みゆきな日々

チワワのチェリー女の子&私・年金暮らしのジッちゃんに絶賛親孝行活躍中

貧しくも美しく奏でて

2009年07月23日 | インポート

彼女には憧れの人がいた

スラリと長身で

サラサラヘアーのジーパンの似合う彼

言葉を交わすでもない

そっと遠くから見つめている

それだけで良かった

恋は彼女を綺麗にする

憧れの彼が近くに居るだけで小さくなる彼女

鼓動が聞こえそうな程に純粋

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彼が週末やってくる公園がある

彼はギタリストを夢見る無名のギタリスト

公園の端っこでギターを奏でる

彼も夢を追っている

1

次第に彼の奏でるギターの音に人だかりが

益々と彼女から遠い存在になってゆく

それでも良かった

彼を遠くから眺めていられる

それで良かった

幸せだった

雨の公園

彼女は公園のベンチで待っていた

今日はこないかもしれない

彼女は彼がギターを奏でる場所に座った

寂しいがお別れ

せめて最後に顔が見たかった

傘の尖った部分で文字を書いた

4

LOVE...φ( ̄▽ ̄*)ポッ

立ち上がり彼が居た場所の空を仰ぐ

雨と一緒に涙が頬を伝う

そっとその場所に傘を置いた

公園を出ようとした時だった

『君~っ』

大きな声で置いてきた傘を持って走ってくる

ドキドキドキドキ

クラクラクラクラ

今にも心臓が

目眩が回る

彼は真っ直ぐ走りより

目の前に立ち

『傘を忘れたよ』

彼女の恋は終わった

5_2

あれから20年も経った

もう1度あの公園に行ってみたいと彼女は思った

昔のまま公園はあった

懐かしい気持ちが蘇る

その時、懐かしいギターの音が

まさか・・・・

彼?

ギターを奏でて同じ場所に?

何で?

彼はギターを奏でるホームレスのオジサンになっていた

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