ずいぶん前に読んだのですが、本ブログのネタとして適しているかもと思ったので改めて感想をこちらにアップします。(2021年6月読了)
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武器を持たないチョウの戦い方 -ライバルの見えない世界で-
竹内 剛 著 京都大学学術出版会 (2021/6/1)
解説:チョウが互いに相手の周りを飛び回る卍巴飛翔は、縄張り争いの一種と説明される。しかし鋭い牙も爪も持たないチョウがただ飛び回ることが、なぜ「闘争」になるのだろうか。試行錯誤の末に著者がたどり着いたのは、チョウにはライバルという認識がないために縄張り争いが成り立つという“常識外れ”な結論だった。
第11回日本動物行動学会賞受賞研究
公式:京都大学学術出版会-武器を持たないチョウの戦い方
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裏表紙のメスアカミドリシジミ
特徴をよくとらえていてかわいい😍
メスアカミドリシジミ 2018.6.2 東京都
※参考:上の絵に近い構図が在庫にあった記憶があったので発掘
ゼフィルス等一部のチョウで見られる「テリ張り」「卍巴飛翔」に関する研究を中心にわかりやすく解説している。「枝先に陣取るチョウは視界にはいる飛翔物体に果敢にアタックする」この行動は長らく縄張りを守るためと言われてきた。しかし本書は「雌と勘違いして追っている」と解釈している。相手が雄だとお互いに相手が雌かもと思うので互いに追う=卍巴クルクル状態になる。相手が雌だとびっくりして逃げるので追いかけて交尾する。相手が異種だと互いに「???」ってなって追いかけっこにならない。名付けて「汎求愛行動」。
実は私もそんな話を蝶友と何度かしたことがあったので「がってん!がってん!」です。が、これを記載した論文が何度もリジェクト(掲載拒否)されたとのこと、学会の偉い人は過去の論文ベースの知識に頼っておりフィールドに出ないからわからないんだね。
私が気づいたのは、オオムラサキが小鳥を追っているのを見たときでした。どう見ても縄張りに入ってきたから追ったというより雌と間違えて追ってみて「あれ? 鳥やん、関係なかった。。。」の行動に見えたんです(オオムラサキの雌は雄よりかなり大きくて小鳥くらいの大きさ)。で、次がテリ張りしてたメスグロヒョウモンの雄が雌を見つけて交尾にいたった瞬間を見たとき。「これ、初動が雄を追うのと一緒じゃん」などなどの経験積み重ねで個人的な仮説として頭にあったので本書に出会ったときは「同士がいた!」と超うれしかったです。
登場するチョウ:ギフチョウ、メスアカミドリシジミ、クロヒカゲ、キアゲハ、ウラクロシジミ、アイノミドリシジミ、ウラナミアカシジミ、ミドリシジミ、ウラジロミドリシジミ、オオミドリシジミなど、蝶好きにはたまらない構成です!
おすすめの良書です。興味を持った方はぜひ読んでみてください!!
表紙はキアゲハとギフチョウ🥰
・関連ブログ:【蝶&読書】擬態の話:ツマグロヒョウモンとカバマダラ系
・関連ブログ:【読書】どくとるマンボウ昆虫記
・メスアカミドリシジミの紹介はこちら:メスアカミドリシジミ
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