Makoqujilaの蝶散歩Ⅱ

【蝶日記】第17回チョウ類の保全を考える集い

■ 2020.2.14 オンライン開催
昨年までは都内の会場で実施していた同集いですが、今年はコロナ禍なのでオンラインの開催となりました。その結果300名近い参加者があったようで、事務局の方々も喜んでいました。自然環境の維持活動の一環としてチョウの保全が少しでも前に進むことを祈ります。
講演会のポスター的な写真を出そうかと思いましたが、著作権の問題もありそうなのでやめました。文字ばかりで面白くないブログになってしまいました。※イベント概要はこちら

【前半】
「日本チョウ類保全協会による、絶滅危惧種の保全活動」 日本チョウ類保全協会事務局
●保全活動第一優先種:
ツシマウラボシシジミ
ヒョウモンモドキ
ウスイロヒョウモンモドキ
・オガサワラシジミ
・ゴイシツバメシジミ
・ヒメチャマダラセセリ

左から、ツシマウラボシシジミ、ヒョウモンモドキ、ウスイロヒョウモンモドキ(ここまで飼育個体)、ヒメチャマダラセセリ

●2020年の主な活動
・オガサワラシジミ保全:野生種は2018年6月が最後の観察事例。多摩動物公園と新宿御苑で行われていた生息域外保全の個体も2020年に繁殖途絶。実質的な絶滅状態。冷凍保存卵が復活の望み。
・ヒメチャマダラセセリ保全:生息地のハイマツエリアの拡大により生息に必要な草原が無くなりつつある。保全活動としてハイマツを一部伐採。卵・幼虫の袋がけ保護実施、生存率10%から65%に。個体数の増加に期待。
・ウスイロヒョウモンモドキ保全:シカによる食草の食害が深刻化。生息地へ防鹿柵を設置し環境と食草を守る活動を継続中。
・庭のチョウの取り組み:現在330名の登録あり。2020年は全国で97種類が観察された。最多はヤマトシジミ。ランク急上昇はウラナミシジミ(9位)。気軽なモニタリング活動として広げていきたい。

【後半】
イギリスにおけるチョウの保全活動:市民を巻き込んだ保全活動の発展            
    前英国チョウ類保全協会最高経営責任者 Martin Warren氏 
・英国チョウ類保全協会(BC)は1968年から活動している。会員は4万人。英国のチョウは70種類でそのうち3/4が減少中。生息地は国土の3%程度と減ってきている。広い農地があるように思うがチョウは見られないとのこと。保護区を35カ所設定。景観レベルで保全するのが戦略。200の優先度の高い景観を定義。
・モニタリング調査は1970年から本格化。活動費は年間870万円、政府の寄付25%。政府の正式統計として発行され、政策立案者も見る。また市民が気軽に参加できる活動としてBIG Butterfly Count活動も行っている。スマホアプリで15分参加すればよいという手軽なもの。11万人が参加し、貴重なデータベースになっている。
・2005年にNatureに出た論文が有名だが、チョウは環境モニタとして優れている。環境が悪化した際、鳥や植物より速いスピードで減少する。(減少率:蝶71%、鳥54%、花28%)
・生息地は点在ではだめで、面でつながっていることが重要、そこで、農家と連携してよい環境をつなげる活動を推進。ヒョウモンモドキ系、ゴマシジミ系など数が回復してきている。

雑感:日本にくらべ英国の活動は、種々横のつながりを上手に連携させた取り組みが上手で成果を上げている印象。(例えばチョウの調査には他の種の保全団体からの参加が多いとか、イメージアップのためこういった活動に寄付をする企業が多いといった話などあり)その結果として会員数が日本より2けた多く確保できているのかなと感じた。以前イギリス出張した際駅のホームや大学のキャンパスなどいろいろな場所にチョウの展示会や講演会などのャXターがあり、日本では同種のャXターを目にすることが極めて少ないため、不思議に思ったことを思い出した。が、会員数と市民の関心が比例すると思えば納得。日本で自然環境保全への関心を高めるために何をすべきか、試みるべき工夫のヒントになると感じた。

・前回の同会は:第16回 チョウ類の保全を考える集い
・前々々回の同会は:第14回 チョウ類の保全を考える集い
・その他イベント系レポ:企画展:チョウが消えていく(2018)企画展:チョウが消えていく (2017)、昆虫大学小笠原保全講演会



ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「蝶日記」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事