や3つ子が嫌われる理由の一つがそれなのだ。
 暗殺稼業を糧としており、
 殺す相手を選ぶルクターとはそりが合わない。

●王国城下町の仲間

○アリサ・ステイシー
【年齢・19歳/性別・女】
【技能・僧侶(神聖魔法)/武闘家】
【魔力・聖】
【職業・喫茶店“アリサ”経営/ソルドバージュ寺院演奏担当】
 王宮魔法陣のマサリナを祖母に、六英雄の母サリナを持つ
 凄い血筋の元に生まれた美少女。
 王国一との声もあり、
 彼女の経営する喫茶店はいつも繁盛している。
 驚きはするが緊張を知らないタイプで、
 可愛い外見の内に、
 冷静に物事を見て判断する力を持っている。
 年齢は離れているが、ケイトの良き親友であり、
 よく相談相手にもなっている。
 武術も優れていて、
 多節棍と呼ばれる東方の武器を使いこなす。

○ギル・ジル・キルジョイズ
【年齢・45歳/性別・男/種族・ドワーフ】
【技能・戦士(戦斧が得意武器)/僧侶(神聖魔法)/調理師】
【魔力・金】
【職業・キルジョイズの酒場兼宿屋経営】
 六英雄の一人で“重戦斧のギル”との二つ名を持つドワーフ。
 が、今は愛想のいい酒場の親父。
 戦士の腕も廃れることなく一流だが、
 ついでに料理の腕も一流だ。
 初心の冒険者にとってはいい相談相手で、
 酒場2階の宿屋はいつもビギナーな冒険者が多い。
 ケイトの好みの店の一つ。

●王国関係者

○エレナ・リブ・ガーディア
【年齢・19歳/性別・女】
【技能・剣士(コラルド剣術を習得)/僧侶(神聖魔法)】
【魔力・聖】
【職業・ガーディア王国国王】
 父の急死により、弱冠19歳で女王という運命を背負う。
 六英雄だった父以上の潜在能力を秘めていると言われ、
 他国からは“白銀の女帝”との二つ名を受け、畏怖されている。

○アルバート・レージ・ラングリッツ
【年齢・50代後半/性別・男】
【技能・不明】
【魔力・不明】
【職業・王宮室室長/王宮騎士団総責任者】
 常に国王を補佐する室長を務める男。
 王宮騎士団の総責任者も兼任する。
 能力は不明だが、
 王宮騎士団の四将軍が頭が上がらないことから、
 戦士か拳士のような実力を秘めていると予測される。

○セイクレッド・ウォーリア
【年齢・48歳/性別・男】
【技能・剣士(ミトラ剣術を習得)】
【魔力・空】
【職業・王宮護衛団総責任者】
 六英雄の一人で“真紅の魔剣士”との二つ名を持つ。
 以前は王宮騎士団の第一軍将軍を務めていたが、
 護衛団創設の時に総責任者に抜擢されて現在に至る。
 怒らせたら一番怖い男とか手加減を知らない男とか
 言われている。
 ぶっきらぼうで愛想が無いように見えるが、
 実はかなりの心配性かもしれない。

○フィアナ・ウィン・リノット
【年齢・17歳/性別・女】
【技能・不明】
【特技・先見の術/夢紡ぎ/鏡渡り/展覧の術/その他】
【魔力・空】
【職業・王宮魔法陣総責任者】
 地上最年少の予言者。
 加えて王宮魔法陣の総責任者まで勤める弱冠17歳。
 クールな美少女で、「だろう」とか「かもしれない」
 等といった曖昧な台詞を知らない者と言われている。
 6つのうちの1つの部署“星界の陣”に普段はおり、
 他の2人の予言者と共にいる。
(※ウィンとは国から頂いた名で、王宮魔法陣六賢者の証。)
(※王宮魔法陣とは、国の政権執行を担う頭脳集団の集まり。)

○イリス・ウィン・ソラリス
【年齢・22歳/性別・男】
【技能・幻術(幻術魔法)】
【魔力・魔】
【職業・王宮魔法陣“幻惑の陣”責任者】
 全ての幻を扱うという奇妙な部署を任されているというが、
 その実態は情報工作員の集まりだったりする。
 身長160とやや小柄でスリム。
 優男な外観ではあるのだが、その中身は誰にも読めない。
 六感全ての幻術魔法だけでなく、魔感幻術をも極めた天才。

○ポーラ・ウィン・アブドゥル
【年齢・24歳/性別・女】
【技能・魔法使い(古代語魔法)】
【魔力・空】
【職業・王宮魔法陣“破封の陣”責任者】
 古代語魔法のスペシャリストで、ケイトの師だ。
 見た目は妖艶なタイプでSな女王様といったイメージが強い。
 王国内では、手出し厳禁の超危険人物に挙げられている
 5人のうちの1人。

○マサリナ・ウィン・ステイシー
【年齢・ベレッタに同じ/性別・女】
【技能・僧侶(神聖魔法)/武闘家】
【魔力・水】
【職業・王宮魔法陣“聖刻の陣”責任者】
 神聖魔法の使い手としては、王国一と言われている。
 いつも気を張っている感じで隙が無く、
 老婆とは思えない体術を見せる。
 ちなみに、ケイトは“説教婆さん”とあだ名を付けている。

○ミシェル・ウィン・ブルッグ
【年齢・推定18歳未満/容姿・女】
【技能・魔法使い(古代語魔法)/暗殺技能/レンジャー】
【魔力・土】
【職業・王宮魔法陣“闇夜の陣”責任者】
 王宮魔法陣5人に隠された6人目の王宮魔法陣。
 ウェストブルッグ家とは何らかの繋がりがありそうな人物で、
 彼女の存在を知っている者は城内でもわずかしかいないという。
 恐らくは、隠密的な部署なのかもしれない。
 長く美しい金髪を持ち、
 身長は150センチと小柄でスリムな容姿を持つ。
 姿を見た者は、ウェストブルッグ家の人形娘と瓜二つだと語る。

コメント
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