気がついてみると
人生五十年の坂を越えていた
妻の年齢を数えた
彼女も五十の坂を越えていた
いつのまにか越えていた
年齢を気にする
そんな歳でも…
しみじみと顔を見合わす
気が付かない間に
髪に白いものがあった
知らね間に
気がつかない間に
年をとっていた
連れ添って二十八年
いつのまにか歩んでいた
深刻になって
死と向き合うより
今ある生と向き合って
この一瞬の今
この積み重ねに
生かされている
この喜びに
感謝しよう
大事をなそうと
力んで焦るより
今の一歩に
時の重みを知り
この一瞬に
精一杯の誠をなし
今こそ出発点
この今を大切にしたい
この一瞬の時
この一瞬が
大事なんだ
この一瞬に
未来があり
この一瞬を
疎かにして
瞬時に過去になる
通り直しのきかぬ道
一本道だから
歩けなかったら
這ってでもいい
転びながらでもいい
一歩でも、半歩でも
この一瞬を感じながら
少しでも前に進もう
今の、この一瞬
怠けていようが
本気であろうが
この一瞬
刻一刻、着実に
黙って
通り過ぎていく
だから、気づかない
時の忍び足に
気づき始め
その足音が
聞こえ始めたら
後悔を背負い
二の足を踏んでいる
そして
時は止まらない
人生は
通り直しのきかぬ道
だから
今踏み出す
この一歩
大切にしたい
今の喜びは
今しか味わえない
今の怒りは
今しか感じない
今の哀しさは
今しか分からない
今の楽しみは
今、一時のもの