GIFT

思い出の町で一夜を明かした。
喪服のまま横になり、窓から入り込む風を感じて物思いに耽る車中泊。
この町に来たら基本は車中泊という変なスタイルが自分にはある。
今朝の南相馬は雲は多かったけど、明るく日が差してました。
いつもなら目が覚めたら海岸へ急ぐんだけど。
今はそれが出来ないのが切ない。
それでもやっぱり浜の町だから、海から少し離れた場所でも風はとても心地が好い。
風に当たれば全身で海の息吹を感じる。
離れてても、ちゃんと感じるよ。
彼女の息遣いも…。
大切な大切な宝物のジュエリーを昨日から身に付けてます。
先日ハワイで帰国前に購入したハワイアンジュエリー。
「アッシュペンダント」というものを。
これは…亡くなった大切な人の遺灰を入れておけるペンダントです。
実は、ハワイへ出発前から彼女の家族には相談してました。
自分に彼女の遺灰を少し分けてもらえないかということで、了解を得てました。
そして昨日、納骨前にペンダントの中に彼女の遺灰を納めて、今は俺の胸元でキラキラと光ってます。
デザインはサーフボード型。
表面に施されたハワイアンジュエリーらしい綺麗な彫刻の中に彼女の名前を刻んでもらった。
そして、ベタかもしれないけど"I love you forever..."って刻んでもらった。
俺は…彼女と一生一緒に生きていく。
これは呪縛なんかじゃなくて、生きていくための心の支え。
辛くても俺はこれからも生きていかなきゃならないから。
力を貸して下さい、梓さん。
今日は彼女にプレゼントを買った。
ふと、生前の彼女の言葉を思い出して。
「私、死んだらクリスタルのお墓に入りたい☆」ってね。
笑いながら冗談を語り合ってたあの日が懐かしい。
それがまさか、こんなに早くお墓に入る日が来るなんて。
想像もしてなかった。
あまりにも急すぎてクリスタルのお墓は買ってあげられなかったけど…彼女に贈ります。



クリスタルのパイナップル。
パイナップルがマイブームすぎてウザいくらい登場させてますが悪しからず。。。笑
福島県の猪苗代町にある「世界のガラス館」というところで購入しました。
葉っぱの部分は普通のガラスだけど、実の部分は全てクリスタルで出来てます。
とても綺麗にカットされていて、透かして見ると屈折もせずに真っ直ぐに向こうの景色が見える。
ずっしりと重量もあって、すごい透明度。
光が当たると角度によってキラキラと七色に美しく輝く。
これは一点物らしいです。
彼女への贈り物として大切に持っていようと思います。
購入した後、近くの猪苗代湖をぼんやりと眺めた。
夜が迫って薄暗くなり出して、そろそろと車に戻ったら途端に土砂降り。
間一髪…危なかった。。
そのまま今日は自宅へ帰り、ゆっくりしてました。
悲しみは全然治まらないけど、胸元のジュエリーがこんな自分に勇気を与えてくれてる気がします。
彼女がずっと側にいてくれてる気がして、今は少しだけ温かい気持ちです。
二人分の人生をこれから俺は生きていくことになった。
人生の荒波にも乗ってやるんだと弱いながらに心に決めて。
胸元のサーフボードに願いを込めた。