過ぎし日の
思い出枕
抱きしめて
秋の夜長に
愛しさつのる
おふくろの
起き伏し寝間の
静けさに
寝息に混じる
鈴虫の声
向き合って
怒りの所在地
尋ねれば
こころの底で
ここぞと笑う
寄せ返し
戯れ騒ぐ
波の音
寝つかれぬ夜の
夢枕かな
咲いて散る
花の命を
尋ねれば
四季の時節に
また逢うという
煮えたぎる
釜に入れたし
この恨み
惑うまにまに
冷えて消えてゆく
慟哭に
打ちひしがれし
ひとときも
時の流れに
心うつろう
我ひとり
あと先なしに
ただ一人
我が人生は
ただひとつなり
素直なる
幼心に
触れてみて
恥ずかしいかな
我の慢心
何もかも
浮世を離れ
雪化粧
耐えている間に
若芽息吹く